/// 10.ギルドでテンプレ回収
帝都のギルドで登録は無事終了したサイコ。アレクたちと合流しようと歩き出したらやっぱりテンプレのヒャッハーに絡まれて・・・
どうしてこうなった・・・
サイコの目の前にはモヒカン頭のヒャッハーな輩・・・モブ男とその両隣には残りの二人がニヤニヤと笑いながら立っていた・・・
「おう!黙ってねーでなんとか言ったらどうだー!」
「兄貴!こいつビビって声もでねーぜ!けひゃっ!」
「ひゃっはー!覚醒したてで冒険者になろうってんだから世間知らずもいいとこだなー!」
モブい三人が口々に絡んでくるためどうしたものかとたたずむサイコ。
周りを見渡すとアレクたち赤い盾の面々はまだ逆側のカウンターで何やら報告をしていうるようだ。カウンターの端っこまで遠いなーーさすが大都市のギルド。
食堂は忙しそうだ。階段の方では柱に隠れて水色ショートの女の子がこちらをうかがっているようだ。さすがに女の子に助けを求めるのはどうだろう。
カウンター前の広場には結構な冒険者と思わしき人たちがいるが皆、我関せずな感じである。
「ほんとになー!こんな格好じゃすぐに死んじまうぜー!!!装備ならまずギルドでバランスよくそろえた方がいいってのになーー!ギルドならツケもできるってのも知らねーんだろきっとーー!!!」
「弱弱ぼくちゃんは早く帰ってママのおっぱいチューチューすってろよーー!ギルドの道具屋なら哺乳瓶から最上級魔道具まで一通り売ってるぜ!ポーションと帰還用の札なんかがおすすめだぜ!!!けひゃっ!」
「ひゃっはー!とっとと帰ってクソして寝てろー!!寝床の確保でギルドの2階なら格安で引きこもって体力回復もばっちりだぜーーー!!!」
ん???と頭にハテナがいっぱいだ。
「お前みたいなひよっこは簡単で超安全なお手伝いの依頼なんかがお似合いだぜーー!!!」
「そうそう!無理な依頼で失敗したら、それこそくっさいドブさらいとか強制されちゃうんだぜーー!けひゃっ!」
「ひゃっはー!無知なガキには二階の受付で予約したら図書室も使えて役立つ本が借りれるから薬草図鑑なんかで勉強しなおして出直してきなーー!!!」
(この赤青黄色のモブたちは俗に言うツンデレなのでは・・・こういうのは美少女メイドあたりにしてほしい・・・)
サイコが戸惑っている中、赤モヒの下品な笑い声がこだまする。
「がーはっはっはばばばばががががいだだだだ」
赤モヒの頭にはアレクの大きな手が置かれ少しだけ力が加えられているようだ。
「アレクの旦那~やめてくだせ~けひょ」
「ひゃは!そうですぜー兄貴はただこのガキに色々と・・・」
青黄モヒがアレクの腕にすがりつく。
「アレクさん、ほんとに、いや多分だけどこの人らは色々教えてくれようと・・・」
「ああ、わかってるよ。こいつらはモブ三兄弟。いつもこんな感じで初心者にアドバイスを送ってんだよ」
そう言うとアレクは赤モヒの頭から手を離しモブ達に向き直る。
「こいつは俺ら赤い盾が責任もって育てるから余計な手出しをする必要はねーよ」
赤モヒあらためモブ男が髪に手をあて整えなおす。
「なんだよ!早く言えよ!時間無駄にしちまったじゃねーか!これだからガキは!そんなんじゃ早死にしちまうからせいぜい精進しろよ!!!」
「けひゃっ!!!」
「ひゃっはー!!!」
「いいからとっとと巣に帰れ!」
アレクに追い払われた三兄弟は階段下のエントランスにたどり着くとまたカウンター側を向いてニヤニヤしだした。
(あれは・・・あいつらの定位置なのか?あそこがアレクさんの言う巣なのか・・・)
「サイコや、登録は終わったのじゃろ?そのまま二階に上がって夕食まで休むがいい、部屋は確保しておるからのう」
いつの間にか横に来たウィンに促され二階に上がる。
何から何まで・・・しばらくは赤い盾の面々の庇護の元、寄生プレーするしかないんだなーと実感する。
早くレベルを上げて独り立ちしなくては・・・
◆◇◆◇◆
後日某所で・・・
「アレクさん・・・モブ三兄弟のモブってどういう意味でつけてるんですか?」
「モブスターだな。分かるか?暴徒とか無法者的な?」
「そっちですか?」
予想外の返答にとまどうサイコ。
「アイツらの親は強くなってほしい!ってー願いをこめて多少やんちゃでもたくましくというニュアンスでつけたらしいぞ!結果あんな身なりになった。そして誰得ツンデレおせっかいヤンキーみたいになってるよ」
「もしかしてモブを群衆とか背景とかいう意味では使わないのでしょうか?」
「いや、使うっちゃ使うがそれじゃ名前の意味としてはワケかわんねーだろぉ?」
「その他にどうでも良い人とかその他大勢とかの雑魚い意味合いもあったり・・・」
「ぶふっ!あーそうか・・・サイコの住んでた村ではそんな意味もあったのか・・・ぶふっ。じゃーちょっと笑っちまうよなぶふぉ!・・・ぶふふ・・・サイコ・・・ぶふっ間違ってもあいつらには言うなよ?さすがにそれ聞いてこらえる自信ぐふぉっ・・・ねーわ。さすがに失礼ってーもんだ」
「はい・・・もちろんです。
(アレクさんめっちゃ笑ってんじゃんwまあ俺も本人には言えんけどな)」
そしてサイコは、モブ三兄弟から背を向け、口を太い腕で覆いながら定期的に肩を震えさせるアレクさんをしばらく眺めていた。
「まあこのギルドの名物のようになってるがな。実はあいつらも俺らと同じBランク冒険者だ。地道に質の高い薬草採取や他の奴がやりたがらない面倒な手伝いの依頼を完璧にこなしてたりするからな」
「そうなんですね・・・」
笑いが落ち着いたアレクからの言葉にはあ~と深いため息をつき見た目じゃわからんなーととギルドの天井を眺めるサイコだった。
+モブ三兄弟
帝都のギルドの初心者たちを見守る心優しいツンデレたち
ヒャッハーな世紀末のようなモヒカン革ベストと革短パン。
質の高い薬草採取や面倒な手伝いの依頼などを完璧にこなすBランク冒険者パーティ
+モブ男
種族 人族 / 年齢 48 / 性別 ♂
赤髪モヒカンの頼れる兄貴
LV 11m
力 62
守 15
知 5
速 9
+モブ太
種族 人族 / 年齢 45 / 性別 ♂
青髪モヒカンのけひゃな奴
LV 10m
力 49
守 10
知 2
速 16
+モブ次
種族 人族 / 年齢 43 / 性別 ♂
黄髪モヒカンのひゃっはー野郎
LV 8m
力 25
守 31
知 12
速 5
+クリス
種族 熊人族 / 年齢 22 / 性別 ♀
長身でふくよかなお胸が素敵なギルド員
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