勇者の軌跡5:勇者、依頼を受ける
野宿することもなく、初日で無事(?)最初の宿場町に着いた。
大体50kmぐらい歩いたかな?うん、普通普通。
え?一日で50kmも歩けるわけないだろうって?
チッチッチッ、現代の虚弱体質連中を基準にされても困るZE?
ここは異世界だぞ?現代のへなちょこ共とは鍛え方が違うんだよ。異世界の一般ピーポーなめんな。
そもそも、マラソンだって42.195km走るんだから50Kmなんて余裕のよっちゃんイカだよな?
・・・まあ、そんなことはどうでもよくて、宿場町に着いた途端、熱烈な歓迎を受けて、現在絶賛接待受け中。
いやー、
そんなことを思っていると、この街の町長らしきバーコード頭の小太りなおっさんが揉み手をしながらやってきた。
うん、こいつはこれから「バーコード町長」と呼ぼう。
「勇者様、この度は我らの街にお越しいただき、ありがとうございます。」
「うむ。」
一応、偉そうにする。なんたって、この世界では勇者は国王と同格(らしい)からな。
バーコード町長は、にこにこしながら揉み手を続けている。
その頭を見ながら、バーコードスキャナーを当ててみたいなー、とか思っていた。スキャン結果が「町長 提灯持ち 返品不可」とか出てきたりしてwww。
「それで勇者様、実は折り入ってお願い事がございまして...。」
「誰が『
「・・・はい?」
バーコード町長が素っ頓狂な声を上げた。
「いや、気にするな。」
いかんいかん、この世界では俺の高貴なジョークはまだ通じないな。まあ、仕方あるまい。
というか、やはりというか。
「まあ、そんなことだろうと思っていたけど。で、その『お願い事』って何?」
「これはこれは、さすが勇者様、恐れ入ります。」
バーコード町長は、汗を拭きながらそう答えた。
「実は、この町の周りでゴブリンを見たという情報がありまして。」
「うん。」
「うちの自警団が調査したところ、近くの洞窟に住み着いているようです。」
「住み着いているって言ったけど、どのくらいの数がいるの?」
「それが...。」
ん?何か言いにくそうな感じだが、もしかして結構な数がいるのかな?
「1匹みたいなんです。」
「そっちかよ!て言うかたった1匹?それくらいだったら自分たちで何とかできないの?」
「そ、それが、滅多に洞窟から出てこなくて、その洞窟に近づこうとしても、何か見えない『壁』のようなものがあって、近づけないのです。」
見えない『壁』か、結界か何かなのかな?つーか、この世界のゴブリンって結界を張れるの?
「それ、本当にゴブリンなの?話を聞いているとそれ『結界』みたいなんだけど、ここのゴブリンってそんなことできるの?」
俺は疑問に思っていたことを聞いてみた。
「見た者の話では、『遠くからしか見ていないが、人みたいな姿をしていて背が低く、体が緑色だった』とのことなので、恐らくゴブリンではないかと...。」
ふむ、その話が本当なら、自分が聞いたゴブリンの特徴に似ているな。確かにこの辺には、人型の魔物はゴブリンぐらいしか出ないからな。
「で、俺にどうしてほしいの?」
「は、はい。まずはその者の正体を確認してほしいのと、もしゴブリンであれば退治していただければと...。」
そっかー、この世界のゴブリンの認識は、「ゴブ、即、断!」みたいだからな~。ゴブリン、おまいら何やったんだ?
「分かった。明日にでも調査に行くけど、それでいい?」
「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!」
その後、俺への接待は夜遅くまで続いた。うむ、余は満足じゃ。
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翌日、俺はゴブリンが住む洞窟へ向かうことにした。
「で、その洞窟って、どこにあるの?」
俺は、見送りに来たバーコード町長に尋ねた。
「はい、ここから街道を外れて西に半刻ほど行ったところです。」
つーことは、ここから1時間ぐらい行ったところか。
ああ、この世界の「半刻」は俺らがいた世界の時間に換算すると、1時間ぐらいだ。
ちなみに、この世界は1日が10刻、つまり20時間で月はなくて1年300日となっている。なんてキリのいい数字だ。
「分かった。ほんじゃちょっと行ってくるわ。」
「よろしくお願いします。」
バーコード町長に見送られながら、俺は洞窟調査に向かった。
念のために言っておくが、カメラマンさんや照明さんが先行しているということはありません。と言うかそんな人この世界にはいません、多分。
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町に着いてすぐ「勇者」だと分かったのかと言うと、勇者の生まれ故郷から一番近い宿場町であったことで、「もうすぐ勇者が旅に出るらしい」と言う情報を得ていて、今か今かと待ちわびていたわけです。
町からすれば、「飛んで火にいる夏の虫」と言った感じです。
・・・などと、
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