/// 38.別れ旅立ち
マイさん主導の修行生活。ついにレベル1200に到達して、遂には修行は終了?サイコの貞操がピンチ?
どうしてこうなった・・・
『でももう、そろそろいいのかな?・・・サイコちゃん、さっき1200になったよ?』
マイさんが今まで以上に顔を赤らめて放つ一言に愕然としたサイコは身の危険、貞操の危機を感じていた。思えば毎夜体をまさぐられながらも、相応しい男になるからと言い訳をして逃げ続けていた男。そんな言葉に騙され、一生懸命修行に力を貸してくれていたマイさん・・・どうなってしまうのが嫌な汗がにじむ。
いっそこの場でマイさんを狩ってしまえば・・・とそこまで鬼畜になれたら良いのだろうが、さすがにそこまで腹黒くはなかったサイコ。実際に1200あれば触手から逃げ続け致命傷を与えることはできるだろう。そうできないほど、多少なりともな愛着も持ってしまっているサイコは困り果ててしまった。
覚悟を決めてマイさんからの言葉を黙って聞くしかない・・・真剣な表情でマイさんを見つめながら、次の言葉を待っていた。
『真剣な顔・・・すてき!いよいよ私と・・・結ばれてくれる?・・・でもね・・・まだ少し待ってね』
「へっ?」
まだ待ってという言葉に安堵しながら変な声が漏れたサイコ。
『すぐにでも結ばれたいんだけど・・・私ってほら一応お姫様?クラーケン種の王族なのね・・・だから・・・お父様の報告が先になっちゃう?』
何を言っているのか分からないとフリーズしているサイコに、マイさんはそっと手紙を手渡した。手ではなく触手だが。
『この手紙を、5000階層にいるお父様に渡してほしいの。本当はそこに直接いければいいんだけど・・・多分今のサイコちゃんだとその階層にいった瞬間高密度の魔素で塵になっちゃう?だろうし』
そんな怖いことを聞きながら、とりえずはこの場を切り抜けることだけを考えて手紙をしっかりと受け取った。そしてしばらく腕に絡みついてきた触手のぬめりに耐えていた。
しばらくその体勢をキープして真剣な顔でマイさんを見つめているサイコ。
するするとやさしく腕の拘束がとかれる。そして今度は胴体にしっかりと巻き付いてきた触手に困惑した。
『サイコちゃんを800階層まで送ってあげる。そこが多分サイコちゃんが楽に狩れるぐらいのとろこだから・・・でも無理しないでね』
そういうとサイコの体は触手に引き寄せられてその上半身はマイさんの口内へ飲み込まれ・・・そしてじゅるじゅるとしばし吸い付けられていた。
ジュポンという景気の良い音と共に口内から生還したサイコは、一気に力を爆発させた触手により、スペースシャトルばりの高速でがしがしと下の階に送り届けられた。
マイさんからは「ぎょえーーーー!」というサイコの悲しい別れの声はすぐに聞こえなくなってしまった。
『サイコちゃん・・・早く戻ってきてね・・・』
マイさんの悲痛な言葉がサイコのいなくなった室内にむなしく響く・・・
「ひーーーーー!」
900階層に響くサイコの悲鳴。そして地面に乱暴に放り投げられ・・・とはならず、その触手はやさしくサイコを降ろすとシュルシュルと戻っていった。途中で多数の魔物を捕獲しながら・・・
「ふう・・・」
やっと落ち着くことができたサイコはため息を吐く。というか内容物を吐きそうだ・・・
高速で下へと送り届けられたサイコが居る場は800階層。見渡すとチラホラ魔物が見られこちらに向かって走り出していた。念のため鑑定で見るとレベルは1400。格上ではあるが、許容範囲の敵である。ゆっくりと深呼吸をしながら、降ろしていた腰を立たせ両手に光牙(こうが)を構える。まとめてとびかかってきたキングオークと三つ首ホースの群れを切って落とす。背後から忍び寄っていたビッグサンダースネークの雷牙をかわすと一気にそれを横に引き裂いた。
やはり真化した加護の影響か、まだまだこの階層では余裕をもって戦えそうだ。無限収納に狩った魔物を収めながらも次の獲物を探していた。マイさんの言う5000階・・・遠いな・・・それでも諦めるわけにはいかない!いや5000階が目標でもなく、寄りませんよマイさんパパのところなんて・・・目標は最下層、9999階を目指してまた孤独な戦いがサイコを待っていた。
よーし!気持ちも新たに、やってやりますよ!!!
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