サイドストーリー 山下01 山下デビューするってよ
みなさん、おはようございます。
私は山下と申します。 このたび、零司さんや陽菜たちの陰で私が何をしているのかをお話しする機会をいただきました。
と、いうわけでよろしくお願いいたします。
「んで、ほんとにやるのか?」
「あぁ、私にできることはなんでもやるさ。
サブゼロの公式アカウントもしっかり作り直したし私が連れて来た連中にも仕事を与えないといけないだろ?」
私がこれから行うことについて三上に話したところ少し難色を示しています。
私のことを気遣ってくれているのはありがたいですが是非はありません。 企画書を見せたところ零司さんも私を心配してくれましたが企画は通してもらえましたのでこのままいきます。
「おはようみんな。 準備は良さそうだね。」
「もちろんですよ! やっと思うままに番組が作れるんです! 気合はこれまでの比じゃありませんよ!」
「山下さん、メイクはちゃんと受けてくれないかしら? テレビの頃からメイク嫌いなのは知ってますけど私たちも全力でやるんで付き合ってくださいね。」
はぁ… テレビ時代に知り合った心あるスタッフに声をかけて一緒にサブゼロに来てもらいましたが、やる気がありすぎるのも困ったものです。
私よりも満ちてるじゃないですか。
「では本番始めます、リテイクもできますから気楽に行きましょう!
5… 4… 3… 」
「みなさん、はじめまして。
私はサブゼロの広報部長、山下と申します。
本日より我々サブゼロおよび、ハンターの活動についてテレビでは言えないことも詳しくお話しする番組を提供していきます。
チャンネル登録と通知をよろしくお願いします。
さて、まずは私の自己紹介から始めます。
ご存じの方もおられるかもしれませんが、私は〇〇テレビの報道部におりました。
縁あってサブゼロに転職することになり、これまでとの違いに戸惑いと喜びを感じています。
私には弟がおり、彼はBランクのハンターでした。
所属していたパーティーのランクがAだったので氾濫の対応に向かい、そこで命を落としました。
その件をきっかけに常々ハンターの支援をしたいと考えておりましたが社の方針と異なるという理由からそのような番組作りはできませんでしたが、これからは自由にハンターについてのお話しをすることができます。
もちろん個人情報やハンターの奥の手などについてはお話しできないことはご了承ください。」
私の新しい仕事はサブゼロの社員としてハンターの地位向上に尽くすことです。
そのために私ができることといえば報道です。
一般人はハンターについて知らなさすぎます。
なのでハンターのことをより知ってもらうために動画やSNSで情報発信をしていきます。
「ではハンターについての初歩的な解説をしていきます。
ハンターとは、ステータスに目覚め、ダンジョン協会に所属し、モンスターを狩るひとたちのことです。
ステータスに目覚めなければハンターにはなれませんし、ダンジョン協会に所属していなければハンターを名乗ることはできません。
もちろん諸事情によりハンターを続けることが困難な方もいらっしゃいますので、引退もできます。
引退後は一般人として生活をしていきますが、ステータスやスキルは残りますので他の一般人とは身体能力などの差は大きいです。
ハンターには階級があり、Fランクから始まり、Eランク、Dランク、最上位はAランクとなっています。
ハンターの個人ランクについて1つずつお話しします。
Fランクは新人というか見習いのようなもので、ハンター科の学生やステータスに目覚めたばかりの方がこれになります。
Eランクは見習いを卒業した本当の新人です。
ですが、このEランク、Fランクでも一般人とは隔絶した身体能力を持ちますので力ずくで争うことはおすすめできません。
Dランク、ここからが一人前のハンターです。
実力や収入も安定してきます。 専業でハンターをしていくには最低でもここまでは上げないと生活費を賄うほどにはなりません。
Cランク、もうベテランです。
専業でハンターをすれば一般的に高収入と言われるほどの収入を得ることも難しくないほどになります。
ただ、収入も多くなりますが、装備などにもお金がかかるのでその辺りの収支については一歩間違えると大変なことになります。
Bランク、一流のハンターです。
年齢的に学生の方以外は、専業でハンターをしている方がほとんどになります。
また、ハンターへの特例措置を受けられるのはこの個人Bランク以上となります。
特例というのは、通常では法的に禁止されていることを例外として許されるというものになります。
よく知られているところでは、結婚に関しての年齢制限の撤廃、重婚が認められること。
これは優秀なハンターにたくさんの子供を産んでもらって、ダンジョン氾濫への対策など社会をより安全なものしていきたいという考えに根差しています。
ステータス持ちの子供は一般人よりも高い確率でステータスに目覚めることが報告されていますので、有効であると考えられます。
はい、ここまではテレビでも言える内容ですが、ここからはテレビでは言えなかったことをお伝えします。
一般人目線では、「ハンターはずるい」と感じるのではないでしょうか。
高収入を得られ、合法的にハーレムを作ることもできる。 男性の夢ですよね。
ただしそれには必要なのもがあります。
ここまでの話しをお聞きいただければおわかりでしょう?
それは強さです。 それも圧倒的な強さが必要です。
個人でBランクというのは格闘技の世界チャンピオンくらいの強さだと思う方はいますか?
それは大きな勘違いです、世界チャンピオンではFランクの相手はできるかもしれませんがEランクのハンターを相手にすると手も足も出ません。
それがハンターです。
Bランクの強さの指標を聞いたところ、1人で完全武装の軍人の50人や100人を軽く相手にできるそうです。
そこまでの強さがあるのです、張り合うよりも協力を願う方がよほどお互いのためになります。
ですがそれほどの強さを持つハンターでも死亡率は高い。
なぜか。
勝てない相手と戦うからです。
一獲千金のために無理をしたから?
違います。
1体1体のモンスターには勝ててもそれが群れとなっていては勝てないことがあります。
どういうことかわかりますか?
ハンターの死亡事案はダンジョン氾濫の対応で多く発生しているのです。
ベテランと言われるCランク以上のハンターの7割以上が悲しいことですが氾濫対応で亡くなっています。
ハンターは自己利益のためだけにモンスターを狩っているのではありません。
モンスターと戦う力を持たない一般人の皆さんのために戦っているのです。
もちろん全員ではないでしょう。
ですがそれでも1体でも多くのモンスターを狩ってくれることで私たち一般人の安全に繋がるのです。
どうかご理解をいただきたい。
ハンターの皆さんはそれだけのことをしてくれているのです。
Aランクのことも気になっているでしょうか。
彼ら彼女らははっきり言って超人です。
先ほどお話ししたBランク、それが束になってもというのがAランクです。
とある国がハンターを排斥したことがありました。
するとどうなるか、ダンジョンが氾濫を起こしました。
当たり前ですね。
運がいいのか悪いのか、氾濫と言ってもダンジョンから出て来たモンスターは1体でした。 そこでその国は軍隊を派遣し対応させましたが結果は全滅。
数千人の軍人が亡くなり、民間人にも多大な被害が出ました。
その国がまだ存続しているのは、ハンターが対応したからです。
数千人の完全武装の軍隊が戦車やミサイルを使っても倒ししきれなかったモンスターを倒したのは隣国のAランクパーティー1つ。
これがAランクです。
今回はここまでにしておきましょう、ご視聴ありがとうございました。
次回は現役ハンターをお呼びしてお話しを聞かせていただこうと思います。
ライブではありませんので質問などはコメント欄へどうぞ。
チャンネル登録と通知、気に入って頂けたなら高評価もよろしくお願いします。
ではまた、お会いしましょう。」
「はい、オッケーです!
山下さんってほんと演説ばっかしてますねぇ。」
「ふぅ… おつかれさま。
私も好きでしているわけじゃないんですよ?」
「わかってますって。 でもすごいですね、編集はテロップやグラフなんかを入れるだけで良さそうだ。」
「そりゃ、若いころはニュースを読んだりもしていたからね、こんな風に自分で考えて話すことはなかったけど話すこと自体には慣れているよ。」
これで少しはハンターへの風向きが良くなるといいんですけどね…
作者です。
山下氏にはサブゼロの広報部長として顔出しをしてもらうことになりました。
今後は配信などもしていく… かもしれませんね。
細かな時系列的にどこになるのかはご自由に想像していただければと思います。
こちらもナンバリング外ですので予定とは別に投稿とさせていただきます。
次回は現役ハンターを招いて対談方式での動画になります。
投稿がいつになるかは未定ですが、おたのしみに!
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