第3話 青年とシスター

グレムリン騒動から数時間...

私の頭にはまだ青年の言葉が響いている


「なんでもできて」「ヒーローみたい」「憧れる」

「僕も魔法使いになりたい」

あ~! もう忘れろ!忘れろ!


そんな時、私の使い魔『バアル』が帰ってくる

「キュー! キュキュ?」


「大丈夫...心配しないで♪」


ひとまず青年のことは忘れよう

ぐぅ~~...

「お腹空いた...」



裏内市に取り残された青年『日野 渡』はネットで師匠と慕う魔女のことを調べていた。


「どこにいるんだろ? 師匠ぉ...」


ぐぅ~~...

「そういえば お昼まだだったな...」


とりあえず僕は近くにあった、ハンバーガー店に入った。


僕がハンバーガーを食べていると、誰かが僕に話しかけてきた。


「相席 よろしいですか?」


ファーストフード店に似合わない綺麗な女性

格好からしてシスター様だろうか...


「はっ...はい!」


シスター様のトレイには山盛りのハンバーガーが

これ全部食べるのかな...


「何ですか? 私の顔をじっと見て...」


「いっ...いえ! 沢山食べる方だなぁ...なんて...」


シスター様はきょとんとして

「そうですかね? もっと食べる人知ってますし...」


これより!? 一体どんな大男なんだ!?


「それよりも貴方、考え事してますね?」


「何でわかったんですか!?」


「ハハハ 女の勘ですよ♪」


すごい...


「相談にのりましょうか? 迷える人を導くのもシスターの務めですから」


「実は...魔法を見たんです! それでその魔女に弟子入りしようとしたら...」


「逃げられた...ですね」


シスター様は鞄から一枚の写真を取り出す

その写真には髪型は違うが確かに師匠の姿があった


「この方ですね? 魔女と言ったらこの方しかいませんもの♪」


「そうです! その人!!」


「...悪いことは言いません この方には近づかない方が良い...」


「何でですか!? 僕は魔法が使えるようになりたいんです! この人の弟子になって...」


シスター様は机をバン!と叩き、僕の話を中断する

(何か前もあったな...)


「魔法はなんて...神に背く邪悪で品のない 禁忌なのに...」


「禁忌って...」


そんな時、店にある人物が来店する。

そう師匠だ...


「お腹空いた...って げっ...青年と...!?」


師匠は目をギョッとさせてこちらを凝視する。


「ししょ...」

「お久しぶりですね...最後の魔女 アリスさん...」


師匠はタメ息を吐いて、僕達の席に付く。

何か顔色が悪い気がする。


「久しぶり...白雪...」


「...最近、魔獣や魔道具の事件が多いですね」


シスター様は鞄から数枚の写真を取り出す。

山羊頭の男、グレムリン、角や翼の生えた子供

他にも沢山の写真があった。


「私のこと疑ってるんでしょ?白雪 私はやってない」


「そうですか...まぁ、今は信じておきますね」


シスター様は師匠とは違い、ニコニコ顔を崩さない。

シスター様は席から立ち上がり


「では、失礼しますね アリスさん 食べ過ぎに気をつけて...」


シスター様は店から出ていった。


この残ったバーガーどうしよう...



アリスは白雪が残していったバーガーを食べた後

公園のベンチで読書をしていた。

公園での読書は静かで大好きなのだが...


「師匠ぉ!! 弟子にして下さいぃぃ!!」


うるさい...しつこいなぁこの青年...

いっそ魔法で消そうかな...


「無視はやめて下さいよぉ!!」


「はぁ...白雪から私には近づかない方が良いって言われなかった?」


「言われました!!」


良い返事だこと...


「なら、私に近づかないで...」


「そんなこと言わないで下さいよぉ...」


青年は私に縋りつく 凄く必死...

あぁ...やっぱりあの子を思いだ...いやいや ダメダメ...


「だから、魔法は危ないから 一般人の君には...」


バリィィィィィン...!!

近くの建物からガラスの割れる音がした。

しかも微かに魔力を感じる...


「これって...まさか...」


私はすぐさま箒を取り出し、音の方向に飛んでいった


「あっ! 師匠! 僕もお供します!!」


そう言って日野も走り出した。


公園を少し出た所のビルは窓ガラスが全て割られており、中から悲鳴をあげながら人が出てくる。

「誰かぁ! 助けてくれぇ!」

「化け物よぉ!!」


その人々の少し後ろから、大きな影が一つ...


「良いねぇ...その悲鳴、最高ぉ!!」


その者は蜥蜴の様な顔、全身に生える鱗、二足歩行してるし、爪がとても長い。


蜥蜴人リザードマンか...とりあえず話してみるか...」


私は箒の高度を下げ、蜥蜴人の前に降りた。


「あぁん!? 誰だ? 俺の邪魔ぁする気かぁ?」


「そうね...一応 人を守るのが務めだからね」


数秒間お互いの出方をうかがっていると...

蜥蜴人は急に私とは別方向に飛び出した。

何...って!? あれは 青年!?


「ヒィヤッハァァァァァ...!!」

「アァァァ...!! こっち来たぁぁ!!」



…続く…


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