勇者の軌跡39:勇者、ここでも面倒ごとに巻き込まれる
さて、今俺たちはエルフ族の女王の屋敷にて、女王自ら「お願い」をされている。
「実は、折り入ってご相談したいことがありまして...。」
「誰が『檻に入って相談する』じゃ!」
「は、はい...?」
俺の華麗なボケに、女王は戸惑っている。うーむ、やはり
「勇者様、御冗談はおやめください。陛下がお困りになっておられます。」
俺がそう思っていると、女王の傍にいた宰相(ちびっ子)が苦言を呈してきた。
あらまー、女王が言ったように「
「それで、相談事って何?」
俺は、女王の横で未だにブチブチ言っているキモい宰相を無視して、女王に要件の催促をした。
そうそう、俺の口調だが、面倒くさくなったから普段通りの言葉遣いにした。
女王にもそのように言うと、何だか喜んでいた。フラットに話してくれる相手がいなかったからだろうな。知らんけど。
ただ、「俺にも名古屋べ...『エルフ訛り』で喋ってくれてもいい」と言ったのだが、何だか変に意識してしまうらしいので、今は「女王モード」の口調になっている。
「は、はい。実は、この近くの森に『オーガ』が住み着いてしまい、対応に苦慮しているのです。」
女王の話によると、つい最近(と言っても5年ぐらい前)、女王がいる集落の近くの森に、どこから来たのかわからないが、巨人族の「オーガ」が居座ってしまったそうだ。
そのオーガは、特にエルフたちに危害を加えることはなく、一人で大人しく暮らしているらしい。
「別に放っといてもいいんじゃね?何か被害があったわけじゃないんでしょ?」
無許可で住み着いたとしても、別に被害を
「そういう訳には参りません。今は大人しくしていますが、
俺の話を聞いて、宰相がそのように言ってきた。
確かに、宰相の懸念は
「なるほど。で、俺らにどうしてほしいの?」
そう聞くと、何故か女王がもじもじしている。何だ、うん●でも漏れそうなのか?
「それはさっき済ませてきたで、心配せんでええがね。・・・って、違ぁーーーう!!」
俺の考えていることを読んだ女王が、見事なノリツッコミをしてきた。
今のが「俺の考えを読んでの女王のリアクション」とは分かっていない他の連中は、「何言っているんだこいつ?」みたいな顔をしている。アサシンに至っては、「じょうおう、ついにあたまがおかしくなった。」とか失礼極まることを
そんな寸劇があったが、改めて俺達への依頼と言うのが、「はぐれオーガの調査」だそうだ。
な~んか、前にも似たようなことをやったような気がするぅ~、と思って聖女を見たら、聖女も、そのことにうすうす感付いていたようで、「うわっ、まるで私が初めて
「わかった。で、調査するだけ?ほかに何かある?」
そう俺が宰相に尋ねると、彼女は「?」という顔をした。
「・・・はい?依頼はあくまで『調査』だけなので、要件が済みましたら速やかにお戻りください。」
ふむ、他に色々頼んでくると思っていたが、意外とあっさりしているな。ここが「
俺がそう思って、承諾しようとしていたら、
「ちゅーことで、うちも行くで。」
などと、突然女王が言い出した。いや、お前も行くんかい。あと、名古屋べ...「エルフ訛り」が出ているから、「女王モード」は終わったのか。
「何か、面白そうだがね。それに、『オーガ』っちゅうのといっぺん戦ってみてゃーかったんだわ。」
おいコラそこの「頭が残念な」ロリ巨乳、さっき「調査だけ」って言っただろうが。なんで「戦う」前提何だ?お前はサイ●人か?
つーか、宰相が許さないだろう?と思って見てみたら、盛大なため息をついている宰相の姿があった。
「そういう事ですので、よろしくお願いします。」
認めるんかい!?というか、どちらかというと「諦め」ているっぽいな。
「実は、陛下はああ見えてもまだ8歳です。」
うん、知ってる。あの姿で年齢が2桁行っていないなんてミラクル以外の何物でもないけどな。
「それに、『ハイエルフ』という事で、非常に戦闘力が高いのです。」
うん、それも知ってる。というか、前にそこにいる
・・・ん?もしかして。
「はい、困ったことに勇者様の思われている通り、『腕試し』をされたいようなのです。」
そう、またため息をつきながら宰相が言った。
うーん、それは困るな~。もしかして、俺が探しているラス1メンバーになるかもしれないからな~。
そう思った俺は、近くで雑談をしている合法ロリーズを手招きで呼んだ。
「どうしたの?もうお昼ごはん?」
「ゆうしゃがてまねきなんてめずらしい。それとも『
そんなことを言ってきた(見た目)ちびっ子共である。
「違うわ。今から調査に行く『オーガ』なんだが、もしかして俺たちのパーティメンバーになるかもしれない。」
俺がそう言うと、合法ロリーズはお互いの顔を見合わせた。
「そういえば、私たちがこっち方面に来たのって、それが目的なのよね。」
「『オーガ』はきょじんぞく、ゆうしゃがいってたじょうけんにはあう。」
そう言って、納得していた。
「そういうことだ。で、だ。あの名古屋べn...、
「あんた、サラッと酷いこと言ったわね...。それは兎も角、ちょっとまずいわね。」
「『
んー?それとはなんか違う気がする。つーか、お前「列車」を知っているんかい。
・・・と思ったけど、「蒸気船」があるなら「列車」もあるか。知らんけど。
「まあ、それよりもだ。聖女が言ったように今戦って、もし『オーガ』が倒されるようなことがあると困るので、アサシンが一足先に行って、情報を仕入れてほしい。」
「あらほらさっさー。」
そう言うと、アサシンはあっという間にいなくなった。
さて、そうしたらアサシンが戻ってくるまでどうやって時間を稼ぐかな~、とか考えながら、例の
ふむ、向こうはやる気満々だな。しかし、世の中そんなに思い通りいくとは限らないという事を、この
「あんた、まーた何か良からぬことを企んでいるわね...。」
何か、聖女が言っているが、そんなの気にしねぇ。勇者様による「教育的指導」だっ!フハハハハハ!!
「ということで、捕縛~。」
「うにゃーーーーーーっ!!?」
俺がそう言うと、何という事でしょう。あの
うん、自分でやって何だが、めっさエロい。これは通報案件になるな。お巡りさんコイツです。
「ゆゆゆゆ、勇者様?!いきなり何をしとりゃーすかぁ?!!」
と、地面に転がってもぞもぞ
「やかましいこの変態戦闘狂が。『調査』だっつーてんのになんで『戦うこと』前提になっているんだコラ。今俺の仲間が情報収集をしているからそれまで待たんかい。」
俺がそう言っている間も、話を聞かずに何とか捕縛から逃れようともぞもぞ動いている
「にゃーっ!ぜんっぜん
動けば動くほど、いろいろなところに縄が食い込んでいく姿を見ていると、放送禁止レベルにエロい。見た目は大人、中身はガキんちょが悶える(ように見える)姿は、何か凄い背徳感がするでごわす。
もぞもぞ悶える
そんな混沌とした場面に、これまたグッド(?)タイミングで偵察に行っていたアサシンが戻ってきた。
「ただいま...。ゆうしゃ、じょうおう、あたまがおかしくなっただけでなく『えすえむ』ぷれいもするようになったの?」
うむ、ぱっと見は確かにその通りでござる。しかし、相変わらず身も蓋もないことを言うな、このちびっ子。
「まあ、いろいろあってな。んで、どうだった?」
アサシンから
「よし、それじゃあ早速会いに行ってみるか。」
そう俺が言ったら、フリーズ状態から復帰した聖女が慌ててこう言った。
「ちょ、ちょっと!行くのはいいけど、『あの』女王様はどうするのよっ?!」
俺は、相変わらず悶えている変態女王を見ながら、
「勿論連れて行くよ?そうお願いされたから。てことで、アンタはそこの
と、亀甲縛り状態の女王の傍にいた未亡人エルフに言った。
「う、うむ。分かった。それでは陛下、参りましょう。」
そう言って、
「こりゃー!近衛隊長ーっ!!言われた通りに担がにゃーで早うこれを解きんしゃーい!!」
肩に担がれた女王が、
「・・・それにしても、いくら油断されていたとはいえ、あの女王様をあっという間に捕縛するとは...。」
と何やらブツブツ言っていた。キモい。
そんな訳で、亀甲縛りの変態女王を連れて、俺たちは「仲間候補」のはぐれオーガの元に行くのだった。
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