/// 7.精神修行で覚醒への道

覚醒について確認したサイコ。これはもうすぐにでもやるきゃない!!!


やってやりますよ!!!




準備が整ったころには、執事エイルと眠い目をこすりながら馬車を降りてきたカトレアお嬢様も加わり夕食タイム。


夕食の際の会話の中で、明日にはオリベイルの中心地、オリベイル家の本宅がある帝都につく予定であること、学園のあるのは自然豊かな辺境の地、キリルプルからの帰り道であること、アレクたち三人は中堅の冒険者パーティであることがわかった。ちなみにエイルさんはぶっちぎりで最上級の冒険者だったとか・・・


(おっさんズはあれで中堅なのかよ・・・そしてやっぱりエイルさんは絶対に敵に回しちゃいけない人だった・・・)




ほどなく夕食も終了し、執事エイルとカトレアお嬢様は二つある大きなテントのうちの一つに入っていった。


「ボウスは覚醒のことなんかはもう聞いたのか?」


「はい!伺いました!早速今夜試してみようと思います!」


アレクの質問に早速覚醒を試してみると意気込むサイコ。


「あまり焦ってもいけませんよ。覚醒は時にはかなりの体力を消耗した上に覚醒できずに終わることもありますし」


「そうじゃぞ!旅を終えてゆっくりしてから万全な状態でやればいいんじゃ!」


イビルとウインの言葉に首を振る。


「いえ、せっかく教えていただいたことを今すぐに試してみたい気持ちでいっぱいなのです。今夜は少し森の方にはいって一人で頑張ってみます!幸い街に近づいたここらには魔物などはいないと教えていただきましたし・・・」


そんなサイコの言葉にやれやれとため息を吐く二人。そしてウィンは涙を浮かべてうんうんうなっていた。




簡単な片づけを終えると、赤い盾の面々は交代で火の番をしながら警戒に当たるという。


寝ててもいいだぞ?と口々に言ってくる三人だったが丁寧に頭を下げ少し森に入り、真っ暗になる大木の影に腰を下ろす。


ここなら月明かりからも隠れ暗闇が俺の覚醒への道を示してくれるだろう。そんなことを考えているサイコは胡坐をかき精神集中をする。


(考えてみたら空腹もということなら夕食は食べない方がよかったのかな?いやいやあのお嬢様は10時間で覚醒したという。そんな短時間では空腹の苦行なんてなりたたない。きっとしゃべらず起きているという苦行で十分なはずだ。それに俺は転生者!きっとすぐに覚醒できるはず!)


そんなことを考えながらただただひたすら目を閉じ寝ないように意識を集中する。




どのぐらいの時間が経過しただろう。


なにやら頭の中の闇にまばゆい光が突然輝く。


うわっ!と声上げたサイコは体の内からあふれ出るような熱に胸を抑える。


ぴろん!

『ステータス更新-覚醒シマシタ』

『スキル精神耐性ヲ習得シマシタ』


しばらくすると落ち着いてきたのでステータスと心の中で唱えると相変わらずしょぼい画面に自分のステータスが浮かび上がる。




サイコ

種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂

LV 1m

力 1

守 1

知 1

速 1

スキル 鑑定 言語疎通 肉体強化 魔力増強 料理 精神耐性 New!!

魔法 転移 浮遊 治癒


「おお!」

覚醒していることを確認するも、すぐにオール1の能力値に少し気持ちが落ち込みため息が出る。


(とはいえ覚醒前とは数段上になっているというからな。まずはひとつずつレベルを上げていこう・・・道は長いな・・・)


野営している場所にゆっくりと戻ると、火の番をしているウィンが声をかけてきた。


「早いなサイコ。もう断念してしまったかの?それとも成功か?」


心配そうなウィンに少しの笑顔を向けて成功したことを示すサイコ。


「無事成功したようです。どのぐらい時間がたったかわかりますか?」


「どれ・・・うんうん。無事覚醒じゃの。時間はそうじゃの、多分6時間ほどといったところじゃろう。学園トップのお嬢の半分と少しぐらいで覚醒したんじゃ。誇ってよいじゃろうな。まあ年齢も年齢じゃが・・・これからゆっくり強くなっていけばよい。焦る必要はないのじゃ」


嬉しそうにほほえむウィン。


「ありがとうございます」


短く返事したサイコはウィンの向かいに座り暖を取る。


「少しじゃがアレクたちのテントで寝ていてもいいんじゃよ?」


「いえ、目がさえてしまった。それより少し魔法のことを教えていただいてもよいでしょうか?」


そういうとウィンは嬉しそうにこの世界の魔法のことを教えてくれた。



魔法はこの世界で火、水、風、土、光、闇、精霊魔法があるという。

雷や氷、時空などの魔法は多属性の複合となるようだ。


すでに習得している転移は時空と光、浮遊は時空、治癒は光魔法の属性だという。

各属性のほとんどを習得するとそれぞれの属性そのものがステータスに刻まれ、操作精度や威力が向上するようた。

そう考えると執事エイルはすべての魔法を高精度で操れるということなんだろう。なにそれ怖い。


とはいえ、サイコ自身もどのような魔法があるか知るだけでほとんど習得できるだろう。

そう考えるとわくわくしてきた。


(早くすべてをきわめてチートな毎日を送るんだ!やってやりますよ!!!)


そんなこんなで数々の妄想に思いを馳せている内に、空はうっすらと明るくなっていった。




<登場人物紹介>


+エイル

種族 人族 / 年齢 57 / 性別 ♂

ザ・執事というイメージぴったりのダンディーな老年男性

オリベイル侯爵家の執事

信じられないほど強い。


+カトレア

種族 人族 / 年齢 12 / 性別 ♀

オリベイル侯爵家の一人娘

自然豊かな辺境の地、キリルプルの学園に通っている。

金髪カールの美少女

愛称 レア


現在のサイコ

種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂

LV 1m

力 1

守 1

知 1

速 1

スキル 鑑定 言語疎通 肉体強化 魔力増強 料理 精神耐性

魔法 転移 浮遊 治癒

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