第8話 川辺
今日も俺はネクタイを締めスーツに腕を通す。
働いてはいないが、こうするのには理由がある。
友人の子供の写真をスマートフォンの待ち受けに設定した。
女によって変えなければならないのが面倒だ。
今から「由紀」の家だ。
由紀は焦らしに焦らしたが仕上がってきたので抱く。
由紀を優しく抱いた後に会社でミスをしてしまった、これが最後かもと言う。
由紀は操り人形のように焦り、金を用意した。
ターゲットは財布の緩い高級ソープ嬢だ。風俗嬢を落とすコツもしっかりとある。
内気で
自分からはなかなか手が出せず、優しくて、丁寧。
勿論例外もある。
「美羽」だ。美羽からは金を取らない。早く援助交際を辞めてほしくて逆に貢いでいる。
美羽とは結婚もしたいし独身であると言っている。
「怜美」からは千五百万を引き出した。
一人千五百万が目標値で後は絞り尽くす、これが俺のやり方だ。
大体最低三人はキープして、出張ばかりと全員に伝えている。
怜美が駄目になってきたから新しいカモを探しに高級ソープへ行く。
「美咲」という美しい女が出てきた。スタイルも抜群にいい。
今日はついている。
恐らくナンバー1だろう。今日で辞めるらしいがどこかの愛人になるはずだ。
これだけの美貌なら仮にソープを辞めても他で稼いでくれる。
予想通り、向こうから電話番号を聞いてきた。こうなったらもう逃げられない。
蜘蛛の巣に引っかかっているようなものだ。
連絡頻度を徐々に上げていく。二回目のデートで手を繋ぐ。
それ以降のデートで金を搾取した。
ポンポンと騙され金を出す。
予想外にどんどんと落ちぶれ、挙句には狭い汚い家を借りて一緒に暮らす
援助交際を頑張らせ、月に四十万は取れるが、疲れと必死さで見た目も抱くのもきつくなってきた。
潮時かもしれないと思案していたら美咲が性病を貰ってきた。
三人に移してしまい浮気者、金を返せと罵られ、美羽からは別れを告げられてしまった。全部オジャンだ。
美羽と離れるのはきつかったが、まぁ仕方がない。次のターゲットを探しに行く。
そして俺は女たちの耳元で「愛してる」と囁く。
スパイダー・シルク 村崎愁 @shumurasaki
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