/// 14.料理チートを始めよう

異世界の宿屋の一室で早朝目覚めるサイコ。この世界の建築や装飾技術の高さに絶望するもあきらめない!そんな思いを胸に今日も一日が始まる。


やってやりますよ!!!




昨日の暗い気持ちが少しだけ解消されたサイコは、体を起こし隣を確認する。


窓からは明るい光が見える。


ウィンは寝息をたてており、まだ寝ている。


まだ起きるには少し早い時間のようだ。


せっかく早く起きれたんだしそれなら!とまだ眠気の残る頭を働かせ、異世界料理チートならどうだろう?と考えた。


さすがにマヨは知っていても、塩や砂糖、酢に油なんかがあっても、それでも・・・それでもまだ何とかなるはず!


和食や中華!イタリアンにフレンチ!その他にも数多くの国の料理も極めている俺のすべてを出し切れば!きっと一つぐらいは珍しくて無双できるものもあるだろう!なくては困る!少しぐらいはあってほしいな・・・


だんだんとテンションが落ちそうなので、気を取り直して早々に部屋を出るサイコ。


全部ありますよってことはないだろうか・・・いやさすがにないだろ・・・そんな不安はあることはあるが試してみないことには始まらない。


そう思いながらまだ客がまばらな食堂に向かった。


ギルドの食堂は25時間営業だが、さすがにこの時間はまだ疎らのようだ。


所々に設置されている大きな時計を見ると針が6時を指している。


厨房も昨日とは違いゆったりとしていて3人程度が少し忙しそうに調理しているように見えた。


よく見ると昨日マヨ作りの時に話しかけた青い髪の青年がいたので声をかける。


「よう少年!今日はどうした?」


「あの・・・ここではアルバイトなんかは募集しているのでしょうか?」


「アルバイト?ああ、ここで働きたいのか?」


「はい。昨日のマヨネーズは失敗でしたが、料理には多少は自信があるので、もしよろしければ雇ってもらえないでしょうか?まずはいくつか料理を作ってみて腕をみていただければ・・・」


「おっ!そうかそうか!なら丁度いい、ここはもう少ししたら修羅場になるからな!もうすこし時間がたてば上の人たちも増えるけど、忙しくても軽い料理が好まれるこの時間はスピード命だから人手がたんないんだ!そのうち料理長もくるだろうし話をつけてやるよ!」


これは好都合!ここで無双して認められれば料理人としてではなくてアドバイザーなんかで成り上がるかも!


そんな思いで青年と握手する。


その青年はケインというらしい。


この時間の調理は材料を使っていくつかのメニューを作り置きする。


メニューの指定はなく、厨房前のカウンターに並んだ料理を適当に取って食べるらしい。


何を作っても良いが、一品が銅貨5枚で提供するためあまり高価な食材は使えないらしい。


とにかく数の勝負と聞いて益々好都合と感じるサイコ。


材料を色々と選んで集めると、指定された調理台に起き、調理器具もひととおり確認する。


マヨネーズ作りの時も思ったがどうやらこの世界では、ジャガイモ、ひき肉、オリーブオイルに塩胡椒、砂糖にはちみつまで同じ呼び名で呼ばれている。


これもきっと言語翻訳のおかげか。


調理道具も魔道コンロ、包丁、まな板、鍋にフライパン、自動で動く泡だて器なんかもあった。


見回すたびにそんなものがあるのだから、益々不安になってしまうサイコ・・・色々と発展してるんだよなーー。


そんなことを思いながらもまずは・・・頭の中に組み合わせを確認して調理を開始する。


(スピード勝負状態!俺は今!風になる!!!)


ぴろん!

『スキル並行処理ヲ習得シマシタ』


いつものようにスキルを取得した後は必死に思いつく現代料理を作り続ける。


ハンバーガ―に唐揚げ、パスタにビザにお好み焼き、ポテチにクレープに肉まんに餃子にカレーにオムライス・・・


おおっと、圧力窯のようなものもある!魔道窯というらしい。短時間で火が通るというこれも煮物なんかに大活躍!


知れば知るほど不安は募る・・・が今はそうも言っていられない。


かなりの数の料理を作り続ける。


短時間で多くの種類を作れたのは肉体強化スキルや先ほど覚えた並行処理のおかげか。驚くほど体が軽く素早く正確に動ける。


一通り作り終わると額の汗を拭うサイコ。


まとめてカウンターに並べると、その隣のカウンターにはケインも手慣れたようすで大量の料理を並べ。


ようやくカウンターのほとんどが埋まったので、お互いにゆっくりできる時間ができたので互いのカウンターを確認してみる。


ケインのカウンターは煮物にうどんのような麺類、チャーハンに餃子といった種類が大量に並べてあった。


他の料理人のカウンターを見ても似たり寄ったりだった。


「おお!すげー種類じゃんか!俺は何種類かまとめて作って並べてるんだよ。同じ時間でこんだけ作ったのはたいしたもんだ!」


なかなかの好感触を得られたと感じたサイコは次の言葉を待つ。


「うん!うまそうだ。ここらでよくある料理もあるが、地方で良く食うような料理や食堂じゃなく専門店なんかで出してるようなものもあるな。良く知ってるもんだ。これなら料理長も納得するんじゃないか!」


多少の予想はしていたものの心はまだ折れていない。


「この中で見たことのない料理ってありますか?」


「うーーんそうだなー?この中は肉やら野菜やら詰めてるのか?こっちはクリームや果物?これは小麦から?」


数分ほどサイコの料理の説明を聞いてくるケイン。


「ちょっと珍しいがさすがに全部知ってるわ。俺も一応は料理人の端くれだからな!」


サイコは料理でも無双は無理なようだ・・・絶望というよりもため息しかでなかった。


しかし働き先は見つかりそうだ。


暗い気持ちを抑え、顔を上げると目の前にはサムズアップするケインの笑顔があった。


帝都に来て二日目、いまだ無双できそうな片鱗が見えない・・・どうしてこうなった・・・




+ケイン

種族 人族 / 年齢 23 / 性別 ♂

帝都ギルドの青い髪の料理人 めんたマヨが好物?



現在のサイコ

種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂

LV 1m

力 1

守 1

知 1

速 1

スキル 鑑定 言語疎通 肉体強化 魔力増強 料理 精神耐性 無限収納 調合 New!!並行処理

魔法 転移 浮遊 治癒 ウィンド 浄化

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