/// 6.覚醒しなきゃ始まらない

農業地帯ということで知識チートキター!!!と思っていたがこちらの世界ははるか先の魔法も使えるファンタジーだったわけで・・・。またまたサイコは頭をかかえ悩みは尽きない。


どうしてこうなった・・・




気まずい馬車の旅はまだ続く。


カトレアお嬢様と執事エイルがそろそろ新しい視点で農業も改革していくべきという話を繰り広げている馬車の中。

いたたまれなくなったサイコは話題を変える。


「そいえば、覚醒というものについて伺っても良いのでしょうか?カトレアお嬢様も覚醒済みということで少しでも良いから教えていただきたいのですが・・・」


「そうですね。もう能力値もフルのようですし覚醒をされた方が・・・」


執事エイルがそう言いかけた時、カトレアお嬢様が話を遮るように手を横にかざして執事エイルの話を遮る。


「それについては私が教えてあげるわ!」


フンスと鼻息荒くドヤってくるカトレアお嬢様。


「それは光栄です。カトレアお嬢様。

(できれば最恐のエイルさんに聞いておきたかったがまあいいか。ようは覚醒できればいいんだし。そうなれば後は自分の努力次第だろうし。今のままではその方法がわからない)」


「覚醒はね!色々なことを我慢するのよ!」


「はあ・・・」


お嬢様の根性論のようなふわっとした説明に思わず間抜けな返答をするサイコ。


「分かりにくかったかしら?真っ暗な部屋で食事も睡眠もしゃべることも我慢するのよ。そうやって自分を追い詰めることで覚醒するわ!私は10時間でできたけどね!普通は30時間ぐらいかかるらしいわ!」


(もろ根性論だった・・・)


カトレアお嬢様の話を聞いてドン引きするサイコだが気になることがあったので聞いてみる。


「結構大変そうですが、その間・・・その・・・催したりする時はどうしたら・・・」


「垂れ流すわ!」


潔いお嬢様の言葉に圧倒される。


「人生を左右されることだもの!それぐらいできなきゃ生きていけないわ!」


(そうか。覚醒しないと何もできないこの世界。一秒でも早く覚醒しなくては・・・)


カトレアお嬢様の熱弁にそう決意するサイコだった。




しばらく覚醒について熱弁していたカトレアお嬢様も夕刻となり少しうとうとした時間帯。


サイコは頭の中でこの世界をどう生きていこうか思いを巡らせていた。


農業知識については残念ながら活用できそうになかった。しかしまだまだ使えそうな知識は山ほどある。言っちゃなんだが俺も前世では様々なことを習得したエリートだ。ぜったいにこの世界でも成り上がってやる!そのためにはまずは覚醒だ!最低限の強さを持たなくては始まらない。


そんなことを思っている間に馬車はゆっくりと止まる。


「エイル様、そろそろ夕食をとりながら野営の準備をいたします」


馬車の扉にコンコンとノックの音が聞こえるとアレクと思われる声が今後の予定を告げる。


「そうですか。では、準備ができたらお声がけをお願いします」


「承知しました」


執事エイルの言葉に短く返事をするアレク。


「では私も何かお手伝いができるかと思いますので行ってまいります」


「無理しなくても良いのですよ」


少しでも印象を良くしておこうと行動するサイコにエイルが声をかけるが、サイコは首を横に振ってそのまま馬車のドアに手をかける。


「色々とお教えいただきありがとうございます。では!」


馬車から出るとすでに三人は慣れた手つきで料理の準備とテントのようなものを立て始めていた。


「あのー!何か手伝えることはありませんか!」


三人に向かって声をかけると料理の準備をしていたウィンが手招きをしているのでそばまで駆けていく。


「サイコは料理はできるかい?」


ニコニコしたウィンに大丈夫と返答すると野菜の皮むきをお願いされた。


ここぞとばかりに包丁さばきを見せるサイコにすごいもんだと関心しきりのウィン。


(そりゃー当然だろ!俺は料理だってプロ級だからな!とりあえず今ある食材では限られたものしか作れそうにないし、今日のところはこの程度でやめておこう。材料がたっぷりあるところで思いっきりチートしまくりで度肝を抜いてやるぜ!)


ぴろん!

『スキル料理ヲ習得シマシタ』


その後、サイコが準備されていた食材を使って簡単な炒め物を作り終えたところで、ほとんどの準備は完了していた。

みんな手馴れてる。さすがと思うサイコだった。




現在のサイコ

種族 人族 / 年齢 18 / 性別 ♂

LV 999

力 9999

守 9999

知 9999

速 9999

スキル 鑑定 言語疎通 肉体強化 魔力増強 料理 New!!

魔法 転移 浮遊 治癒

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