追放された僕の下に女神が舞い降りた〜剣聖スキルを勇者に捧げたら、ただのデブは不要と言われ追放されたが、女神に結婚を申し込まれ、神として生きて行く事になりました。今度は僕のターン、追放返しだ〜
episode 4 仲間と言う名の奴隷 -デリック視点-
episode 4 仲間と言う名の奴隷 -デリック視点-
俺の名は、デリック・ヴィルドール。世界でただ1人の勇者、そしてキングスナイトのリーダーだ。
俺は今、王都アルヴァニアの高級レストランで女達と飯を食ってるところだ。
デブでブサイクで役立たずのアステルを追放してマジで快適。
幼馴染のよしみでパーティーに拾ってやったのに、俺が勇者である事をいい事に盾にもならねーし、後ろでずっと棒立ちだったからな。
追放して清々したぜ。
「デリック? 何か考え事ですか?」
ミンシャが俺の酒を置きながらそう言った。
「何でもねぇ。それよりあのデブでブサイクが消えて理想のパーティーになったよな。美形主人公に良い女達、これこそ勇者パーティーだろ?」
「うふふ、デリック様ったら」
「ねぇデリック、今夜はあたしと遊ぼうよぉ〜♪ ミンシャばっかだと飽きんでしょ?」
「あ〜ら、リースさん。そんな幼女体型では勇者様は満足させられませんよ?」
また始まったか。
「な、なんですってぇぇ〜……!! あんたはただ単に乳デカなだけじゃんよ! 歳一緒なのに老け顔のクセして! 全部ここに栄養取られてんじゃないの? キャハハハ!」
「はぁ!? 貴方の方こそ洗濯板じゃないですか!」
「せ、洗濯……」
ミンシャとリースの掛け合いにクスクスと笑うセラ。
「うふふふ! 洗濯板……クスクス」
「あー!? 笑ったねセラ!! あんたも洗濯板じゃない!!」
流石に止めねーとまずいな。
「よしよし、この辺で終わりにしろって。今夜は3人纏めて遊んでやるから。それより、新生キングスナイトの再始動日を決めようかと思ってな」
残りの酒を飲み干してる間、ミンシャが引き継ぎ話を続ける。
「アステルを追放した日から丁度1ヶ月が過ぎました。キングスナイトはその間、ずっと活動はしていませんでしたからね」
ミンシャが言う通り、俺達はあれからずっと飲み食いにギャンブルに大金を使いまくって豪遊していたからな。
そろそろ金の心配をしなけりゃならねぇし……。まあ俺がいれば勇者価格で報酬を上乗せすればいいだけだし、言う程そこまでは心配してねえが。
勇者は世界を救う使命があるんだ。もっと人々の為に行動しようよって、それを言うのに何秒かかってんだよあのデブ野郎が。
金にならねー奴を救っても何の意味もねーだろ。そんなのはそこらへんの冒険者にやらせとけばいいんだよ。
俺は世界に1人しかいない勇者だぞ? そんな低次元の依頼なんて受けねーの。
「肩慣らしにBランクの討伐依頼からやる?」
「はあ? セラ、あんたビビってんの? あのアスデブがいなくなっただけで戦力が減るって?」
「いや、そうは思わないけど……1ヶ月も私達何もしてなかったから、ウォーミングアップ程度にって思っただけだよ」
「いきなりSランクでも問題ない。だが討伐依頼よりも精霊の洞窟を踏破したいと思ってる。俺達の活躍が1ヶ月なかったせいで巷じゃ、魔物に殺されたなんて噂が流れ出してるしな。普通に討伐の依頼をやって復帰するより、勇者なら前人未踏のダンジョンをクリアした方がカッケーだろ?」
俺のこの言葉に3人共、目をうるうると輝かせながら何度も頷く。
「やばいよデリック……イケメン過ぎる」
リースがボソっと言葉を落とす。
他の2人もうんうんとまた頷く。こいつら仲が良いのか悪いのかたまに分からん時があるんだが……。
「精霊の洞窟と言えば、地下100階ぐらいはあるんじゃないかって噂されている最近発見されたアルヴァニアで1番今注目のダンジョンですね」
「魔界と繋がってるらしいよ」
「出て来る魔物も何となく噂で判明してますし、踏破したいですね」
「そうだ、丁度剣聖の力も試してみたかったんだ。あのデブは全く使い熟せてなかったが、俺が使ったらどんだけのもんになるか、お前らに見せてやるよ」
俺のこの言葉にまたうるうると目を輝かす奴隷ども。
「デリック様素敵です」
ミンシャの言葉にまたうんうんと頷く2人。
1人減ったって言ってもそいつ自体が微々たる戦力だったんだ。
確かに荷物持ちがいなくなったが、また誰かパーティーに入れればいいんだし全く問題ない。
そうか、後1人誰か補充するなら次は完全なハーレムが出来るぜ。
勇者になった事でどんな女も俺に抱かれたがるからな。
今度はアルヴァニアじゃなく、世界回って探してやるか。
げっへっへ……考えただけで鼻の下が伸びちまうぜ……。
「デリック?」
セラがいきなり俺の視界に入って来た。
「のわ!? な、……んだよ!」
「何ニヤニヤしてたの?」
「い、今から楽しみなんだよ。前人未踏の洞窟、踏破するのは俺達だぜ!」
「イケメン過ぎる……」
はぁ……と3人同時に溜め息を吐いた。
「よ、よし! お前ら、そうと決まったらギルドに活動再開の申請を出しに行こうぜ!」
「善は急げと言いますしね! 賛成です!」
「あたしもそう思ってたんだよデリック! やっぱ勇者は言う事が違う〜♪」
「英気は養われたしね。勇者パーティー活動再開だね!」
一致団結したところで、俺達は店を後にした。
「あ、やっぱり酒場で一杯やってからにしようぜ」
「も〜デリックったらぁ〜。じゃあここで飲んじゃえばいいじゃん」
「酒場で飲……」
『酒場で飲む酒はまた違うんだよ』
「おま……!?」
「クスクス……」
「うふふふ!」
「キャハハハ!」
な、なんだこいつら……。俺のセリフも、言うタイミングも完全に読んでやがるのか。
少々不気味に思いつつ、酒場に向かって歩いて行くのだった。
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