勇者の軌跡エピローグ2:勇者、伝説になる
俺は、
町の人たちや両親は、「世界を救ったんだから少しぐらいはいいんじゃね?」という感じで、放ったらかしにしてくれていた。
そんな「
「・・・な~んで、お前らがここに来たんだ?」
ここは自宅のリビング。俺の目の前には、顔を赤くしてもじもじ君している「聖女」と、満面の笑みを
「べべべ、別にいいじゃない!今日は、あああ、アンタと『絆』を結ぶ決心がついたから来たのよっ!あああ、ありがたく思いなさいよねっ!!」
何故か真っ赤な顔をして、どもりながら聖女がそう言った。
「私も、勇者様の妃となるために
ちみっ子王女は、眩しい笑顔でそんな寝ぼけたことを言ってきた。いやいや、
「ちょっとアンタ、何図々しいことを言っているのよ!!大体、アンタみたいな『子供』には結婚なんてまだ早いわよっ!!」
「何をおっしゃられているのでしょうか?聖女様こそ、そんな『ちんちくりん』な成りをされていて、勇者様に
などと、(見た目)ちびっ子2人が醜い争いをしている。はっきり言わなくても面倒くせぇ。
そんな不毛な争いをしている所に、両親がお茶と茶菓子を持ってやってきた。
「あらあら、流石は『勇者様』ね~。『聖女様』と『王女様』に言い寄られるなんて~。凄いじゃない。」
そう、母親が
「いや~、それにしてもお前に『幼女趣味』があったとはな~。でも流石に『未成年者』は
と、父親が無意識に爆弾を投下した。
すると、醜い争いをしていた2人が、同時に両親の方を見たかと思ったら、
「「おいコラ今なんつったんじゃ
「「ひいぃぃぃっ!!」」
見事なシンクロ率で、両親にお馴染みの関西弁による文句(
ふむ、グッドなタイミングじゃあ~りませんか。それじゃあ今のうちにトンズラこきましょうかねぇ。「三十六計逃げるに
<勇者は逃げだした!しかし、聖女と王女に回り込まれてしまった!コマンド?>
「どこに行こうとしているのかしら~?」
「勇者様、まだお話は終わっておりませんですわよ?」
何と、ついさっきまで両親を恫喝していたちびっ子共が、俺の退路を塞いできたではないか。
「チッ、流石はちびっ子。素早さ『だけ』は天下一品だな。」
そう言いながら、いつものコマンド一覧を見てみると、
コマンド一覧
[にげる]
「逃げる」コマンドしかねぇ~。まあ、こいつらと戦うつもりは毛頭ないから、当然っちゃあ当然だけどな。
「じゃあ、秘技『ご都合主義ワープ』!!」
・・・・・・・・・
あれ?何も起こらないが何で?
<勇者は秘技を使った!しかし、何か不思議な力が働いて発動しなかった!コマンド?>
「ふっふっふっ、アンタがそうする事は分かっていたわ。」
「勇者様、無駄なあがきはお見苦しいですわよ?」
・・・まさかここまでとは。何という執念。
そう思ってふとコマンドを見ると、
コマンド一覧
[かんねんする]←New!!
・・・
「「さあ、観念して大人しく
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さて、その後の勇者について、軽く話しておこう。
<勇者:人族にして「神の使徒」>
聖女と第一王女の熱烈なアプローチに屈した勇者は、2人まとめて(しぶしぶ)妻として迎え入れた。結婚式の時、2人の幸せそうな顔に対して、勇者は不幸のズンドコ(誤記ではない)の顔をしていたそうだ。
その後、2人の妻の
なお、以前ポンコツエルフが言っていた「『絆』を結んだエルフは急速に成長して大人の姿になる」だが、聖女に至ってはそのような兆候は全くなく、ちびっ子のままであった。
(子供ができた時に、一瞬大平原が「
また、
(こちらも、子供ができた時に以下略)
勇者はと言えば、2人に色々搾り取られたようで、枯れ枝のようになっていた。
それから、勇者たちは生まれ故郷を出て、人族のいる大陸とエルフが住む島の間にある小島に、自分たちの国を作った。
その国は、小さいながらも「あの」勇者の国らしく、いろいろな種族がお互いを尊重し、仲良く暮らす理想郷となっていた。
勇者の没後、彼の行った数々の偉業は「
(なお、ポンコツエルフが言っていた「絆を結んだ相手が亡くなると、その相手の記憶もなくなる」ということだったが、聖女が勇者のことを忘れることはなかった。)
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これで、歴代最強と言われた勇者の英雄譚は完結となる。
この勇者は、確かに実力は歴代の勇者の中でも最強と言われるほどであったが、何よりこの勇者の強さは、歴代のどの勇者も持っていなかった、
「種族に関係なく慕われる能力」
ではないだろうか。
ー 面倒くさがり屋(だけど最強)勇者の英雄譚 ー
完
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実は、あと一話あります。
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