/// 37.深海竜という人たち
遺跡で拉致られたサイコはクラーケン族のマイカズシー、マイちゃんと一緒にラブラブ修行生活を繰り広げられることとなった。目指せレベル1200!
どうしてこうなった・・・
あれから4日が過ぎた。
毎日が起床→飯→修行→飯→修行→飯→就寝をループしていった。夜中によからぬ部分を撫でまわすこともあるが「まだ君にはふさわしい男になれてないから」という無理筋な言い訳でなんとか無事生き永らえていた。
そしてレベルが1100を超えたぐらいで事件は起こった。
一心不乱に狩っていた最中、サイコの頭上で「「「うぎゃーーーーー!」」」という声がこだました。顔を上げると空から3人の冒険者と思われる男たちが迫ってきていた。とっさにウィンドを使って障壁作りとついでに逆噴射のて容量でバックステップを加速させ躱す。「ぶぎゃ」だが「ぶぎゅ」だかいう声と共に地面に張り付く男たち。
そしてマイさんの方を見てみると、その触手には同じように女の冒険者が白目をむいて口の中に放り込まれようとしていた。
「マイさーーーん!!!まってまってまってーーー!」
その声と共に一気に飛び、その女性の下半身をつかむ。すでに上半身をマイさんの口の中に入っていたためである。決してやましい気持ちはない。
『ん?どったのサイコちゃん?』
「す・・・すみません。それ多分人族だと・・・」
その言葉を聞いたマイさんは『ぺっ』という声と共にその女性を吐き出した。地面には白目をむいてでろでろになっている女性が寝転がっていた・・・
「うわーーーー!」
「なんだよこれーー」
「かーちゃーーーん!!!」
下からは先ほどの男たちの悲鳴がこだましていたので、急いでそちらへ向かってまた飛ぶサイコ。
周りの魔物をウィンドで押さえつけ、光牙(こうが)でその周囲をぐるりとまわり一掃する。そして男3人を担ぎ上げ、またマイさんのところへ飛び戻った。「忙しすぎる・・・」そうボヤキながら三人を地面へ放り出して突っ伏した・・・
『ごめーんねー。ちょっとお腹すいたから上層の方からちょっとおやつ代わりに軽めの魔物捕獲してきたんだけど、人族さんだったのね?』
「そ、そのようで・・・す・・・」
かなり長めに狩りを続けていたサイコは精神的にかなりの負荷がかかっており、言葉少なになっていた。
「あ・・・あのすいやせん。わしら300階層付近で主に岩オーガ狩りをしている『深海竜』というパーティなんですが・・・助けていただいたってことで良いんでしょうかね?」
引き締まった肉体のイケメンさんがこちらを窺(うかが)うように見ていた。
「まあ・・・多分大丈夫?なのかなと。マイさん人族は食べないんでしたよね?」
『うーん食べるときはあまり気にしないから多分?食べちゃってるけど、気づいた時には食べないよ?多分』
「「「ひっ」」」
その言葉に三人が悲鳴を上げた。が、意を決して先ほどの男が言葉を発する。
「わしら全員竜人族なんです。見逃していただけるとありがたい・・・」
『いいよー』
「・・・だそうです」
軽い返答のマイさんに安堵するサイコ。
「ありがてー。わしはミリオン。深海竜リーダーで見ての通り拳闘士をしとります。でこっちが・・・」
「ムサックだ、です。拳闘士、です」
「ぼ、僕はモイヤーって言います。こんなですが盾使いです」
ガタイの良い髭のおっさんがムサックと名乗り、気弱そうな男はモイヤー、見かけによらず盾使いだそうが。
「そしてそこで伸びてるのが、魔術師のメイデンだ。まーわしのかみさんだ・・・助けてくれて本当に感謝する」
そうするとマッチョな体を折り、額をこすりつけながら綺麗な土下座をするミリオン。
どうしよう・・・頭がついていかない・・・竜人族ばっかで奥さんが白目で土下座が完璧マッチョ・・・そしてマイさんが触手で俺の尻を撫でまして頬を染めながら下からでっぷりしたオークをひっぱりあげて大きく口を広げ咀嚼(そしゃく)している・・・
「あ・・・まあ助けになれたのならよかった・・・マイさん、この方達をもとのところに戻してもらえたりは良いでしょうか?」
『はいはーい。間違えたの私だし?送ってくよーー』
そうして触手を4人の方へゆっくりと巻き付けようと近づけると、ミリオンが高速で両手を左右に振ってその触手を拒んだ。
「まっ待ってくだせい!今もどされても・・・全滅してしまう・・・もう少し、あと少しでいいから休ませてくれ!ないだろうか・・・」
ハーハーいいながら言い放った言葉にサイコは白目をむいているメイデンさんを見る・・・確かに気絶してるし他の三人もかなり精神的に疲弊しているのがうかがえる。
『なんで?』
「あっ、マイさん、少し時間もらっていいですか?メイデンさんを起こして少し休憩して頂いてから、近場のポータルまで運んでいただけると嬉しいです」
『いいよー』
その言葉にホッとする三人。
サイコはその三人に小回復を何度かかける。メイデンさんにはそれと一緒に浄化をかけておく。無限収納からはサンドイッチやおにぎり、ラーメンなど色々出しておいてみる。三人は自分たちは用紙してあるので、それぞれが無限収納から弁当のようなものを出していた。
ミリオンさんは合わせて毛布を出すと、メイデンさんをやさしくくるむと体をゆすぶり、意識を取り戻させた。
「うっ・・・ごほっ!イカがっ!!!うっ・・ここは?」
気が付いたようでガバッと体を起こすメイデンさんにミリオンさんがやさしく声をかけた。が、こちらを見るたメイデンさんが「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。いや、俺を見てあげた悲鳴じゃないよ?本当だよ?
「もう安心だ。こちらのサイコさんとマイさん。しばらく休んでいたら近くのポータルまで送ってくださるそうだ」
「ど、どなたか知りませんが助けていただいたようで、てっきり昔拷問で締め上げた野郎どもの報復かと思っちまいまして・・・私、打たれ弱いんで・・・」
何やら物騒なことも混じっているメイデンさんに「ハハハ」と愛想笑いをするしかないサイコだった。そしてそのまま続き沈黙に耐えられず「じゃあちょっと修行にもどるので、マイさんよろしくね」といって下に逃げ去った。
しばらくの間、下で狩りを続けていたが急にマイさんの触手に巻き取られ、上へ引き上げられて頬ずりをされた。あと一歩ピンクが視界に映らなければマイさんの触手を切り裂いてしまうところだったと反省していたサイコは、その頬ずりを無表情で受け入れていた。
「あっあとー忙しい中すんません。わしらそろそろ戻ろうかと思って・・・マイさんに言ってサイコさんにご挨拶をしようと・・・」
「ああ・・・そういう・・・、じゃあお元気で。また会えたら飲みにでも行きましょう」
そろしと地面に降ろされたサイコはため息を吐きながら別れの挨拶をかわす。
「ええ!絶対!」
「ありがとうだった!」
「ありがとうございました!」
「また今度会いましょう!」
簡単な挨拶をして4人はマイさんの触手により送られていった。
「ふぅ」と一息ため息を吐く。(そういえば久々に人(竜人ではあるが)と会話した。いやマイさんが見た目がね。人感ないし・・・)そんなことを思っていたサイコにマイさんの触手がやさしく巻き付いてきた。
『サイコちゃんさびしくなっちゃった?』
「そんなこと・・・ないですよ」
そう強がってまた頬ずりされることを受け入れる。段々とこういったことに慣れてきているサイコだった。
『でももう、そろそろいいのかな?・・・サイコちゃん、さっき1200になったよ?』
マイさんが今まで以上に顔を赤らめて放つ一言にサイコは愕然としていた・・・
+ミリオン
種族 竜人族 / 年齢 142 / 性別 ♂
冒険者パーティ深海竜 リーダー 拳闘士 引き締まった筋肉が魅力の良い男
+ムサック
種族 竜人族 / 年齢 142 / 性別 ♂
冒険者パーティ深海竜 拳闘士 ガタイの良い髭のおっさん
+メイデン
種族 竜人族 / 年齢 98 / 性別 ♀
冒険者パーティ深海竜 魔術師 いたぶるのが好きだがいたぶられるのはNGというサイコパス女
+モイヤー
種族 竜人族 / 年齢 125 / 性別 ♂
冒険者パーティ深海竜 盾使い 気弱な風貌とはギャップがある固い盾使い
現在のサイコ
種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂
LV 1200m
力 18006
守 6948
知 11356
速 21605
スキル 詳細鑑定(999) 言語疎通(999999) 肉体強化(94525) 魔力増強(9411) 料理(39215) 精神耐性(19840) 無限収納 調合(5) 並行処理(40789) 鍛冶(758) 酒造(5) 精密動作(38954) 危険察知(195423) 超回復(894)
魔法 転移(102) 浮遊(205) 治癒(9531) ウィンド(7469) 浄化(1401) ウォーター(798) ウォーム(86) 光刃(こうが)(486513)
加護 女神の加護(真)
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