/// 20.渡り人と呼ばれる者たち

ウィンからこの世界のこと聞いたサイコ。これからどう生きていけばよいのか思い悩むことになるが、まずは他の転生者たちのことが気になっていた。


そうしていくべきか・・・




渡り人は罪人となった後、刑期を終えたり逃亡したりして方へ集まり集落を作っているという。もちろん罪を犯していない者たちも、話を聞きつけその集落を訪ね定住する者たちも多い。まずはあって話を聞きたい!そんな思いを抱きながらバイトの休みに向かうことにした。ウィンから場所は聞いていた。ジパングという名前がつけられた村だという。名前のだささにげんなりしつつも、飛翔を使って空へ飛び立ち、そのまま視界の範囲で転移をしながら飛翔を1時間ほど続けた。そしてたどり着いた小さな集落。小さな家屋が30棟ほどあり、周りには川につらなる田畑が広がった場所だった。


ちらほら畑作業をしている人をめがけてゆっくりと降り立つと声をかける。


「すみません。ここはジパングで良いのでしょうか?」


「そうだけど・・・あんたも転生者?」


黒髪の小太りな青年の言葉にうなずつサイコ。


「そうか・・・あんたもクソ女神の被害者か・・・この村について、詳しく聞きたいってことでいいのかい?」


「いえ、この村に転生者が集まっているという話ぐらいしか聞いていないので、・・・」


「じゃあまずリーダーのところへ連れてくよ・・・」


そういうとは中央の少しだけ大きな家屋に向かう。


「おーい!リーダー!新入りきたぞーー!」


「おー!入れや!」


その声をきいてと一緒に家屋に入る。そこには小太り禿眼鏡な中年男性が魔法使いのようなフード付きの黒い外装を着ていた・・・究極に似合ってないな・・・




中に入るとそこは質素な田舎町の民家と言ったらしっくりくる板張りの家屋。そのリーダーと呼ばれる転生者、相馬彰人とその取り巻きが数に床にどかりと座り話を聞いた。ここでは自給自足の生活をしているという。確かにそれなりに広い土地に民家が適度に感覚をあけ連なっており、田畑が広がっている。その周りには動物などが生息してそうな森もウが返る。まあこの世界では魔物なんかもいそうだが・・・ここではあまり互いが干渉しないというルールがありつつも、各々が得意な分野をつかって生活を成り立たせているようだ。


女神はなんらかの理由で転生する者に、前世の徳のようなものに応じてチート能力をつけて、サイコと同じように18才前後で転生されされるという。だが結局はこの世界との能力ギャップに負け、最終的にはここで身を寄せ合って生活している。そしてそういった多数の転生者にヒアリングした結果、その女神との会話の中で、失礼な態度をとったり、わがままを言ったやつらはもれなくこの世界に転生させられると言い切った。実際にこの世界に転生した話を聞いた転生者はもれなくそういった心当たりがあるらしい。


「いやちょっと待て!俺はそんな失礼なことはしていないそ!丁寧に対応して女神からあれもこれもとチートをガン積みしてくれたさ!」


そんなサイコにはふっと笑って答える。


「心の中ではどうだった?」


サイコはその言葉に転生時の記憶をよみがえらせる。


「まあ・・・確かに心の中では多少は失礼なことを言っていたような、いないような・・・」


だろうなと笑う室内の面々・・・


「あのクソ女神様はな・・・当然のように心が読めるんだよ。表面上はとりつくろった奴ももれなく心の中をのぞかれてこちら側って寸法さ」


その時、過去の自分を思い出してみるとたしかに転生、と聞いて浮かれていていたため、相手の表情を感じ取る当たり前の処世術をないがしろにしていた自分を思い出した。


「そうか・・・じゃあ・・・女神が最後にFA〇Kと言っていたのは空耳ではなかったわけか・・・」


「なんだ!しっかり言われてたんじゃねーか。まあ、ここにいるやつらはクソ豚がタヒね!とか馬頭されて落とされたのが多いんだがな!あの女神さまは切れやすいらしい」


半分はわかっていながら「きっと気のせいだ」と思い考えないようにしていたことを話すと、相馬はガハハと笑いながら酒をあおった。この村で暮らすならのんびり畑でも耕して適度に酒でものんで暮らしたらいい、と相馬には言われたものの、そんな平々凡々な暮らしをする気は起きず、暗い気持ちを引きずって、来る時とは倍以上もかかって帝都へ帰るサイコだった。



こうなるべくしてこうなったんだな・・・どうしたもんか・・・

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