/// 41.娘さんを僕に・・・

ドワーフトリオを送り届けるため、心優しき紳士、サイコは護衛を引き受ける。久しぶりの街に周りからの信頼も厚いサイコは歓迎を受ける。そしてひっそりとまた旅立つのであった。


おい!前回の埋め合わせか?なんかよそよそしいぞ・・・まあいいや。

気合も充分!やってやりますよ!!!



今日もサイコは最下層を目指して狩り進む。両手に光牙(こうが)で次々とすれ違いざまに切りつけては収納、仕留め損ねた魔物に囲まれ飛びつかれた際には爆炎で周囲を吹き飛ばす。幻影を使って分身の術のように魔物たちを困惑させては背後からその命を狩り取っていく。経験値が湯水のように入ってきてはレベルアップに拍車がかかっていた。


かなりのハイペースで4000階層を突破していた。現在4001階層、周りの魔物は4000ちょっとレベルも追いついてきているようが。これは最下層は9999レベル程度の魔物がうようよなんだろうな・・・まあ何とかなりそうだ。そう思って次々と狩り進んでいた。レベルの上りが早いため、どんどん下に潜っていかないとすぐに舐めプになってしまう。


しかし、4015階層まで足早に進んだところで、文字通りその舐めプウィーイなサイコの足元が救われるのであった。


左足に巻き付いた真っ黒な触手・・・既視感・・・予想通りその触手に引きずられて地面を超音速で引きずられる。剥げるーーーー!と絶叫したサイコはまず先にとウィンドで体を包んで身の安全、特に頭皮の安全を確保した。そして全力を込めた爆炎を連発してみるが、やはりその触手は傷一つつかなかった。Maxの光牙(こうが)も通らない。そしてサイコは購(あがな)うことをあきらめた・・・


気を失いかかえたサイコの体が急に停止をする。気持ち悪さを我慢しながらその目を開けると・・・そこには真っ黒な・・・イカ?の顔が迫っていた。


『ふむ。マイたんの匂いがしたので引き入れてみたが・・・お前はなんだ?人族のようだが・・・』


やっぱりマイさんのパパさんか・・・


『パーパ?その子、おびえてるじゃない。早く放しなさい!』


そういうと、輝く七色が混じった美しいパープルカラーのイカが触手を絡ませサイコを包むと地面へ降ろしてくれた。


+ワルビス

種族 クラーケン族 / 年齢 845 / 性別 ♀

LV 6943m

力 80169

守 26480

知 89134

速 61437

スキル 詳細鑑定(999) 増殖(999999) 捕獲(999999) 眼力(999999) 回復(999999)

称号 王妃


なんだかなーーー。自分のステータスの倍はある存在にあっけにとられている。これはママさんかな?とにかく・・・助かった・・・でいいんだよね?


「ありがとうございます。マイさんにはとてもお世話になりまして・・・これを預かってきました。本当はもう少しかかる予定でしたが・・・引きずら、いや丁寧に迎え入れていただいたようで・・・」


そういって忘れていた手紙を思わず出してしまったサイコ。


『あらまー。マイちゃんから。嬉しいわーもうかれこれ50年はあってないからー』


『う、うむ。マイたんの知り合いだったか。まあ分かっていたことだがな。そうじゃなければお前なんぞここに来るまでにズタボロになっているはずだ。一番上からひっぱってきたからな!』


ママさんとパパさんの会話に本気でビビっていると『パーパ!』『うっ・・・』という夫婦間の力関係が伺える会話も聞こえていた。


+ヲワオジャン

種族 クラーケン族 / 年齢 912 / 性別 ♂

LV 6508m

力 78139

守 68132

知 26497

速 65413

スキル 詳細鑑定(999) 増殖(999999) 捕獲(999999) 多足(999999) 粘液(999999)

称号 王


わーお。すごいね。パパさんの真っ黒ボディーなクラーケン族の王はまたとんでもないパワーを秘めていた。多足と粘液というスキルが気になる・・・


そんなことを感じているサイコをよそに、二人は手紙を今日に触手で開封して読み始めた。


『どれどれー

ママ、パパ、私は元気にやっています。帰れないのは寂しいけど、私もまだまだ修行中。きっと立派なレディーになって帰ってくるから待っててね!

でね・・・そこにサイコちゃんってかわいい子がこの手紙を届けてくれてると思うんだけど・・・私!そのこといい感じになっちゃいました(ハート)

一緒に同棲生活をして、みるみる強くなっていくサイコちゃんとラブラブ生活を過ごしていたんだけど、強くなったサイコちゃんは遂に私の伴侶となるべく

この手紙をもって挨拶に行くんだって。

だから・・・多分、「娘さんをください!」なんて言われちゃうかも!キャー――(ハート)

その時はよろしくね。ママ。

あと、サイコちゃんいじめたらパパとは絶好だから(絶対

だって。キャーー遂にマイも結婚かー素敵ねーパパ。・・・パパ?』


『ぐ・・・ごの・・・どこのタコの骨とも分からん男と・・・マイたんが結婚だと!!!!』


手紙を読み終えた王妃と、それを聞いて血管が顔に浮き出てまくってる王の怒りの声に、王妃が『パーパ?』と威圧の眼力を放ち、王は『ぐっ』とうずきこちらを睨むながら口元で笑顔を作ろうとひくひくさせていた。


しかし何という文面・・・結婚する気なんてないんだすよ?ほんとだよ?パパさんの怒りは無意味な虚構ですよ?と言ってたい・・・でもそうすると王妃が遊びだったの?とか言ってややこしくなりそうだと俺の直感が言っている・・・気がする・・・しばらく固まっていると、またパパさんがサイコの胴をがしりとからめとった。


『そうだな・・・人族にしては中々の力・・・よし、ここはワシが特訓に手を貸してやろう・・・』


そう言って、サイコをそのままマイさんのあの場所と同じように存在した、だがその10倍ほどがあろう程の巨大ながけ下に放り投げられた。体勢を整え着地するとそこには多数の魔物が・・・またあれか・・・そう思ったがさすがに慣れてしまった状況に、周りの4000レベルほどの魔物を、何とかなるだろうと見据えていつものスタイルで狩り取っていった。


そして次々とパパさんの触手から放り投げ込まれていく新しい魔物・・・パパさんの触手が20本ぐらいあるんですが・・・あれは多足の効果なのか・・・そして落ちてくる魔物・・・レベル8000とかなんですが・・・無理だろーーさすがに無理過ぎだろーーこれはもう死んだだろーよ。やっぱりパパさん激オコブラッククラーケンファイヤーだったじゃねーか!!!


死を覚悟しながらなんとかしようと、爆炎を連発して幻影で分身を作って土壁をがりがり作りながらウィンドでダウンストリームを起こしていた・・・


そして・・・『ぎゅげ!!!』っという奇妙な悲鳴を聞いたと思ったら、上からどっしりと重みのあるドロドロの粘液が降り注いできて、魔物の動きが鈍くなった。そのままパープルレーンボーな触手に絡みとられて上に引き上げられた。そして視界には別の触手がパパさんの胴をぎっちぎちに締め上げていたのが見えた。


(あ・・・あれが粘液の効果か・・・)


『パーパ?あれ最下層クラスの魔物じゃない?あんなのひっぱってきて!マイちゃんを未亡クラーケンにするつもり!!!』


『ぐえ!げっ!ごぉぐ・・・あごば・・・ばぢ、がえっ・・あ¨あ¨あ¨・・・』


ママさんの締め付けに言い訳をしようとしているであろうパパさんの嗚咽が続いていた。


「あの・・・王妃様、もうその辺で・・・」


浄化で体を綺麗にしながら、王妃に話しかける。


『あらまー。サイコちゃんは優しいのね。パーパ?今度やったら喰らうわよ?』


『もうしません!絶対に!わし食べる良くない!』


王妃の怒りの眼力と恫喝に、土下座で謝る王・・・中々の光景である・・・


『しばらくは私が様子を見ながらひっきれるから、もっと早くほしくなったり休みたくなったりしたら言ってね?』


王妃に優しく言葉をかけられ、そのレインボーパープル触手に包まれて下におろされた。


今度は大丈夫だろうと、迫りくる4000台の魔物たちを狩り取っていく。大丈夫そうだと思ったのか徐々に速度が速くなる。どんどん狩りを続けること数時間・・・そろそろ一旦休憩したいな、と思い崖上まで飛んだサイコ。


『さすがに疲れちゃったわ。次はパパお願いね?』


その言葉に黙ってうなずく王を見ながら、無限収納から暖かな料理を出して、一部を貢物として2人?2匹?に差し出した。ママさんとは和気あいあいとできそうだ。パパさんが拗ねながらも隅っこで豚串に牛丼をかっ喰らっていた。『少ないな』とつぶやいては下から魔物を拾っては口に放り込んでいたため、食欲減退を抑えるためにそちらを気にすることをやめた。


それから1週間、王と王妃が交代で修業に付き合ってくれた。たまに『間違えたわい』と言いながら8000台の魔物が放り込まれるが、単体なら何とか対処できるまでになっていた。その度にパパさんの触手はママさんに食いちぎられ、無様な悲鳴を上げているパパさんという光景を見ていた。まあ多足スキルですぐにじゅるじゅると生えてくるのだがら2~3本、喰われていても大丈夫だろう。


『サイコちゃんは最下層に行きたいのよね?』


「ええ、まあ。女神の元に行きたくて・・・」


ある日、王妃ワルビスの質問に本音で答えるサイコ。


『あら?浮気?』


「いやいやいや!滅相もない!訳あって女神を一発殴りに行こうかと・・・」


『まあ!豪気ねーーー!素敵!』


王妃の目がキラキラと光っている気がする。そしてクラーケンの王、ヲワオジャンの方を向く。


『パーパ?サイコちゃんに加護上げたら?どうせ息子ちゃんになるんだし!』


『えっ?ええっ??』


突然の提案に驚く王。いやサイコも同じ気持ちだが・・・


『あれだよ?ワシの加護を人族に与えるとか?ないよ?今まで?前例が?無理じゃね?怒られるって?』


『・・・』


凄い勢いで断りの弁を述べる王に無言で王妃の威圧が注がれる。


『わかった・・・特別だぞ・・・内緒で・・・』


そういうと触手をサイコの頭において『ふんっ』と声を上げると一瞬光る・・・というか俺の意思は聞かんのかい!と思いながらも加護がついてしまったことを確認する・・・


『これで病気に強く成長の早くなるわ!とっとと女神ぶちのめしたら今度は結婚式ね!楽しみだわ――!』


『そ・・・そんなに急がんでもいいんじゃないの、うっ・・・』


ルンルンと触手をクネクネさせて喜ぶ王妃と、それに意見したがために眼力にやられる王。その日か結局、宴会のようになってしまって、めいっぱい食事をした後、壁際で丸まって寝るサイコだった。



+ワルビス

種族 クラーケン族 / 年齢 845 / 性別 ♀

輝く七色が混じった美しいパープルカラーの美クラーケン。クラーケン族の王妃。


LV 6943m

力 80169

守 26480

知 89134

速 61437

スキル 詳細鑑定(999) 増殖(999999) 捕獲(999999) 眼力(999999) 回復(999999)

称号 王妃


+ヲワオジャン

種族 クラーケン族 / 年齢 912 / 性別 ♂

ブラック無糖な黒ボディ。マイたんラブのクラーケン族の王。


LV 6508m

力 78139

守 68132

知 26497

速 65413

スキル 詳細鑑定(999) 増殖(999999) 捕獲(999999) 多足(999999) 粘液(999999)

称号 王


現在のサイコ

種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂

LV 6513m

力 90164

守 43971

知 64397

速 110453

スキル 詳細鑑定(999) 言語疎通(999999) 肉体強化(642972) 魔力増強(90648) 料理(39846) 精神耐性(107940) 無限収納 調合(5) 並行処理(286472) 鍛冶(758) 酒造(5) 精密動作(174310) 危険察知(999999) 超回復(4872)

魔法 転移(109) 浮遊(946) 治癒(84744) ウィンド(64982) 浄化(5501) ウォーター(3677) ウォーム(563) 光刃(こうが)(999999) 爆炎(16581) コーティング(15) 幻影(2648) 土壁(59)

加護 女神の加護(真) クラーケン王の加護

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