サイドストーリー 三上06 三上くん事後処理する
ってわけでこの数日はくっそ忙しい。
ゼロさまの動画の反響は尋常じゃないな。
ハンターたちはSランクのゼロさまがここまでのことを思っていると知ってサブゼロに入りたいって声が多いし、入れないまでもクランとして協力関係になりたいとか、研修だけでもしてほしいとかな。
さすがにそれを全部叶えるのは無理だし、入りたいやつだって何を考えてるのかを洗わないと話しもできない。
そんなわけで監査班は死ぬほど忙しくて、俺にも書類でわかる範囲でってことでヘルプ要請が来たわけだ。
「あー… 面接までできるやつってほんと少ないな。」
「でしょうね。」
「これはほんとに
「一応かけてはいますが、担当したのが若手だったのと数が多すぎてすり抜けているのかと… すみません…」
「いや、お前を責めてるんじゃなくてな?
愚痴りたくなる数だって話しだよ。
とりあえず書類選考で数を減らして、面接でいくつかにして、最後に監査で確認ってことだったよな?」
「はい、新規の加入は一旦全部お断りで、これは協力ができるかどうかの判断のための作業ですね。」
「それでこれかよ…」
全国から100を超えるクラン、パーティーからの協力関係の申し込みが入って、その全員分の経歴を確認してる。
1人でも怪しいメンバーがいればそこで却下なんだがどんだけ却下すりゃいいんだよ… 多すぎだろ!!
「専務! テレビ局からの取材申し込みが来ていますがどうしたらいいでしょうか!?」
「んなもん山下に回せ!!」
「山下部長は個人携帯にすごい件数かかって来てて対応してます!」
山下よぉ…
テレビ関係はお前の担当だろうが…
「専務… どうしたらいいでしょうか…」
「今度はなんだ?」
「反ハンターの活動家が社屋前でデモをしてます…
ゼロさまの態度が気に入らないという主旨のコールをずっとしてまして社員も来ているハンターたちも殺気立ってまして、私たちではどうしようも…」
「はぁ… 経歴書類の方は任せる。
テレビ取材についてはメールで質問を出すように伝えろ、山下にも同じことを伝えとけ。 質問内容はまとめて動画で回答できるように調整だ。
外には俺が出るからハンターたちはなんとか抑えろ。
それと警察に連絡な、威力業務妨害の現行犯だろ。」
とりあえず、普段のスーツじゃ舐めてくるだろうから戦闘服にするか…
更衣室に置いてある戦闘服のスーツに着替える。
これは見た目はスーツだが販売している戦闘服よりも性能はかなり上のものだ。 零司さまや国見くんたちが使っているものと同等の性能だと言えばわかるだろうか。
Bランクハンターの刺突程度では貫けないように色々と加工してあるんだからうちの開発部はやばいよな。
「ハンターは横暴をやめろー!」
「「「「「やめろーー!」」」」」
「ゼロは直ちに訂正と謝罪をしろー!」
「「「「「謝罪しろーー!!」」」」」
「うっせぇぞ!!!!!!!!!!!」
「「「「「………………」」」」」
は…?
少し気合を入れて声をだしただけで黙るのかよ。
根性もねぇなら跳ね返ってくるな…
「ここはサブゼロの社屋の前です。
このように集団で声を上げられては迷惑なので今すぐ解散してほしいのですが?」
こちらも社会人なのでね。
まずは冷静に話し合いの余地があるように見せましょう。
「だっ だみゃれぇ!
ハンターが一般人に暴力を振るうのか!?」
はて…?
俺は丸腰なんだが?
「暴力もなにも、こちらはなにもしていません。
あなたたちに今すぐに解散してほしいだけなのですが、いかがですか?」
ま、無理でしょうがね。
「うるっ うるひゃい!
ゼロのあの態度はなんだ!?
ハンターが一般人も見るところであんなに偉そうな態度をしていいと思ってるのか!?」
ほぅ・・・ 呼び捨てか・・・
「なにか問題でも?
あの動画は我が社のアカウントでの発信ですし、ゼロさまは我が社の社長ですから我々としましては何の問題もないと理解しております。
態度が気に入らなければ見なければよろしいのではないでしょうか?」
「そういうことじゃない!
未成年者も見る動画での喫煙はどうなんだ!?
悪影響だとは思わないのか!?」
「それにつきましても、動画内で未成年者の飲酒喫煙については注意しておりますし、ハンター特例について触れております。
ゼロさまは特例の対象ですので法的に問題はありません。」
「ほっ 法律のことはどうでもいい!
どうぎてきせきにんってやつの話しをしてるんだ!」
おいおいおい…
道義的ってなんだよ、そういうこと言うと言葉狩りになるぞ?
「そうは言われましても、認められた権利を行使してなにが悪いのでしょう?
同じことをあなたたちにお返しするなら、他人の会社の前で騒ぐこの行為はどうなりますか?」
「我々は正義のために立っている!
そのためならすべてが許される!」
「「「そーだそーだ!!」」」
「「正義のためにー!」」
はぁ… 話しになんねぇな…
「知らないようだから教えて差し上げます。
ハンターには緊急時には暴徒鎮圧の権限が与えられています。
それを行使してもいいのですが、そろそろ帰っていただけますか?」
「嘘だ!
暴徒鎮圧権はAランク限定のはずだ!
あんたが元ハンターか知らんけど、あんたみたいなちょっとガタイがいいだけのヤツがAランクなわけがねぇだろ!」
「そーだ! 越権行為だ!」
「持ってない権利で脅すのか!!」
「はぁ… 名乗るのが遅れてすみません。
私は元Aランクハンターで、現在はサブゼロの専務をしております。 三上と申します。 見知り置いていただかなくて結構ですのでさっさとお帰りください。」
「ひぃっ!? Aランクが一般人を脅すのか!?
これはもう事案だ!!」
「なっ! 同士を守れ!」
カツン
デモ集団から石が。
さぁて… これで言い訳も十分だけど…
さすがにヤったらまずいよなぁ…
お? サイレンだな、やっと来たか。
やっと警察が到着。
デモ集団は確保されましたとさ。
鎮圧しても問題はないんだが、一般人をハンターが対応するとまた面倒なことになるから警察に任せる。
俺がしたのは少々殺気を当てて威圧しただけだ。
とりあえず今回の事後処理はまだまだ続きそうだ。
警察は近隣パトロールを強化してくれるらしい。
まぁ、こっちはいつでも鎮圧権を使えるわけだから警察に譲っていることになる。
山下にはいちいち取り合うなと少し説教だ。
質問は個別メールで受け取って、回答はまとめて動画で出せばいい。
こちらが引く理由はないんだ。
そういう立場の違いを考えないとな。
他のところとの協力関係についてはじっくり精査するかな。
こちらが急ぐ理由はないし、遅くて文句が出るなら協力関係も上手く行かない。
そんなわけでとりあえず俺のやるべきことは終わりかな。
動画公開から3日ほどはこうしてバタバタしたが、とりあえずは落ち着いた。
ゼロさまはあいつらの相手をどうされるんだろうな。
国見くんたちとは結婚するだろうが、まさか…な。
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