3-0 大変な一日だった
大変な一日だった。
今日は大切な日だったので、居ても立ってもいられず普段より少し早めに学校へ向かった。朝のうちに、
開運メールが送られたときには、心臓が止まりそうになった。アンラッキーアイテムが私の家のものとピタリと一致したことに、ちまたで騒がれているアレ以上の恐怖を感じた。
犯人の美守さまは、きちんと私に謝ってくれた。撮った写真を必要以上に見せなかった私にも責任はある。メールだって、私のおばあちゃんを想ってくれての行動だったらしい。美守さまの本音を聞けたことで、これからはもっと良好な関係を築けていけることだろう。
助けてくれた志世とはきちんと話ができていなかったけど、大きな借りを作ってしまった。今度は桜のクッキー以上のお礼の気持ちを伝えよう。そういえば、また棗子さまと一緒にいたみたいだったな。指を怪我していたのも
今日の振り返りを終えると、私は教室から窓の外を見た。すでに夕日はしずみかけ、空には星が浮かんでいる。けれど私の一日は、まだ終わっていない。
バッグから
冒頭に「拝啓」と記し、メッセージを書いていく。普段の授業ではだらだらとノートを取っているくせに、こういう楽しいときにはペンが進むものだ。自分で書いた文字が、どこか弾んで見えた。
コツリ。コツリ。コツリ。
音が聞こえたのは手紙を書き終え、バッグにしまった直後だった。誰かが廊下を歩く音が聞こえる。時刻はもう、下校時刻を過ぎている。見回りに来た教師だろうか、それとも私以外にも校舎に残っていた生徒がいるのだろうか。何となく、嫌な予感がした。
コツリ。コツリ。……。
足音は、私のいる教室で止まった。時間が止まったように静かな教室で、バクバクと鳴る私の心臓の音だけが響いた。視線の先で、ゆっくりと扉が開いていく。
そして私は、教室に入ってきたそれを目撃した。
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