第11話つばさノーパン
ストッキング履いてないのか?セクシーなやつ。
と、思いながらカムリ全体を見渡していた。
視界がボヤけ、今何をすべきか優先順位を確認する能力が断た
れていた。
> 展示中の新型カムリには指紋や手垢がベタベタと着いていて昨日のイベント
に来客が触り上から押していたのはショックの硬さの確認の為だったが、手加減
を知らない素人の客は往往にしてフェンダーを凹ませるほどの力でそのまま体重
を掛けて押すバカが居るのは否めない。
> リヤトランク、リヤバンパー、斜めに賺して見るのは線傷と凹みの確認の為
だ。
> 中古自動車査定士の国家資格を持ちそれをフルに活用出来ている。
> 無心になってウエスでボディーを拭いていた。
時間やすべき事のプロトコルが飛んでしまっていた。
> 何も考えられ無かったが、ナオミが来客なら今はこれが優先だとばかりに急
いで吹き上げズボンの右ポケットの膨らみを手で押さえながら来客対応の為につ
ばさの後を追う形でサービスフロントへ入ったのは、アナウンスが鳴ってから10分後の事だった。
> 「いらっしゃいませ。」フロントカウンターに座らず立って待っていたナオ
ミにツカツカと歩み寄る。余所行きの笑顔で・・・。
> 背中を指す様な視線に痛みを感じながら所用を済ませて行く。
> 鮮やかな客さばきをしていたのは、つばさがこちらを睨んでいたせいだった。
> 何よあの娘、「感じ悪ぅ!」嫌悪の捨て台詞とワゴンRを残して立ち去った。
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