054 それになんですか、あの服の数々は!




作者です

この物語はフィクションです、登場する人物、団体、地域、国家などは架空の存在です。 それをお忘れなくお楽しみください。




「なぁ… 日本人ハンターのあいつをこちらに呼ぶことはできないのか?」


「どういうことですか?

 大統領にしてはめずらしく弱気ですね。」


「当たり前だ。

 たった1人が活動休止って言うだけでこの影響力だぞ?

 それが我が国に来てみろ? 我が国の影響力もさらに増すだろ?」


「それはそうなんですが、ダンジョンが発生してから世界のパワーバランスは崩れています。 我が国の影響力も…」


「だからさ、あいつをこっちに引っ張れれば変わるんじゃないかって思うんだよ。」


「難しいと思いますよ。

 収入もあちらのダンジョンに入る方が高いでしょうし、装備に関してもドロップなり自前の会社での試作品なりでこちらが用意できるものよりずっといいものを持てますから。」


「だよなぁ…

 んじゃ人質か?」


「それは絶対にお止めください。

 Sランクのハンターはその気になれば1人で1国の軍隊を滅ぼせるのですよ?

 魔術師タイプであれば核も通用しない可能性だってあります。

 虎の尾を踏む必要はないかと…」


「でもなぁ…

 東洋では虎穴に入らずんばって言うんだろ?」


「3億人の国民の命を使った賭けはいかがなものかと。

 これまで通りにこちらの手に余るときにだけ依頼をするのがベターですよ。」


「結局そうなるんだよなぁ…

 今度の選挙で有力候補はハンター排斥系なんだろ?

 だからこっちとしては有力なハンターを確保して国家の安全を考えてるってところをアピールしなきゃならんだろ。」


「国内のハンターを育成する方が重要ですよ…

 なんでしたら日本に留学でもさせますか?」


「それだ!

 若手のハンターを何人か日本のハンター向けの学校へ留学させるんだ!

 それで強くなって帰ってきてもらおう!」


「はぁ… 思いつきもいいですがうまくいきますかね…

 (向こうに居つかないでくれたらいいのですけどね…)





 Side 風間




 まったく… 忙しいと言ったらないですね。

 あの屑どもの後始末がどれだけ大変か。


 委員会の新メンバーの選考をしてしまわないと僕がパンクしちゃいます。



 それにしても零司くんはすごいですよ。

 僕も委員会はどうにかしたかったけどなかなか思うようにできなかったものを、たった1人でこの結果です。


 本人が直接行動しなくても周りにこれだけの影響を与えて事態を急変させる。

 彼ほどの人材は得難いですね。


 もし他国が彼を狙うのなら全面戦争の用意をしておかないといけません。

 アジア方面は相も変わらずきな臭いですし、アメリカも怪しい。

 そういう意味ではヨーロッパは静かですが今後はわかりません。


 他国の協会事情についての監視をなんでこれまでやって来なかったのか…

 組織作りから始めないといけないってどうなんだろう…


 ここしばらくのどさくさで零司くんのサブゼロが九州方面に影響力を強めたと報告にありましたが…


 なるほど…

 装備品のあちらでの販売を強化したのですか。

 あの国資本の企業の製品を締め出そうと…?

 そうしてくれると助かりますね。

 安価な粗悪品で犠牲が増えるのは協会としても嬉しくないですから。



 僕も個人的に買ってみましたが、ハンターランクやジョブによって勧めるものが違うんですね。

 こういう気遣いでハンターの生存率が少しでも上がればいいって販売スタッフが笑って言っていたのが印象的でしたね。

 末端までその意識で働いているのがサブゼロ…


 ほかの企業でこうはいかないです。

 それになんですか、あの服の数々は!

 たしかに戦闘服におしゃれを求める気持ちはわかりますが、あれほどの種類は予想外過ぎるでしょ!

 Cランク以上の女性ハンターが武器の更新よりもサブゼロの戦闘服を求める気持ちがわかりますよ…


 それにこれは下手な鎧よりも頑丈です。

 乙二種までは十分に、乙一種でもそれなりに使えそうな春用のコートがあるなんて!

 遊撃魔術師向けに動きやすさと防御性能を満たした上で、デザインもいいなんてもう買うしかありませんよ!


 僕が現役の頃はこういうものを扱うメーカーはなかったのでドロップ品のローブか魔術師なのにメーカー品の鎧を着ていましたからね…



 今度、零司くんのところのゆかりくんに指導をするという話しをしましたが、ゆかりくんのいるパーティーに零司くんともう1人を入れた少し大人数でダンジョンに入ることになりました。

 うん、若手を育てるのがベテランの務めとは思いますが、得るものを最大限にしようとする姿勢はいいですね。

 水内くんにはそのダンジョンにひとを入れないように言ってありますから他には見せたくない技術を色々見せてあげましょうか。


 聞くところによると、ゆかりくんはオリジナルのかなり面白そうな魔術を使えるとか。 これは僕も得るものがあるかもしれませんね。

 正直なところダンジョンに入るのがこれほど楽しみなのは久しぶりです。

 零司くんも何かを見せてくれませんかね… 彼は魔術師として僕以上で、剣士としてもあいつ以上だと思うんですよ。

 言い方は悪いですが、水内くんの上位互換と言いますか…

 師匠と言っていましたから、水内くんに指導を受けて、気づいたら追い越していたんでしょうね。


 よくある話しですが、水内くんは少したるんでいますね。

 僕より若いんですからもっと頑張っていてほしいとは思いますが、彼が引退した理由を考えると無理強いはできませんし難しいところです。


 さて…

 ダンジョンを楽しみにしながら僕は事務仕事を片付けますか…




作者です


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次回は2023.11.22 00:05です。


11月は2日に1回、偶数日更新で頑張ります!


よろしくお願いします。

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