/// 36.スレイス日記
私は今、愛しのサイコちゃんとラブラブ遺跡デートをしています。
アルバイトもやめ、遺跡に潜ることになったと聞いた私は、抱えていたすべての依頼をブッチして彼と愛の逃避行とすることに決めたのです。
慎(つつ)ましい妻の私は、彼の後ろを歩く。恭(うやうや)しい私は気配を消して存在感を希薄にして後ろを歩く。
途中で魔物の群れに遭遇した時は一緒に戦い、私は彼に満面の笑みでほほ笑むと、彼もこちらへ輝くような笑顔を見せる。
彼はすごい努力家で、私のために必死で修業を繰り返し、ついには私より強くたくましくなっていった。
実は私は守るよりも守ってほしい。そんな思いが見透かされてしまったようで気恥ずかしい。
彼は私と二人っきりになるのが嬉しいようで、ポータルは使わず遺跡内で毎日眠る。私は眠っている彼を起こさないようにそっと眺めたりしながら至福の時を過ごしていた。
そして寝ている彼を守るように、彼の横に並び立てるように、寝る間も惜しんで魔物を狩り続けた。
彼とのラブラブ遺跡デートも1週間ほど過ぎたころ、そろそろ私の方がきつくなってきた。
その日も魔物の群れに囲まれた後、彼は魔物たちを一層すると「そろそろ戻った方が良いですよ」と優しく声をかけてくれた。
きっと彼も苦渋の選択だったのだろう。
「絶対に!追いつくから!・・・あなたの隣に立てる女になるから!・・・待っててほしい!」
ああ、悲しさをこらえる私は言葉がすんなりとでてきたことに自分でも驚いた。
私の唯一の短所、あがり症。そんな私もこの時ばかりは信じられないほどスムーズに言葉が紡ぎ出されたリアル。
愛の力ってすごいね。
そして彼は顔をゆがませると足早に私を置いて離れていった・・・
ああ、行ってしまう・・・悲しみに涙が止まらない・・・きっと彼も同じ思いなのだろう。
いや!もしかしたら彼の方がつらかったのかも・・・そう思うと余計に涙があふれてくる。
頑張ろう!この涙はきっと私を強くしてくれる。
そう思うと体から暖かな気持ちとともにやる気が満ち溢れてきた。
これで明日からまた頑張れる。そう思って少し弱めの階層に移ると、気力を振り絞って魔物を狩り続けた。
後日、少しだけ街に戻った私は、レベル300台の高レベルの冒険者パーティーが、遺跡内で奇声を上げながら他の魔物を蹂躙していく水色のレア種な魔物が出たらしいという噂を耳にした。
丁度、私がこもっていた200階層前後らしい。
幸い私は遭遇しなかったが怖いな。今は彼と離れて修行をしている身。私一人の体では、ないんだもんね・・・
ふふふ。でもきっと大丈夫。彼の愛がきっと私を守ってくれる。
そう思って、食料を買い込んだらまたポータルにのって修行を繰り返すのであった。
+スレイス
種族 人族 / 年齢 19 / 性別 ♀
帝都ギルドで活動中の上級ソロ冒険者。サイコの妻(脳内)。孤高の乙女は絶賛修行中
LV 205m
力 3561
守 975
知 718
速 3641
スキル 詳細鑑定 肉体強化 精神耐性 神足 隠密 無限収納
魔法 極・風牙
加護 風神の加護(真)
称号 孤高の乙女 サイコの嫁(自称)
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