終章:エピローグ
勇者の軌跡エピローグ1:勇者パーティ、魔王討伐の後日譚を語られる
これから語られるのは、魔王軍との最終決戦に勝利した勇者達の後日談です。
※ 魔王軍との戦いについては、「プロローグ」をご覧ください。(手抜き)
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「魔王討伐、お疲れさまでした。これで、この世界に平穏が訪れます。」
俺の目の前にいる女神が感謝の言葉を述べた。
「まあ、それが俺の『使命』だったからな。」
ここは、「神の領域」。転生時とちょくちょくこの女神に呼ばれて話し相手になったときに訪れた場所である。
「それで、これからどうするのですか?」
と、女神が予想外のことを聞いてきた。
「ん?それはアンタが決めるんじゃないのか?」
女神からすれば、役目を果たした俺は「用済み」のはず。
ラノベの展開では、元の世界に戻るとか消されるとかされていたので、てっきり俺もどうなるかはすでに決まっていると思っていたのだ。
「いえ、私の都合でこちらの世界に来てもらいましたので、使命を果たされた後はあなたの望むことをしてください。」
「勿論、『元の世界に帰してほしい』と希望するのであれば、元の世界に『転生』することもできます。」
そんなことを女神が言った。ああ、元の世界の「俺」は既に故人だから、「転生」なのね。
「それって、今ここで決めなくちゃいけないのか?」
俺がそう聞くと、女神は微笑みながら答えた。
「いえ、そのような事はありません。今決めなくても構いませんよ。」
その答えに、俺は少し考えて、
「そうか。それじゃあ、決まったらまた『ここ』に来ればいいのか?」
「そうですね、私の『力』が必要であれば、いらしてください。」
「分かった。それじゃあ、そろそろ戻るわ。またな。」
「はい。」
そう言って、俺は「神の領域」を後にした。
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「・・・ぅしゃさま、勇者様。」
何か声が聞こえてきたので、目を開けると、そこには「あの」河童頭の教皇の爺さんの「どアップ顔」があった。
「うわっ!!毎度毎度びっくりするわ!思わずコークスクリューをかますところだったわボケ!!」
俺が驚いていると、教皇の爺さんは「ほっほっほっ」と笑っていた。おにょれ、このジジイわざとやっているな。
ここは、俺の故郷がある国の王都にある教会。例の河童司祭どもと魅惑の双丘を胸部に持つシスターたちがいるところだ。
魔王討伐の報告のために各国を回り、つい先ほどこの国の王に報告を済ませて、ここに足を運んだのだ。
ここに来たのは、勿論女神に魔王討伐の報告をするためだ。
「それで、女神さまにご報告はされたのでしょうか?」
そう、教皇の爺さんが尋ねてきたので、俺は女神とのやり取りを話した。
「ふむ、それで、勇者様はこれからどうなさるおつもりでしょうか?」
と、爺さんが聞いてきたが、特に考えていないんだよな~。
「とりま、暫くはのんびりするわ。」
そう俺は答えた。尤も、暫くは祝勝会とかあってのんびりは出来ないだろうけどな~。
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ここからは、その後の勇者一行について簡単に語っていこう。
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彼は、勇者と一緒に王都に滞在していた時に、「絵」に興味を示し、その才を開花させた。
特に、「貼り絵」と呼ばれるものが得意で、市場にて高値で取引されるほど高く評価されていた。
その後、勇者たちと別れて放浪の旅に出て、行く先々の景色を貼り絵にして残していった。
「いたぞ!先生ー!!やっと見つけましたよ!ぜひうちの工房で絵を描いてください!」
「抜け駆けするんじゃない!俺たちの画廊で先生に創作活動をしてもらうんだ!」
「ままま、まずいんだな。ししし、しつこい奴らが来たんだな。ととと、とりあえず逃げるんだな。」
ベレー帽をかぶり、画用紙を脇に抱えた重戦士が、欲に
「ぼぼぼ、僕はだな、おおお、おにぎりさえ食べられれば、ししし、幸せなんだな。そそそ、それ以上のお金なんていいい、いらないんだな。」
そんな感じで、人族の商人と重戦士の追いかけっこは今日も続いている。
<アサシン:ハーフリング族>
「師匠!新しいギャグを考えたので、見てください!」
「うむ、わかった。それじゃあさっそくやってみなさい。」
勇者と一緒に王都にいた時に、彼から「お笑い芸人」の心得を習い、その後故郷の集落に戻って、「お笑い芸人の育成」に尽力することになる。
勇者とは、結局恋愛関係までには発展せず、最終的には「芸人の師匠と弟子」という関係に落ち着いてしまった。
「ん、そろそろ『おしごと』のじかん。」
もちろん、本業の「暗殺」は続けている。「芸人育成」の先生と「
「娘よ、今度の見合い相手だが...。」
「いらない。そんなひまない。」
結婚適齢期の娘に、浮いた話がないので父親である族長が縁談を持ってくるのだが、当の娘はそれをすべて断っている。
「いまはいそがしいからけっこんなんかできない。」と言っているが、このままでは結婚適齢期を過ぎてしまうのではないかと心配する父親であった。
「よし、わたしはこれから『おしごと』だから、さいごに『ツッコミ』のれんしゅうをする。」
「「「イエス、マム!」」」
芸人を目指している者たちは、まるで軍隊のように声を揃えた。
「まずはツッコミのきほん、『なんでやねん!』。」
「「「なんでやねん!」」」
「つぎに、いひょうをついた『ボケ』をしたとき、『そんなアホな!!』。」
「「「そんなアホな!!」」」
「さいごは、おわるときのしめのことば、『いいかげんにしなさい!!!』。」
「「「いい加減にしなさい!!!」」」
皆、声をそろえてアサシンの言葉に追従する。
「よろしい、それでは、かくじでボケとツッコミのれんしゅうをするように。」
「「「ありがとうございましたぁ!!」」」
<聖女:エルフ族>
聖女は、勇者が旅立った後も一人教会で「お役目」を果たしていた。
勇者がいなくなって、寂しい思いをしているのかと教会の者たちは気にしていたが、そのような事はなく、いつも通り聖女としての仕事を務めていた。
そんなある日、彼女が突然「エルフの里に戻らなきゃいけなくなった」と言い出したかと思ったら、あっという間に旅支度をして出て行ってしまった。
河童司祭たちは突然のことで困惑していたが、巨乳シスターたちは何かを察しているようで、「あらあら」という感じで生暖かい目をして笑っていた。
時を同じくして、この国の
父親である国王は、すぐに近衛兵たちへ王女を連れ戻すように命じたが、それを母親である王妃が一喝(物理)し、こちらは「やれやれ」という顔をして生暖かい目を向けて見送るのだった。
そして、見事に魔王を倒した勇者はというと...。
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