058 【過去編5歳】俺はれーじ、5歳だ。
俺はれーじ、5歳だ。
今はみずーちっておっさんとひらさかって兄ちゃんに拉致られてる。
おっさんの運転する車に乗せられて、隣ににーちゃんが座ってる。
逃げられそうもないな…
そんなにじかんもかからずにみずーちのおっさんの家につれてこられたみたい。
むかえたのはおばさ… ひらさかになんとなくにてるねーちゃん?
おっさんのおくさん?
おくさんってなんだ?
こんな状況でれーせー?
れーせーってなんだ?
食べ物ならくれよ、朝から何も食ってなくて腹へってるんだ。
親はどうしてる?
母親はこないだの誕生日に処分されたよ。
俺みたいな「できそこない」しか産めなかったってりゆーで。
俺がなんでこいつらに拉致られてるのかっていうと、近所の穴で狩りをしてたところを見つかったからなんだ。
今より小さい頃はでかい家でオトナが食い物をくれてたんだけど、誕生日にその家から追い出された。
追い出される前に母親っていうひとが首を切り落とされてさ。
それをやったじーさんが
「お前のような「出来損ない」しか産めん女に用はないわ!」
とか言ってたから多分俺を産んだのはこのひとだったんだと思う。
それからは山のそばにある小屋に連れて行かれてそこでくらしてた。
食うものはちょっとだけあったけどすぐなくなったから山をさがしたんだ。
そしたら山のなかに穴があって、そこには豚顔のやつがいた。
おそってきたからにげたんだけどおいつかれてなぐられた。
すっげーいたくて、はらたってさ、
コイツヲブッコロソウっておもったらからだがうごいて豚顔を5ひきくらいころしたんだ。
そしたら肉が転がっててさ、穴にはいって肉をとってやいて食ってくらしてたよ。
むぐぅーー!
ねーちゃん! くるしい!
よくわかんねーけどねーちゃんはなきながらぎゅーってしてきた。
なんでそんなことすんだ?
殺すならぎゅーってすんのはからだじゃなくてくびがいいよ?
そういったらもっとなかれた。
よくわかんねー
この家にくらしてるのはみずーちのおっさんとねーちゃん、ひらさかのにーちゃんと俺よりちょっとおおきいゆかりねぇ。
ねーちゃんが俺とゆかりねぇをふろであらってくれた。
ふろはいるのひさしぶり。
さっぱりした。
よるに食べものをくれた。
あじがついてるの食うのひさしぶり。
豚顔の肉の方が肉はうまいっていったらゆかりねぇ以外はへんな顔してた。
豚顔の肉はうまいよ?
あさになって、ねーちゃんいがいみんなどっかにいった。
ねーちゃんは俺に字を教えてくれて、いろんな本を見せてくれた。
1日中、話しもしてくれて常識ってのを少し覚えた。
夜にみんなが揃ってから俺のことを聞かれたよ。
整理すると、
俺に両親はいない。 父親については誰かも知らない。 母親は元の家から追い出されるときにじいさんに殺された。
兄弟は知ってるのが2人。 たつおみとゆいと。 たつおみは俺より大きくて、ゆいとは同じくらい。 年齢は知らない。
たんじょーび、かんてい、まだか、こんなことを2人はよく言われてたけど、俺が5歳の誕生日にかんていされるちょっと前に、たつおみとゆいとの2人のかんていが良かったみたいなのが聞こえたのは覚えてる。
俺のかんていけっかは「やくたたず」らしいからよくわかんね。
たぶん誕生日のたびに鑑定を受けていた。
たつおみとゆいとは、俺の5歳の誕生日の少し前が誕生日で、その時に初めて鑑定結果が見えて、それがよかったんだと思う。
俺の結果はずっと「やくたたず」だから追い出された。
うーん、役に立たなかったら殺すんだね。
覚えとこ。
え?
なに?
3人ともなんで泣いてるんだ?
ゆかり姉はキョトンとしてるし、俺もそう。
泣かれる理由がわからないんだけど…
「師匠、俺を鍛えてください。
俺は鑑定は使えますけどこれじゃあれいじのステータスは見えません。」
「そうか… 神薙の家には上級鑑定を使える者はいるだろうがそれが「役立たず」と判断したんだ、それを…」
「あいつは5歳でオークを狩っているんですよ!
それがレベル1でスキルなしのわけがない!!」
「そうよ、あの子は少し教えただけで漢字も覚えてすらすら本を読んでいたわ。
話すことも少しずつだけど大人っぽくなってる。
なにかのスキルがあるのは確かよ。」
「そうだな… 俺たちがここにいられる間にできるだけのことをしよう、本意ではないが神薙家に戻した後に困らないようにしてやろう…」
「なんで!? あの子を引き取ることはできないの!?」
「無茶言うな、ここに連れてきているのだって危ないんだ。
神薙家に睨まれたら生きていけないことはわかるだろ…」
「わかっています、だから俺が超級鑑定を使えるようになって、あいつの本当の力を教えてやりたいんです。
それで… あいつが少しでも生きる希望を持てれば…」
「死にたがっているのか?」
「いいえ、違うわ。 あの子は世界の全てに価値がないと思ってるの。
自分のことも無価値だと…
5歳の子供が自分はいつ死んでもいいって怯えも泣きもせずにまっすぐ言うのよ、こんなのおかしいわよ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます