勇者の軌跡14:勇者、魔物討伐に行く
「はい、終わりました。あなたに神のご加護があらんことを。」
「あ、ありがとうございます、聖女様!」
エルフが「聖女」に就いて10日、今彼女は王都にある教会で「聖女」の務めである「癒しの施し」をやっていた。
実を言うと、別にしなくても問題ないのだが、聖女(エルフ)が、
「聖女になって、どのくらい治癒術の効果が上がったか確かめてみたいの。」
と言うので、確認がてら聖女の務めをやっているという訳だ。
結論から言うと、効果は段違いだそうだ。本人曰く、「大体2倍くらいになった」そうだ。あと、魔力消費も減ったらしい。
あと、聖女専用の魔術を覚えたそうだ。厳しい条件があるものの、なんと蘇生もできるらしい。すげえ。(
補助魔術については、まだ確認していないらしいが、「効果は上がっているんじゃない?」ということだ。
精霊術も問題なく使えるそうだ。ただ、効果は変わらず。まあ、そうだろうな。力の源が違うからな。(精霊術は『精霊』、魔術は『神』が力の源)
エルフが「聖女」に就いたことは、覚職したその日に即王宮に報告された。
王宮では、すぐに聖女誕生を祝う宴が催された。
あ、言い忘れていたけど、エルフが「聖女」に就いたときに、人間の言葉が話せるようになった。女神が特別サービスしてくれたらしい。サンキュー便所マッチ。
そういえば、晩餐会の時にちみっ子王女が複雑な表情をしていたな。何でだろう~、何でだろう~。何でだ何でだろう~。(すっとぼけ)
で、聖女が「お勤め」をしている間、俺は何をやっていたかと言うと、
荷物運びやお使い、子供たちの御守りやケルベロス(「ケル」「ベロ」「スー」と言う名の3匹のわんこ)の捜索などなど。いやー、まいったまいったマイケ●ジャクソン。
つーか、これって俺がやらなきゃいけない事なのか?何か、「
そんなことをやっててさらに10日。
「え、魔物討伐?」
いい加減小間使い扱いに嫌気がさしてきた俺の下に、魔物討伐の依頼が来た。
話を聞くと、ここから南にある町で、魔物の襲撃事件が起こっていて、結構な被害が出ているとのことだ。
王都から討伐隊を派遣しているようだが、なにせ数が多くて手が回らないみたいだ。
どうやら、魔王の手下が裏で糸を引いているらしい。糸を引くのは納豆だけで十分です。あ、昆布やオクラもありです。
何で魔王の手下が関係しているかと言うと、報告してきた担当者曰く「『魔物』が襲っているんだから、同じ『魔』がつく『魔王』の
こいつアホなのか?まあ、まったく無関係じゃないのかもしれんが。
ということで、俺たちは魔物の襲撃を受けているその町に行くことにした。ここから南に馬車で1日位の所にあるそうだ。大体50kmくらいか。結構離れているな。
「もちろん、私も行くわよ!なんたって私は『勇者パーティ』のメンバーなんだから!」
と、鼻息荒く聖女が言ってきた。勿論置いて行くわけがない。つーか、なに張り切っているんだ、このちびっ子は。まあいい。
それで、討伐メンバーを確認したところ、何とあの
何でも、王族が行くことで「王家はあなたたちの町を見捨てていませんよー。」と言うことを示したいらしい。ご苦労なこった。
ん?あー、それで聖女が張り切ってたわけね。フッ、モテる男はつらいぜ。(自意識過剰)
それにしても、王族が同行するとはいえ、護衛500人って多すぎじゃね?こんなに行って王都の守りは大丈夫なのか?まあ、別にいいや。特に興味ないし。
それで、出発当日。
討伐隊のメンバーが王都南門近くの広場に集まっていた。勿論あのちみっ子王女もいる。
「・・・・・・・・」
うーん、俺の目の錯覚か?何か聞いていた人数より多い気がするんだが。
「なあ王女、何か聞いていた人数より多い気がするんだが?」
俺は、横にいるちみっ子王女に俺の素朴な疑問を呈してみたところ、ちみっ子王女は満面の笑みで、
「はい!兵たちが『勇者様の戦いをぜひ拝見したい』と言ってきたものですから、希望者を全員連れていくことにしましたのっ!!」
などとほざきおった。
OH、目の錯覚じゃなかったのね。つーか、このちみっ子王女、クルクルパーなのか?
「・・・一応聞いておくけど、こんなに連れて行って王都の守りは大丈夫なのか?」
そう俺が言うと、討伐隊長らしきおっさんが自信満々でこう答えた。
「御心配には及びません、勇者様。この王都には、まだ2万人ほど兵がおりますゆえ、王都の守りは完璧です!」
兵隊居過ぎじゃボケ!つーか、ここの住民って、多く見積もっても3万人ぐらいしかいないじゃねーか!何、ここの民衆ってほぼ兵隊なの?サイ●人かこいつら!?
ん、まてよ?さっきこの
つーことは、俺の雄姿を見たいのって、兵全体のたった5%ってことか?これって多いのか、少ないのか?ボクわかんなーい。(幼児退行)
まあ、全員来るとか言われたら、それはそれで困るけどなー。まあいいや。多分気にしたら負けだ、うん。そういうことにしておこう。
「それでは、今から魔物討伐に向かう。しゅっぱーつ!」
討伐隊長の掛け声で、討伐隊1500人(内王女の護衛1000人)が王都を出発した。
俺らと王女は、馬車に乗って周りを護衛の兵士によって囲まれる形になっている。
で、馬車の中の俺だが、両脇にちびっ子2人が鎮座し、腕をがっちりホールドして密着されている。この馬車、2人掛けなんで狭いっす。
これがばいんばいんのお姉さんだったら、腕に幸せの感触が当たるのだが、今はまっっっっっっったくない。「なんかあったけーなー」ぐらいの感想しかない。
なんか俺の周りに集まる女性って、(見た目)ちびっ子ばっかりな気がするが、気のせいだよな?気のせいだと言ってよカテ●ナさん!
そんな俺の心の叫びをよそに、討伐隊は一路南の町に向かっていった。
----------
この国の全人口は約50万人ほどで、王都は小規模の都市になります。
王都なのに小規模なのは、「勇者」の恩恵を受けていないためで、恩恵を受けているところ(例えば勇者の生まれ故郷など)は10万規模の人口を誇ります。
王都民のほとんどが兵隊なのも理由があり、ここは「王族」が集まっている場所のため、警備に特化した街づくりになっているのです。
・・・などと尤もらしいことを書きましたが、ぶっちゃけ適当なので、「この世界はそうなんだなー」と思っていただけると幸いです。(責任放棄:2回目)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます