/// 23.訓練所は卒業だ!
連日訓練の日々を続けたサイコ。まるでブラック企業勤めのようにアルバイトと訓練のローテーションを休みなく続ける先に未来はあるのか!!!
やってやりますよ!!!
「しゃーーーーーーっ!!!!!」
サイコの絶叫が深夜遅くの訓練所に響きわたる。
遂に!ついに!!つーいーにー!!!サイコのレベルが100mとなった。
この日の担当のチリチーリがゲートを閉めると駆け寄ってサイコの肩をポンポン叩きながらよくやったと口にする。ここ何週間か、午後から深夜にいたるまで熱心に通うサイコに、なんとも言えない感情、まるで一生懸命何かに打ち込むわが子を見守る親のような心境になってしまったのはしょうがないことであろう。まあチリチーリは子供はおろか結婚もしていないわけだが。だがその思いは訓練所のスタッフ一同も同様のようで、休憩所にたむろしていたほかのギルド員もそれぞれがサイコのレベルアップを祝福してくれていた。この世界でここまで必死に訓練所に通い詰めるというのは稀なのだ。
ちょっと、いやかなり照れくさい。だがそれと同時に、一生懸命スポーツや勉強に明け暮れた青春時代のようだったなと何とも言えない気持ちになる。が、まずはと祝福してくれている皆に向かってを深々と礼をする。
「いつも皆さんには、長時間だったり、遅い時間にだったりとわがままを聞いていただいて、ありがとうございます!」
その後、皆に見送られながら部屋に戻る。
さすがに深夜に出たり入ったりしては迷惑はかかると、サイコはウィンと同室から出て一人部屋を借りていた。出る時には「気にせんでいいのじゃーー」と盛大に縋り付かれたのだが・・・
(バイトに訓練所にと忙しく動き回る俺に、ウィンさんはちょいちょい顔を見せてくれていたな・・・明日は顔を出してみるか・・・)
シャワーを浴び、布団に入る。明日は休みだからウィンさんに挨拶した後はますは遺跡に入ってみるかな?と一人妄想する。ちなみにこの世界は360日で1年となるのだが、週は6日で巡る。週の始まりは火の日、そこから水、木、土、光、精という順で一周して一般的な休みは精の日として神と精霊に祈りをささげるという日らしい。サイコは木の日が休みになっている。あすは久しぶりに午前中のんびりして午後から移籍に潜る予定を立てた。
とは言っても10階まではスルーた。なんせ訓練所では10階からオークを引き入れては瞬殺だからな。遺跡は100から!といのは実は効率の話。1階だったらスライムしかでてこない。それが1~2匹だったりごちゃっと数十匹固まってたりとまちまちだ。10階だってオークが同様にうろうろしている。だからそこでだらだらと思ったら急に大量のオークに囲まれてぼこぼこに・・・なんてならないように訓練場がある。あのシステムなら効率よく自分の力量に合わせてレベルをあげることができ、サポートもある。なんとも便利なつくりである。だから目指すは地下11階!ウルフやらボアやらが狩れるのでそこでバンバン狩って納品するのであれば、食堂よりは楽に稼げる。とりあえず行ってみてサクサク狩れる状態であれば食堂もやめてやる!そんなことを思いながら眠りについて。
今日はいい夢をみれそうだ。
翌朝、ぐっすり眠って日差しも明るくなってきた。部屋に備え付けの時計は10時を指していた。寝すぎである。
あくびをしながら体を伸ばし、ベットから起き上がる。身支度を整えるとウィンの部屋の前へ移動してノックをすると、すぐにウィンが扉を開け嬉しそうな顔で招き入れてくれた。ウィンはサイコがこの部屋を出た後もここを借り続けている。何かあったらいつでも戻って来いと・・・まあ戻る気はないのだが・・・そんなことを思いながらウィンにレベルが100になったことを報告する。
「ウィンさん、おかげさまで無事レベル100になることができました。これで遺跡に潜ってお世話になった皆さんに恩返しができます」
「なんじゃ!もう100になったというのか!早いのぉ~めでたいのぉ~。まあ頑張っておったからの。サイコは才能があるからすぐにと思っておったが予想をはるかに超えるスピードじゃ!・・・ということでごれじゃ!」
にっこにこでサイコをべた褒めするするウィンが、サイコに紙包みを手渡す。「遠慮するな」と手渡されたのでお礼をいって開けてみるとそこには腕にはめるブレスレット式の時計であった。思ってみなかったプレゼントに再度お礼をいって腕に着けてみる。ウィンはにっこにこで・・・泣いていた。
「にあっどるのお・・・わしわな・・・なんだかんだで結婚もせんかった・・・ぞんなわじがぁ・・・息子にどげいをプレゼントずるどぎがぐるどわーー」
男泣きで涙声である。
そんなウィンに最初はうまく利用してチートうぇぃと思っていたサイコも、もらい泣きをしそうになりながらお礼を返しまたウィンがなくという茶番をしばし続けたあと、一緒に下へ降り遅めの朝食を食べるのだった。ちなみに通りすがりに合う知り合いに、ことごとく「うちのサイコがのーー」「またたくまにレベルを上げ都のー」「ほんと才能あふれるいい男なんじゃー」と繰り返すので若干離れて歩きたいサイコだった。
朝食を終えて、一旦部屋に戻ろうとカウンターの前を歩いていると、依頼受け付けのテレンサさんから呼び止められる。となりにはアレクさんとイビルさんもいた。テレンサさんはギルドの受付ギルド員の一人で、人族の素敵なお姉さんである。むっちむちの色気がたまらないお姉さんである。そんなお姉さんに呼び止められるが、どうやら夜のお誘いとかそういった類のものではないようだ。
「サイコくんに指名依頼が入ってます!」
まったく予想していなかったことを告げられて固まってしまうサイコ。
「えーーと。オリベイル家から護衛依頼です。明日から2週間ほどの依頼となるので、明日には手ぶらでいいので屋敷に来るようにと。ちなみに領主様の依頼なので断ると首が飛びます。なのでアルバイトとか他の依頼とかは全ブッチで構いません。まあサイコくんは依頼受けてませんが」
(おう・・・なんかすごい圧があるな・・・)
テレンサさんから出る並々ならぬ圧に屈しつつ、カトレアお嬢様絡みなのだろうと思っていた。
「ちなみにアレクさんたち赤い盾の方々にも同様の任務が入っていますが、屋敷にくるのは3日後とのことです・・・サイコくん・・・オリベイル家の人に何かした???」
「いやいやいや!オリベイル家の人たちには大変お世話にはなりましたが・・・何もしてませんよ!何も・・・してないですよね?」
アレクさんたちも一緒ということで安堵するも、あらぬ疑いをかけられ首を振る。が、自分は何かやらかしたのではという不安を解消しあてほしくてアレクさんたちの方を見る。
「あー、まあ、十中八九、カトレアお嬢様だろうな。分かれる際に屋敷に来いと呼ばれてただろ・・・俺も忘れてたが・・・」
アレクが頬をポリポリかきながら別れの際のあの言葉を思い出す。
どうやら絶対に来いというあの言葉は社交辞令ではなかったようだ。そして俺の明日からの予定がしばらく埋まってしまった。しばらく遺跡は御預けのようだ。
どうしてこうなった・・・
現在のサイコ
種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂
LV 100m
力 975
守 610
知 1135
速 1348
スキル 詳細鑑定(999) 言語疎通(999999) 肉体強化(6198) 魔力増強(356) 料理(2709) 精神耐性(125) 無限収納 調合(5) 並行処理(2187) 鍛冶(758) 酒造(5) 精密動作(2673) 危険察知(38)
魔法 転移(62) 浮遊(38) 治癒(12) ウィンド(1) 浄化(382) ウォーター(264) ウォーム(8) 光刃(こうが)(3928)
加護 女神の加護
+テレンサ
種族 人族 / 年齢 24 / 性別 ♀
ギルドの受付担当 むっちむちグラマら幣素敵なお姉さん。金髪ソバージュで色黒でセクシーポーズが悩ましい。
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