サイドストーリー 山下05 山下現実を突きつけられるってよ
残酷な描写があります。
お気をつけください。
この物語はフィクションです、登場する人物、団体、地域、国家などは架空の存在です。 それをお忘れなくお楽しみください。
なんでしょう…
これはなんなのでしょうか…
可能性は考えないでもなかったのですが、
まさか本当にこんなことが…
「おはようございます、山下さんにこちらが届いています。」
出勤した私に秘書さんが封筒を渡してくれました。
これはなんでしょう?
「極秘」の判が押してあるんですが…
「あの、これは…?」
「あぁそうか、初めて見るんですね。
こちらは… 場所を変えましょうか。」
連れ出された先は打ち合わせに使われるような部屋ですが、防音?
社外秘の会議などに使う部屋でしょうか、誰もいないのに入室にカードキーが必要など普通ではなかなかないと思うのですが…
「ここならいいか、今から話すことはかなり重要なのでしっかり覚えてください。
まず、この書類の中身については口外禁止です。 存在についても口外してはいけません。 これは各部門の長に定期的に渡されるもので、内容は部下の個人情報になります。
もちろんただの個人情報ではありません、誰と、いつ、どこで会ったか、その際の会話の内容について、場合によっては相手の情報まで記載してあります。
よくある浮気調査程度の精度だと思わないでください。 ピロートークの内容まで網羅してありますのでプライバシーの概念などないものと思ってください。
サブゼロでは部門長には部下のこういうことの管理もしていただきます。
怪しい動きをする者に担当させる業務をどうするかは
全員の情報を知りえるのは人事部の数名と役員の方たちです。
各部門長は自身の部下の情報とご自身の情報のみを知ることができます。
人事部が問題ありと判断した場合はその情報は全部門長に共有され、対応を協議されます。
ですので、ふるまいには十分ご注意をお願いします。」
は… はい…?
こんなことが…?
プライバシーの概念がない…?
「あの… こんなことが許されると…?」
「勘違いをしないでください。
この調査は必要に迫られて始まりました。
好奇心やゴシップを見るような感覚で見る者などおりませんし 調査結果で
なぜこういったことするようになったかは知っていますから。」
「なぜ… こんなことを…?」
「これは私がサブゼロに入る前にあったことですが、サブゼロ所属のハンターたちが拉致されたことがありました。
某国の工作員による事案でしたが、その情報源はサブゼロの事務職員の恋人でした。
要するにハニートラップでハンターの行動を監視していたのです。
ハンターたちは無事に解放されましたが…
そうですね… 山下さんにはぼかさずにお話ししましょうか。
三上専務を中心とした実行部隊が犯人と拉致されたハンターを確保しました。
その後、犯人である工作員は激しい拷問にかけられました。
骨を折り、肉を削ぎ、目をえぐり、もちろん薬物も投与されました。
そして、情報を漏らした職員とその恋人も同じ目に。
この事案の首謀者はその国の大使館職員でしたが、その職員は家族も生きたまま細切れにされたと聞きます。
どうしてここまでするかわかりますか?」
「い… いえ… わかりません…」
「やらなければやられるからです。
さきほどのハンターには妹がいました。
その妹は誘拐され、薬漬けとなり、兄であるハンターを呼び出す囮に使われたのです。
ハニートラップにかけられた職員は軽い気持ちだったのでしょう。
ですが、彼のせいでその妹は一時期廃人同然となり、その兄が拉致される原因となったのです。」
「そんな…」
「また別の件では、ゼロさまの情報を得ようと…「もういいです!」…そうですか。
ですので、身辺には十分に注意をしてください。」
「なぜ… なぜそこまでのことをするんですか…」
私にはわかりません…
なんで1人のハンターを捕まえるためにそこまで…
1人のハンターを守るためにそこまで…
「はぁ… 危機管理意識が低いですね。
ハンターを軍事力で換算した場合どれほどになるか考えたことはありますか?」
「少しだけ…」
「なら認識が甘すぎます。
Aランクパーティー1つで小国の軍隊より強いんですよ?
なら1人いれば戦闘機や戦車いくつぶんになるか、そう考えれば仮想敵国の潜在的戦力を削ぎたくなるのは安全保障を考える上で当然のことです。
あなたは今、1人のハンターのために何人の人間がと考えたかもしれませんが、逆に考えてください。
相手国から見れば1人のハンターの無力化で何人の自国の軍人が助かるかと考えれば他国のたった1人の命など、ですよ。」
「で… ですが… 人命は…」
「それは相手に言ってください。
我々は自衛と報復しかしませんから。」
「そんな… サブゼロは… そんな…」
「ご安心ください、この話しは部門長以上と人事部くらいしか知りません。」
部門長以上… まさか…
「この話しは零司さんも!?」
「そうでなければ我々はあの方を認めてはいませんよ。
わかりますか?
ハンターはその存在が国防になっているんです。
そのハンターを悪し様に報じることがどういうことか、それくらいはわかりますよね?」
「テレビが… 外国の…」
「はい、なのであなたに広報を任されたのでしょう。
何も感じていない者が多い中、違和感程度は感じていたのでしょう?」
局の方針にはいつも違和感はありました。
なぜハンターに救われたひとについての報道をしないのか、なぜダンジョンの氾濫をハンターの不手際として報じるのか。
そして、ハンターを危険な存在として報じるのか…
「あの… もしかしてサブゼロの戦力って…?」
「クランメンバーと会社所属の全員を合わせれば各国の軍隊を含めても世界有数の戦力でしょうね。
その責任をゼロさまは背負っているのです。
それを理解した上でその書類に目を通してください。
多くの新社員たちは研修を通して情報管理について理解をしています。」
そうですね…
みんな飲みに行った先でも「自分の仕事内容は動画作成であり、サブゼロの内情は知らない」としか言っていないようです。
ハメを外して口に出している内容も、先日の由良さんの話を噛み砕いた程度…
これは… なん… だと… そんな!?
「わかりましたね?
社員とその関係者に裏切り者が出た場合、その恨みを自身に向けさせるためにその対処には零司さまか三上専務が動きます。
今回であれば動くのは零司さまでしょう。
わかりますか?
16歳の少年に背負わせるんです。
零司さまはサブゼロができたころから在籍しているそうです。
そして、ゼロさまと責任を二分していらっしゃいます。
あの方は表には出ていませんでしたが12歳からサブゼロの半分を背負っている…
今はまだ寝物語で済んでいます。
これがもし実際に行われたら…」
こんなこと… 間違っても零司さんに背負わせるわけにはいきません…
「まぁ、そうは言っても、裏切り者や敵対した者を処分する命令書にはゼロさまと零司さまのサインがあるんですけどね。
「自分たちの命令だから背負うのは自分たちだけでいい。」 そう言ってくださっています。 だからこそ、少しでも軽くしたいと思ってしまうんですけどね。」
零司さん…
ご迷惑をおかけします…
【山下部長の夫人と三上専務の息子が不倫関係にある。
ゼロ社長を亡き者にし、会社を三上専務のものとし
自分たちに利益誘導をしようと画策している。】
やはり、ですか…
2人の関係は怪しいとは思っていましたが、こんなことを考えているとは…
それも三上を使うなんて…
三上の思いを少しも理解していないのか…
「ということで奥様のこと頼みますね。」
「はい… ところでさっきの誘拐されたハンターとその妹さんはその後どうなったのでしょうか…?」
「元気にしてますよ、兄は今サブゼロで服飾デザイナーをしています。」
「兄は…?」
「えぇ、妹は私ですから。」
作者です。
国によるハンターの認識についてはこのような感じです。
そして自国以外のハンターに対する扱いも…
現代ファンタジーらしく国家間でのドロドロなども取り入れていきます。
国名がでても(ファンタジー)を付けてお読みください。
(ファンタジー)日本、(ファンタジー)アメリカのように…
この物語はフィクションです、登場する人物、団体、地域、国家などは架空の存在です。 それをお忘れなくお楽しみください。
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