サイドストーリー 山下02 山下トークするってよ




 おはようございます。

 先日投稿した動画はまぁなんといいますか、賛否両論ありましたね。


 当然のように殺害予告もありましたけどこういうときには警察にしっかり対処してもらいたいものです。

 零司さんが秘書の名目で元Bランクで斥候職のハンターをしていたという方を護衛に付けてくださったので大丈夫でしょう。

 警察が間に合わないときには自衛ということで。


 いただいたコメントには「ハンターのありがたみを改めて知った」といったものや「身内がハンターです、よく言ってくれました。」というものなど肯定的なものがたしかにありました。


 ゲストを呼ぶということで質問コメントも来ていましたのでそれは収録の時に紹介しましょう、妻からは「学生の優秀なハンターを呼ぶのはどうかしら」と言われましたが、誰のことを考えているのでしょうね。

 零司さんではないでしょうから、ゆかりくんや美冬くんのことでしょうかね…




「みなさん、おはようございます。

 サブゼロ広報部長の山下です。

 前回の動画をたくさん視聴いただきましてありがとうございます。

 チャンネル登録もかなりの数をいただき社員一同嬉しく思っています。


 さて、本日は予告の通りゲストをお呼びしております。

 早速ですが紹介させていただきます。


 クランサブゼロ所属、所属パーティーはBランクの「赤の烈風(レッドストーム)」、現役のBランクハンター!

 赤城由香(あかぎゆか)さんです!」


「は… はい… よろ、よろしくおねがいします…」


「まず、赤城さんはパーティーではどういうポジションなのか教えてもらえますか?」


「えと… 私は剣士としてパーティーの前衛で戦っています。」


「おい、赤城! もっと気合入れて話さんかい!!」


「は? あ… 三上さん!? うっす! 気合入れさせていただきます!!」


「えぇと… 2人めのゲストは株式会社サブゼロ所属の元Aランクハンターの三上です。 三上は数年前に現役を引退し、以降は弊社で勤務しています。」


 おい… 段取りと違うぞ…

 ここで出て来るならこのまま通すか…


「なぁ、あんた… なんで三上さんのことを呼び捨てにしてんだ?

 三上さんのことを舐めてんのか? あぁん!?」


「バカもんが! 俺と山下は同僚だ! こういう他所向けの場面じゃ上司のことも呼び捨てにするのが社会人なんだ! お前いい加減にそういうことも学んでこい!」


「はい! すんませんっした! 山下さんもすんません!」


「いえ… 大丈夫ですよ… それでは質問の続きです。

 赤城さんは前衛の剣士ということですが、ダンジョンではどういう動きをされるのですか?」


「動き… 前衛やってるあたしの後ろには後衛の魔法職とか弓職がいるんす。

 なんで、モンスターが出たらガンガン前に出てぶった斬って後ろのやつらが攻撃しやすいようにしてやります。」


「なるほど…?」


「私から補足しよう。 ハンターはパーティーという小集団を作ってダンジョンに入るのが一般的です。 パーティーは役割に応じて前衛、後衛に分かれます。

 前衛には攻撃役と盾役、後衛には攻撃役と補助役が配置されることが多いです。

 後衛は討たれ弱い者が多いので前衛の者は後衛の者をを守りつつ攻撃をするのが主な役割ですね。


 彼女は剣士なので、前衛の攻撃役という立場で切り込むことが多いです。」


「あざす! その通りっす!」


「なるほど、今言われた4つの役割について教えてもらっていいですか?」


「うっす、前衛攻撃は三上さんが言ったとおりっす。

 盾役ってのはモンスターを引きつけたり攻撃を受け止めて他のメンバーを守る役目っす。 モンスターのぶちかましを受け止めるんで度胸と気合いがないとできないポジションっすね。」


「盾役は身体を張って仲間を守ります、当然怪我のリスクも高い危険な役割です。」


「それは… 赤城さんの言われるように度胸と気合いが必要そうですね。」


「後衛の攻撃役は魔法をぶっ放すか弓で狙い撃つかが多いっすね。

 魔法はかっこいいっすけど魔力のペース配分とかが大変らしいっす。

 弓は魔法みたいに魔力を使わないっすけど矢が尽きたらそれまでっす。」


「補助役は回復魔法を使うヒーラーや補助魔法などで味方を強化するバフ、敵を弱体化させるデバフを行う者などがあたります。

 こちらの習得には攻撃魔法よりも才能の影響が大きいと言われますね。」


「そうなんですね、回復魔法を使える方が近くにいると助かると思うのですが…」


「それがなかなかいないんすよ。

 あたしらのパーティーもBランクやらせてもらってるっすけどヒーラーはいないんで怪我したら回復薬を使うか、ダンジョンを出てから知り合いのヒーラーに頼むしかないっす。」


「それが現実ですね。

 回復魔法を習得できたら多くのパーティーからスカウトされるほどです。

 本人はDランクでもBランクパーティーから声がかかることまであるほどです。」


「2つ上のランクのパーティーからですか?

 力量の差が目立つと思うのですが…」


「そりゃそうっすよ。 でもそれだけヒーラーは貴重なんでパーティーに入ってくれるとそりゃぁもぉ姫様王子様って扱いになるっすね。」


「そうして調子に乗って待遇のいいパーティーを探して所属をころころ変えて恨みを買うこともありますし、強引な勧誘をされることもあります。

 もしこの動画を視聴しているヒーラーの方がいらっしゃったら身の振り方は良く考えてください。」


「ありがとうございます。

 ここまでハンターの役割についてお話を聞かせていただきましたが、ここでコメントにいただいた質問に答えていただきたいと思います。


 【ハンターとして1番かっこいいポジションはどこですか?】」


「そりゃ剣士に決まってるっす!

 モンスターをぶった切ってガンガン戦うのが1番っす!」


「その通り。

 剣でモンスターを切り落とす剣士が最高です。」


「えぇと… それはお2人が剣士だからでしょうか…

 これくらい自分に自信をもつハンターはかっこいいですね。


 次の質問です、


 【好きな相手がハンターです。 どうやったら振り向いてもらえますか?】


 これは質問者がハンターか一般人かわからないので両方のパターンでお答えをお願いします。」


「そうっすねぇ…

 ハンターならあたしを守ってくれるとキュンとクると思うっす。

 盾職とか剣士とか関係なくて、そういうのってあると思うんすよ。

 一般人なら気持ちの強さを見せてほしいっす、身体の強さはハンターには勝てないけど心の強さなら一般人もハンターも関係ないっすから。」


「赤城さんのかわいい一面が見られましたね、こんなに美人なんですから男性から誘われることも多いのではないですか?」


 赤城さんは170センチを超えるスマートな体型に動きやすさを意識しているのかショートカット。 切れ長の目でタレントとしても十分通用するほどの美人です。


「いや、なんつーか… ナンパって嫌いなんすよ。

 あたしらはゼロさんに憧れてサブゼロに入ったんでゼロさんくらいでっかい男じゃないと気持ちは動かないっすね。」


「なるほど… 次の質問が決まりましたね。

 では三上さんはどうですか?」


「私にも聞くんですか?」


「もちろん。 質問者が男性とは限りませんからね。」


「(山下てめぇ…)そうですね…

 一般人の女性ならダンジョンで殺伐とした気分でいる自分を癒してくれる方がいいと思います。 ハンターであれば大なり小なり戦いで気持ちが荒れていますからリラックスできる時間を共に過ごせる方に惹かれるのではないでしょうか。

 ハンターの女性なら… そうですね… 背中を預けられるほど信頼できる相手がいいですね。 後ろを心配しないでいいのは前衛をするなら重要なことなので。」


「三上さんは癒しを求めているんですね…

 たしかにどんな分野でもどんどん前に出ていくような男性は癒しがほしくなるとはよく聞く話しです。

 質問者さん、参考になったでしょうか。


 ではお時間の都合もありますので最後の質問です。


 【今のパーティーやクランに入ったきっかけや理由を教えてください。】


 これは… 三上さんはどうしますか?」


「答えますよ。

 私がハンターを引退した理由は重度の後遺症の残るほどの大きな怪我をしたからなんです。

 私のいたパーティーは氾濫直前のダンジョンに入り、私以外は全滅しました。 前回の動画であったようにこういうことはよくあることなのです。

 割り切っていたつもりでしたが亡くなったメンバーのことや今後の自分や家族の生活、メンバーの遺族のことなどを考えてどうしようもなかったとき、ゼロさまが私を訪ねて来てくださいました。

 そして大変貴重な、かなりの高品質な回復薬を私にくださいました。

 そのおかげでこうして後遺症もなく回復することができたのです。

 その時の恩をお返ししたくて私はハンターを引退してサブゼロに就職させていただいたのです。」


「そうでしたか… 三上さんはサブゼロの最初期からいる社員と聞いておりますがその恩は返せたと思いますか?」


「まさか。 一生をかけて返していくつもりですよ。」


「わかります!

 あたしはゼロさんの噂を聞いてどんなひとか会ってみたいって思ってて、ゼロさんが所属してる支部に入ったんす。 でもずっと会えなくて…

 その頃はCランクだったんで乙二種に入ってたんすけど、実はそこって間引きが追いついてなかったみたいで氾濫直前になっててほんとやばかったんす。

 メンバーたちと覚悟を決めたところをゼロさんが助けてくれたんす。


 ゼロさんはあたしらがどうやっても勝てるわけない強さと数のモンスターをあっさり倒してくれて…


 助かって嬉しかったけど悔しくて悲しくて、怒鳴りつけたあたしに苦笑いしながら「生きててくれてありがとう」って言ってくれたんす…

 そのまま外に連れてってくれて…

 恩を着せたりなんかしなくて、助けるのが当たり前って態度で…

 そのすぐ後にメンバーと話し合ってこのひとの役に立ちたいってことでクランに入れてもらったっす。


 パーティーは… その… あたしらみんな地元でワルやっててそのときのメンバーがそのままって感じっす。」


「お2人ともゼロさんに救われたんですね。

 私はまだお会いしたことはないのですが、いつかお話しを聞かせていただきたいものです。

 ちなみにお2人のご関係は…?」


「おい、お前それが聞きたかったのか?」


「三上さんとの関係っすか?

 地元が同じなんで三上さんはあたしらの大先輩っすよ。

 あたしは同じ剣士なんで師匠みたいなひとっすね。」


「赤城! てめぇ黙ってろっつったろうが!」


「ひゃい!?

 す、すんません!!」


「三上さん… 大丈夫です。

 冒頭でもうバレています。」


「…………やっちまった…」


「はい、視聴者の皆さん。

 このお2人は年の差カップルということはないことがわかりましたのでどちらも狙えると思います。

 引退しても特例は適用されますし、女性ハンターの中には逆ハーレムをされている方もいますのでね。



 では、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 本日のゲストはBランクハンターの赤城由香さんと元Aランクハンターの三上さんでした。


 チャンネル登録と通知をよろしくお願いします。

 この番組がすこしでもお楽しみいただければ高評価もお願いします。


 今後の動画作成の参考にさせていただきますのでコメントもお待ちしております。


 ではまた、お会いしましょう。」




 はぁ… やっと終わった…

 三上も赤城さんも段取り無視がひどい…

 もっと質問を多く答えてもらうはずが編集したらこれくらいになりましたか。

 見学予定の三上の乱入で予定外な展開でしたが赤城さんの緊張がほぐれてよかったということにしておきましょう…


 私は早く帰って酒でも飲んで今日は寝ます!




作者です。


対談の予定が三者会談になってしまいました。


赤城さんは… 元ヤンです。


赤の烈風(レッドストーム)は当時のチーム名をそのまま使っています。


格上の三上がいますので下っ端口調ですが普段は…

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