/// 40.しばしの帰還と偽装の指輪

転生ドワーフ3人組と遭遇して、魂注いだ武器にたいして事実を突きつけた鬼畜なサイコ!その悪行にドワーフ三人組は泣き崩れていた・・・


ちょっと待て!どうしてそんな事実無根のまとめとなるんだーー!!!

どうしてこうなった・・・おせーて偉い人(白目




長年暮らした自慢の部屋で、簡単に荷物をまとめてこの部屋を後にしようとする三人。


当然のようにポータルまでの道を護衛することとなったサイコ。試しに壊れてもいいからと渡された長剣を、近くにいたサンドスネーク、レベル3469にたたきつけると、キラキラと粉砕されて砕け散った。持ち手の方のアダマンタイト製のグリップはサイコの手形でへこみ、その後、半分にもげていた・・・そして三人は大爆笑していた。すげーすげーと連発していた。確かに長い年月、魂込めて作った自慢の逸品が瞬時に消え去る現実を凄いと表現していいものか・・・もう吹っ切れてはいるのだろうか?


そして、途中で遭遇する魔物の群れを光牙(こうが)で切り裂いていき、餞別といっては三人に回収させていく。これなら当面の生活費としては十分な資金となるだろう。


カンストしてしまった光牙(こうが)の代わりにと爆炎を試してみたが、火力が強すぎて通路全体がえぐれ、巻き込まれた魔物も消し炭になっていた。


「えっこれ使えなくね?上級魔法とかそんな系統なの?もうもう少し下層にいったら使えるのか?」


混乱しながらこの覚えたて熟練度1の爆炎を放った手のひらを見ていた。


後ろにいた三人は目と口が開いたまましばらくフリーズしていた。多分全員ちょっぴり漏らしてたかもしれない。


そんなこともありつつ、無事ポータルまで進むと「ちょっとした気分転換に作ったもんだ」とお礼の品として一つの指輪をもらった。なんでも魔物討伐の際の魔力素、いわゆる経験値の球種を倍程度に増やしてくれる程度のものらしい・・・ってかこれすごくない?


「えっちょっとこれやばくないですか?あの剣なんかより何十倍もすごいですよ!ありがとうございます!」


興奮してしまって喜びに満ち溢れていたサイコであったが、どうやら一部失言があったようで「剣なんかより・・・」とつぶやいた仁(じん)と同じようにうなだれる二人の妊婦に気づくことはなかった。


そして四人はポータルに乗る。


次の瞬間にはサイコには慣れ親しんだ遺跡の出入り口の帰還用ポータルの上だった。他の三人はきょろきょろと周りを見回していたが。


「じゃあこっちです」


その部屋をでて訓練所の横を通りギルド受付へと進む。


途中、ツンデレ―さんやタイマンさんなど顔見知りから「ひさしぶり」と声をかけられるが何やらよそよそしい雰囲気がにじみ出ていた・・・何かこう、腰が引けているような・・・


「サイコーーーーー!!!」


受付前まで進んだところで聞きなれたウィンさんの声が聞こえ、振り返った時には懐かしい加齢臭につつまれた。後ろには同じく赤い盾の二人もこちらを窺っていた。そしてアレクさんが指にはめていた指輪をこちらにふわっと投げ渡す。意味がわからずキャッチした指輪とアレクさんを交互に見ている。


「おまえ強くなりすぎた、俺でも腰がひけるわ。とりあええずそれしとけ」


そんなことを言うのでとりあわずと指輪をしてみると「ふぅ」とアレクのため息が聞こえた。


「後でちゃんとした上級の偽造腕輪ぐらいを買っとけ。じゃないと街中はあるけんぞ。バタバタ人が倒れちまうわ」


なるほど・・・腕輪を外した執事エイルさんを思い出す。あれは本来のレベルの殺意を向けたというよりは腕輪で漏れ出るものを取っ払ったということなのか。ではそれより強い威圧感を全方向に垂れ流していたということか・・・何それこわい・・・


「す・・・すいません。気づきませんでした・・・」


「俺もおかしいなって思ってたんだよ。これが普通の反応だよな?最初にあった時は絶対逃げられない魔人かなんかに遭遇したかと思ったんだぜ」


謝るサイコの後ろから、仁(じん)さんが胸をなでおろしながらサイコに愚痴った。


「あ、アレクさん、こちら、仁(じん)さん、凛子(りんこ)さん、神子(みこ)さんです。ドワーフですが転生者なんですが・・・どうやら来てすぐに遺跡のかなり深いところに拠点を作って100年ほど武具作りをしていたようで・・・来た時の私とおもってくれば・・・」


「そ、そうかい。まあなんだな。気を落とすなよ。この世は好きなことができるんだからよ」


アレクさんの察する力はさすがである。


「それと、お二方は妊娠中で、できればゆっくりできるところを紹介してくれればいいのですが・・・」


「おお!そんなことなら上の家族用の部屋を借りればよい。それから落ち着いたらゆっくり今後どうするか決めればよいじゃろな」


ウィンさんが提案してくれた案にドワーフ三人も笑顔が見えた。


早速と受付で素材を買い取りしてくれることを聞いて、素敵なお姉さんであるテレンサさんのところで三人を紹介して、それぞれが手分けして回収していた魔物素材を裏の回収所に収めた。合わせてサイコも食料などの買い足しと、偽装の腕輪を買うための資金として、少しずつ様子を見ながら20体ほどの魔物を出して見せた。


どうやらそれだけれ金貨100枚は超えるということで、とりあえず金貨100枚を即金で受け取ると残りはギルド口座に入れてもらうことにした。本当は全部吐き出そうとしたのだが、さっきどこまで潜ったかを聞いていたアレクさんたちに「やめてやれ」とストップがかかったので断念した。


ウィンさんからは「そんだけあるなら一生安泰じゃ。のんびり暮らすのもいいんじゃぞー」と縋り付いていたが苦笑いしたまま放置した。


ドワーフトリオの方も200枚ほどと、かなりの金貨を手に入れ、それがおおよそ200万程度だと聞くと、恐縮した様子でサイコに礼を述べていた。


その後、借りっぱなしの部屋に戻るとまずはゆっくりと風呂に浸かった。毎日浄化などで体は清潔に保っているものの、湯船に入るという行為はやはりいいものだった。途中なんどか土魔法で湯舟を作ってーなどと思ったのだが、遺跡内の壁は時間と共に戻るし、魔物が来た際に色々面倒だ。と考えていたので断念していたのだが、今回コーティングや幻影といった魔法があることがわかり、発現していたので実現できると思い直した。


ぴろん!

『土壁魔法ヲ習得シマシタ』


風呂から上がると、下に降り、魔道具売り場で完全偽装という腕輪を購入した。はめてみるとレベルが100程度のステータスになるので安心して街に出れるだろうという数値になりホッとする。まあ街には出ないのだが・・・


そして食堂で昼食を取る。ひさびさのまともな食事だ。もちろん無限収納から取り出されたアツアツの料理も食べてはいるのだが、安全が確保された場所で椅子に座ってテーブルの上で食べるという普通の食事をとったのはひさしぶりだったからしょうがない。


食べているとウィンさん含め、赤い盾の面々が周りに座り、料理長のコックスさんや同僚のケイン、その他スタッフが顔を見せて新しいメニューを出してきたので少しいただいては収納していった。その後は厨房に入ってうまいと評判のキング遺跡ガニや岩石ツナ、クイーンバッファローといった素材を提供して、その分他の食材を使わせてもらって高速で食料を作り続けた。


キング遺跡ガニは鍋にしたらとんでもなくうまかったので10体ぐらい出してかなりの数を調理して収納にいれてみた。そんな感じで無限収納には大量の食事が飲み込まれたるなか、夜になり部屋に戻った。ちなみにつまみ食いしながらの調理だったため夜食などは全く食べる気もしなかった。お腹はすでにパンパンである。


そして久しぶりの柔らかなベットで眠る幸せをかみしめて眠りについた。・・・当然のことながら爆睡したサイコは昼過ぎに目がさめるのであった。


ゆっくりと起きたサイコはお風呂でさっぱりすると下におり、軽い食事をした後にそのまま遺跡へと向かい、入り口のポータルから3001階層のポータルへと転移した。見慣れた岩壁に気を引き締める。どうやらたった1日、街に戻っただけで気持ちにゆるみがでていたようだ。まだ3000階層、先はまだ見えない。もっと気合をいれなくちゃな。


こうしてまた、黙々と魔物を狩り進めていく。気合も充分に満ちている。偽装の腕輪は外し威圧感を垂れ流しにしながら、経験値2倍の指輪を装備してサクサクとレベルと階層を上げていくサイコだった。



現在のサイコ

種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂

LV 3012m

力 42958

守 18014

知 28948

速 57465

スキル 詳細鑑定(999) 言語疎通(999999) 肉体強化(256199) 魔力増強(26321) 料理(39354) 精神耐性(48698) 無限収納 調合(5) 並行処理(126610) 鍛冶(758) 酒造(5) 精密動作(81258) 危険察知(526909) 超回復(2112)

魔法 転移(109) 浮遊(401) 治癒(36541) ウィンド(22692) 浄化(2007) ウォーター(1272) ウォーム(146) 光刃(こうが)(999999) 爆炎(1) コーティング(1) 幻影(10) 土壁(5)

加護 女神の加護(真)

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