/// 11.お金の問題は大事です。
ギルドの新規登録でひと悶着あったものの、無事登録終了して赤い盾の面々と共に2階の宿屋へ。おんぶにだっこである。
どうしてこうなった・・・
広い階段を三人について上がると、アレクとイビルはまた後でとそれぞれの部屋に入る。
こっちじゃ、とウィンに手招きされ一緒に部屋に入ると、ビジネスホテルの一室と見間違うようなしっかりとした部屋だった。
ギルドの外見から、木造のロッジのような質素な部屋で異世界感たっぷり!ではまったくないのは想像していたものの、思った以上にしっかりとした作りにため息をつく。
(建築系の無双は無理か・・・)
ウィンが片方のベットに腰掛け、何やら黒い空間が開き手を入れ、使い古した布袋を取り出す。
『無限収納・物体を収める為の空間。大きさは魔力に依存する。生物は入れられない。空間内は時が止まる。』
ああ、無限収納か。その黒い空間を鑑定して納得したサイコ。
ぴろん!
『スキル無限収納ヲ習得シマシタ』
この世界では荷物などは全部無限収納に収めてあるのだろう。どうりでみんな手ぶらでお気軽な旅、という状態だ。
(考えてみたら野営の際に調理道具や食器にテントなど、いつのまにか色々なものが設置されていたし・・・少し考えればわかることだったな・・・)
どうもこっちの世界に来てから、チートだなんだとテンションが上がっていたため正常な考えができていなかったようだ。
ウィンの座っているのとは反対側のベットに座りながら、さらに考えを巡らせる。
そういえば、たった今もだが、何度も体験した勝手にスキルが習得される現象・・・多分しっかりと効果を確認した上で、うらやましい!とか便利だな!とか思ったら勝手に習得するようだ。
でも最初にアレクさんたちの戦闘の際に、ウィンさんが使ってた風魔法なんかは習得してなかったな。
二人の強さにあっけにとられていたからなのか・・・あの時のシーンを思い出してみる。
ぴろん!
『ウィンド魔法ヲ習得シマシタ』
うーん・・・タイミング・・・
そんなことを考えているとウィンから声がかかる。
「夕食まで2刻ほどある。サイコはどうするんじゃ?しばらくここで休んでいてもいいし、なんなら街でも少し出てもよいんじゃぞ?買い物がしたいなら少しばかりじゃがこれも持ってゆくがいい」
ウィンは、二人が座っている左右のベットの間にある、引き出し付きのテーブルの上に小さな布袋を置く。
おそらくお金なんかが入っているのだろう。
「あの・・・そのことなんですが、ギルドの登録料とか宿代とか色々お世話になってばかりで・・・今はまだ無理ですがきっと返します。色々教えてくれたウィンさんを含め、皆さんに与えてもらったたくさんの恩も含めて全部をかならず返していきます!・・・少しづつですが・・・
(こう言っておけばしばらくは面倒みてくれるだろう・・・まあ借りをつくってばかりでは格好がつかないからな!せいぜいじーさんには楽しい孫とのかわいがりタイム!でも堪能してもらうとするか!)」
心では失礼なことを思うサイコだが、表面上は真摯な態度でテーブルの上に置かれた袋をウィンの手に返すと、しっかりと頭を下げる。
「そんなことか・・・気にせんでくれ。わしも孫によろこんでもらってるようで逆に、感謝しとるんじゃよ」
「ありがとうございます。それではもう少しだけお言葉に甘えて・・・いくつか教えていただきたいことがあるんです。田舎暮らしだった私はあまりにも無知ということを痛感しました・・・」
「もちろんじゃよ。遠慮はいらんからなんでも聞いとくれ」
ウィンじいちゃんはニッコニコである。
「恥ずかしながら、このあたりで利用しているお金・・・ウィンさんからもお貸しいただいた銀貨などが、いったいどのぐらいの価値があるのかが全然わかっていないんです」
そうかそうかとうなずきながら、ウィンは丁寧に金貨の価値や換金枚数などを説明していく。
一通り話を聞いたサイコは、また深々と頭を下げた。
大雑把に日本円に換算すると、白金貨=100万、金貨=1万円、銀貨=1000円、銅貨=100円、小銅貨=10円。
換金率でいうと
白金貨=金貨100枚、金貨=銀貨10枚、銀貨=銅貨10枚、銅貨=小銅貨10枚。
ちなみにこのギルドの宿は一人部屋が銀貨3枚、二人部屋が銀貨5枚とのこと。
「あと時間についてなのですが1刻というのはどのぐらいの時間なんでしょうか。村では明るくなれば起き、暗くなれば寝るという感じでしたので・・・」
それに対し、ウィンはまたも、そうかそうかとうなずきながらしっかりと説明してくれた。
1日は25刻で360日で季節は一周するとのこと。1刻は1時弱程度であるのかもしれないが正確なところはわからない。
ウィンが袋から、これじゃ!と出して見せてくれた魔道具には、時計の盤面のようにぐるりと一周、25までの数字が刻印されており、針が一本だけついている。
周りから魔素を吸収して半永久的に動き、正確に時間を知らせてくれるというもので、だいたいの子供が5~6歳ぐらい、学園入学の前には親から送られるためほとんど全員が所持している一般的な魔道具だとか。
その魔道具の名称は『時計』というのはきっと言語疎通の変換が効いているためなのか。
それにしても絶対に狂わず、正確な時を刻みつづける時計・・・魔道具まじ便利。
あと季節についてはそこまで変化がなく、多少は寒い、から多少は熱い、といった程度の変化らしい。
冬の険しい雪、猛暑の日照り、なんてのはごく一部の地域だけでその地域にはまず人は住まない地域とのことだ。
時計の右側の小さな丸いマークが真っ赤に染まれば一番熱い時期、逆に真っ青であれば一番寒い時期とのこと。
1年を1月から12月まで、各30日が繰り返されれ、6月が一番熱い月、12月が一番寒い月だという。
そんなこんなでウィンさんの、ワンツーマンでの常識講座が開催され、あっという間に時間はすぎ夕食の時間が近づく。
ドアがノックされたため、ウィンと一緒に部屋をでると、他の二人がドア前に待っていたのでそのまま4人で下へ降りる。
ギルドの食堂は相変わらず忙しそうだ。
4人は食道内を見まわし、空いてる席を見つけるとその席へ向かって歩きだす。
明日からは少しでも金策を考えなくてはな・・・そう思うサイコだった。
現在のサイコ
種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂
LV 1m
力 1
守 1
知 1
速 1
スキル 鑑定 言語疎通 肉体強化 魔力増強 料理 精神耐性 New!!無限収納
魔法 転移 浮遊 治癒 New!!ウィンド
<貨幣価値について>
白金貨=100万=金貨100枚
金貨=1万円=銀貨10枚
銀貨=1000円=銅貨10枚
銅貨=100円=小銅貨10枚
小銅貨=10円
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