第7話闇夜の声
帰り遅くなっちゃった。
私はバイトが忙しくなり、残業で帰りが遅くなってしまった。
暗闇が私に襲いかかり不安を募らせた。
何もない空間なのに、何かがいるのかと錯覚させるほどの畏怖を抱かせた。
今度から自転車に乗って来よ。歩いては無理。怖すぎる。
子供の頃に変質者に襲われた事があって、そのトラウマで怖いの。
断ればよかったな。人が良すぎる私。
でもこの前おじいちゃんのお葬式で休み貰ったから。仕方ない。
そう思いながら夜道を歩いた。
少し歩いたところで、何か声が聞こえた。
お~い
男の人の呼ぶ声がした。
振り返るが誰もいない。
怖っ、誰よ?
こんな時間に大きい声出さないでよ。
スマホを取り出し確認すると、もう21時だった。
この時間なのに真っ暗すぎる。私はため息を付きながら、さらに歩いた。
お~い
また声だ。後ろを振り返る。誰もいない。
漆黒の空間だけである。
そうだ。スマホのライトをつけて歩こう。
少し怖さが薄れて来た。その時足音がドンドンと聞こえてきた。
また振り返る。やはり誰もいない。
けど、明らかにすぐ近くで聞こえた。
どういうこと?
前を向くと背後から、お~いとまた聞こえる。
ひぃー私は恐怖で体が震えてきた。
走ろうかと思ったが、身体が動かない。
涙が溢れて来た。怖いよ~その時、肩を叩かれた。
えっ?
と思い後ろを恐る恐るみる。
誰もいなかった。私はパニックになった。
どうなってるの?
何が起きた?
なんで誰もいないの?
前を向いた、またお~いと聞こえた。
いい加減にして、私はもう次なにもなければ振り返るのは辞める。
そう決意して後ろを振り返ると、あみタイツを被った男の人がいた。
私は吐き気を催した。すぐに私は、その場から逃げ出した。なりふり構わず全てを投げ捨てその場から逃げた。
はぁはぁ。私は涙が止まらなかった。怖いよぉ。誰か…助けて…お願い。
もう嫌、警察に…連絡しよう。
ない…スマホ落としたんだ。パスワードついてるけど、不安…またあの場所には行きたくない。どうしよう。
少し迷ったが、戻りたくない気持ちが優っていた。
そう言えばなんで気がつかなかったんだろう。
おーいって聞き覚えのある声だ。
その時足音がドンドンと聞こえた。
あのあみタイツ男だ。逃げようと思い前を向いたが、間に合わなかった。
私は男に捕まってしまった。
いやー私は草むらに連れ込まれた。だけど必死に私は抵抗した。
そうだ、あみタイツだけでも、取ってやる。顔が分からないと通報が…怖すぎる。
けど…やらなきゃ。そう思ったのは、過去の子供の頃のトラウマからだ。
変質者はその時お面を被っていた。
だからこそ今回は顔を確認しなければ、また捕まらないのではと考えたからだ。
抵抗するな。とあみタイツの男は怒鳴った
私は抵抗を辞めた。
良しいい子だ。
今だ!
殺されるかもしれない…でもここで取らなければもう無理だろう。
私は勇気を振り絞り男のタイツを剥ぎ取った。
あみタイツを取った男の顔は、バイト先の店長だった。
なんで…店長が。
バレたか…ずっとこうしたかったんだ。
店長は微笑を浮かべた。
いや…やめてください。お願い。
その時お~い。美嘉と呼ぶ声が。
おじいちゃん?
おじいちゃんの声だ。
なに!
この前亡くなったんじゃなかったか?
嘘ついてやがったな。
ちくしょう。
そう言って店長は逃げだした。
おじいちゃんだったんだ。私を怖がらせる為じゃなく、助けるために。
後日私は親に相談し、警察に通報した。
店長は、逮捕され、動機について、密かに彼女に恋心を抱いていたと説明した。
店長は美嘉のために夜遅くまで開店し、彼女の行動を詳細に監視し、知らない男性と接触するとその男性を日々監視する。
これは過去に愛した人を守れなかったトラウマから来ている。彼女を失うことの恐怖が、彼を異常な行動へと駆り立たてていた。
私は墓参りに来ていた。
いつもおじいちゃんおーい美嘉って呼んでたね。
おじいちゃん天国から私を見守ってくれてありがとう。
家族皆でお祈りし、おじいちゃんに感謝した。
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