6話 走馬灯?兎と少女
剣が空を切り裂く激しい音が聞こえる。
魔法が発動する独特な効果音や爆発音が聞こえる。
それに合わせて怒号も。一体誰が戦っているのだろうか。
霞がかった視界が開くと、最初に目に入ったのは荒れ果てた大地だった。
文明と思われる物は存在しなかったのか、はたまた消えて無くなってしまったのか
そこには、ただただ無機質な土地だけが広がっていた。
そんな中、暴風の様に吹き荒れていた
黒いマントを身に着け、
対する女はというと、まだあどけなさが残る少女の様な顔立ちだが、その瞳には強い決意が感じられ、手に持った光り輝く剣を強く握りしめると男を睨みつける。
首から下を銀の甲冑で
一言二言、二人は何か言葉を
剣と魔法が
しばらく戦闘が行われたかと思うと、急に視界にノイズが走り画面が真っ暗に染まる。そして、次に感じたのは温もりだった。
目を開ければ表情はボヤけて良く見えないが、俺を抱きしめる女の姿が映り、その行為に何故だかとても安心する自分がいる。だけどわからない事がある。
何故この女は泣いているんだろう。
ハッと目が覚めるとそこはやけに見通しの良い森の中だった。
「今のは一体……」
夢の中で凄まじい戦闘をしていた二人、そして俺を抱きしめながら泣いている女。
現実とはまったく関係ないはずなのに、頭の中で何かが引っ掛かりモヤモヤする。雲の隙間から現れた満月が俺だけを照らしているように感じ、まるで誰かが「早く思い出せ」と
(……ん? 雲の隙間から現れた満月?)
バッ! とあたりを見渡すと
(そうだ! 俺は魔物と戦っていたんだった!!)
夢の中の事はさておき、頭をブンブンと振って意識を切り替えると、すぐ様周囲を警戒する。
「……いない?」
神経を研ぎ澄まし周りを注意深く観察するも、それらしい気配どころか木々のざわめきすら聞こえない。
あの狂暴な魔物が気絶した俺に何もしないで立ち去るとは思えないし一体何が……というかこんな開けた場所あったか?
自分を中心とした半径10メートル程、キレイに円を描く様に何もなくなった野原を眺め必死に思い出す。
あの時、止めを刺そうとした俺に向かって強烈な光を放った魔物の角、そしてすさまじい轟音と衝撃。その攻撃によって、ここまで周囲一帯が吹き飛んだのだろうか。……いや、だとしたらそんな強力な攻撃を受けた俺は何故無事なんだ?
手足などを触ってみるが特にダメージを受けた
疑問が疑問を呼び、上手く理解出来ない状況に戸惑っていると、更に不可解な出来事が俺を襲った。
「んんっ……」
……なんだ今の声は。
突然、自分の真下から聞こえてきた声に飛び上がりそうになる。恐る恐る確認してみると暗くて良く見えないが、足の間で何かがモゾモゾと動いているようだ。
さっきの戦闘で、近くにいた小動物が巻き込まれてここまで吹き飛んできたのだろうか。手で触ってみると、なにやら柔らかくて温かい感触が手に広がった。
一体何の動物だろうと軽く撫でてみるとスベスベの手触り。それとわずかに膨らんだ謎のふくらみが二つついていることがわかった。
色々な形状に変化しつつもすぐ元の形に戻るその感触に、不思議とずっと触っていたい感情に駆られる。
そして月が再び辺り全体を照らした瞬間、俺の体は勢いよく飛びのいた。
「うぉお?!」
小動物だと思って触っていたのは、なんと全身裸の、それも年端もいかないような少女の胸だったのだ。
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