第4話 嘘告④
前回よりも大きな声で喋っているらしく、教室の外まで声が聞こえてくる…その声は苛立ちを含んでいるようだった。
『ねぇ〜このままじゃ冴橋の成績下がんないよ!!どうすればあいつを孤立させることができるの!!』
『落ち着いて…そんなに大きな声を出していると教室の外にまで声が聞こえちゃうよ!!』
『ごめん…』
『良いのよ…それよりも今後のことについて考えましょう?教師に告げ口するのは難しくなるだろうし…それ以前に今度からは私達が疑われるかも知れないよ?』
『落ち着いて…彩っちは、なにか案ない?』
『そうだね…今回は決定的な証拠がないから逃れられた可能性が高いから…写真に取るか、次のテストのタイミングでカンニングペーパーをあいつの机の中にでも突っ込んでおくなり、なにか工夫しないと出来ないかも?』
『彩っちだったら、次はどうするの?』
『う〜ん…孤立させるだけだったら、変な噂を流せばいいと思うんだよね?私は先輩たちからも頼られてるし、同学年の人も私のことを信頼しているから、付き合ってる最中に私に酷いことをしたって言えば簡単に孤立するんじゃないかな?』
『彩っちさすが〜でもさ、冴橋って、そんな噂を流されて黙ってるようなやつじゃないんだと思うんだよね〜そこら辺はどうするつもりなの?』
『古河先輩が明日にでも呼び出して、色々するって聞いたよ?私の言う事なら何でもしてくれるような可愛い子だよ?』
『彩っちやばwもしかして、古河先輩って彩っちの言う事何でも信じちゃう系?』
『そうだよ〜私が「付き合ってたやつに酷いことされた!!」って泣きながら言ったらさ、もう怒りに怒っててさ…バッドを持って殺してやる!!なんて言っちゃって本当に駒として優秀だし、可愛かったよ』
『この話は一旦終わりにしてさ〜またこの前言ったカフェにでもいかない?あそこのメニュー美味しかったしさ!!』
『桜も楽しめてそうだし、行っても良いんじゃない?』
桜って女子は、確か同じクラスだったはず…これでまた話せる人がいなくなったな〜
『その前に、この猫カフェにでもいかない?私猫大好きなんだよね〜』
『彩っち猫好きなんだ〜猫って時々甘えてきてくれるのが良いんだよね〜』
『それ凄い分かる!!』
そこからは聞く必要がないだろうし、良いだろう…これ以上留まっているともし見つかった場合に大変なことになる可能性があるから早急に此処を立ち去ろう…
俺は帰路をたどりながら明日のことについて考えていた。明日は古河先輩に呼び出されるみたいだが、正直あの人は単純だから殴ってくるんじゃないかと予想している。殴るつもりなら、撮ってしまおうか…イジメとして訴えることもできるように、上手いこと立ち回る必要があるけど、成功してしまえばこちらの勝ちだ。
それを証拠に脅すことだってできるし、学校側に提出すれば一発で退学とまではいかなくとも停学くらいにはなるはずだ。
俺は自分が殴られる所を取るためのカメラを学校のカバンに入れ、早々に布団に入った。明日は殴られないといけないから、気をつけないと…
殴ってきたら、あんたの高校生活はおしまいだよ?古河先輩?
朝起きると、既に朝食が用意されていた。妹が朝から部活があるということで用意しておいてくれたらしい…本当に出来た妹だな…お兄ちゃんは嬉しいよ。
俺のことを馬鹿にしてるあいつらに報復するのが楽しみだ!!あいつらの苦悩に満ちた顔で謝罪する姿をみたいなぁ…後は、絶望して泣き叫んでる姿を見ればこの復讐心も少しは晴れるだろう…
俺はそんな事を考えながらいつも通り通学する。あいつらへの復讐心は燃え尽きることはないだろう…俺の両親の事を馬鹿にしているあの教師も、嘘告をしてきたあの女も、その取り巻きの女も全員許さねぇからな?
そして、教室につきいつも通り授業が始まり、昼休みの時間になった。俺の予想では、この時間に古河先輩が俺のことを呼び出すと考えていた。案の定俺の予想は的中した。
「ここに冴橋がいるって聞いたんだが…冴橋はどいつだ?」
「冴橋は俺ですけど…どうしましたか?」
「お前に一つ話がある。ちょっと付き合え」
「良いですけど…具体的に何について話すのか教えてもらってもいいですか?流石に話す内容について知らないまま行くのは怖いですし…」
「愚痴愚痴いうな!!さっさと来い!!」
「はぁ〜自分が利用されてるとも知らずに馬鹿だなぁ…」
「なにか言ったか?俺はさっさと来いって言ってるんだ」
俺はその言葉にうなずいて着いていった…連れて行かれた場所は予想通り、校舎裏だった。そして、この場所には俺が仕掛けた大量のカメラがあるから、どんな行動をしても鮮明に映るように事前に調整してある。
「なぁ…どうして呼び出されたのか分かるか?」
「さて…どうして呼び出されたのかわからないので先ほど説明を求めたんですけど…」
「お前は!!彩たんとは釣り合わないからさっさと別れろ!!」
「はぁ?どうして赤の他人に別れろと言われないといけないのですか?」
「もし別れないと答えるようなら…どうなるか分かってんだろうな?」
「どうなるんでしょうね?」
「っち!!しょうがねぇ!!お前ら、やるぞ」
ぞろぞろと俺の背後から人が出てきた…その数は5人くらいだろうか
「もしかして殴るつもりですか?もし、殴るようでしたら警告しますが止めておいたほうが良いですよ?」
「安心しな!!顔は勘弁してやるからよ!!」
「再度警告しますが、それ以上近づいてきた場合それ相応の代償を負っていただきますが…よろしいですか?」
「代償ってw俺等に勝てるとでも思ってるのかな?」
「そうだそうだ!!古河の兄貴に勝てるやつなんて居ないんだよ!!」
「はぁ…不良ごっこでもしてるんですか?ダサいですね」
「てめぇ!!」
俺はそれから10分ほど殴られ続けた…殴られたり蹴られたりしたが正直あまり痛くなかった。あいつらを気持ちよくさせるために、わざわざ痛がってるふりをするのは大変だった。
「ふぅ…これで証拠ゲット」
「こいつまだなにか喋ってるぞ!!息の根止めるつもりでぶん殴れ!!」
俺は不良ごっこをしているガキに抱き抱えられた後、腹に一発パンチを貰った…流石に殴られ続けてたからか、痛かった…
「ふっふっふ…」
「こいつ!!」
殴られっぱなしは嫌だし、そろそろ反撃するか〜そう思っていたときだった。先生と生徒会長を含めた生徒会が校舎裏に走って来たのだ。
「貴様ら何をやっている!!」
「げっ!!先生と生徒会長じゃねぇか!!おいどうするんだ!!」
古河は俺を殴った瞬間に校舎の方に戻ってしまったのだ…その場に居なかったからといって、処罰されないとでも思っているのだろうか?
「そこの君!!大丈夫か!!」
生徒会の人が俺の事を心配してくれているみたいだが、正直邪魔だった…
「流石に痛かったですね…」
「来るのが遅くなってしまって申し訳ない…さぁ保健室に行こう。」
俺が会話をしている間にあいつらは、先生に捕まっていた。
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