031 聞いてないわよ…
作者です
ちょっと浩二くんにはいやな奴になってもらいます。
こういう男って嫌よねぇ…
あ、あれ?
なんで空気が凍った? 陽菜と三上の息子の浩二は幼馴染でそういう関係になっていてもそんなにおかしいことはないだろ?
まぁ、恋愛感情とはちょっと違う感じはするけど…
「バレちゃったんですね…」
「悪い、治療のために全身を見たからな。 特に病気なんかもないし妊娠もしていないから安心していいぞ……?」
「当たり前です!」
「零司… あんたほんとにデリカシーってものを勉強しなさいよ…」
「いや、え? 俺が悪いの?」
「そうだな… 恋人同士の秘め事をバラすのはいいとは言えんぞ?」
美春さん… 言い方がオッサンくさいです…
「その… 浩二くんとは恋人とかじゃないんです…」
「どーゆーこと?」
「美冬姉さん! 言いたくないことだってあるんだよ!」
「美夏ちゃん… 大丈夫… 私ってその… 胸が大きいじゃないですか…」
「……そうね。」
陽菜!? それはゆかりの地雷だぞ!?
「それで… 浩二くんは… その… この2年くらいなんですけど…
手伝う対価だって言って私の胸を…
でも、胸だけなんです… キスとかはしていません…
……零司さんは… こんな私を汚いと思いますか……?」
なんで俺に聞く?
別になんとも思わんけど。
「汚いとかは特に思わないけど。」
「でも… その… 好きでもないひとに見られて… 触られて…」
「そんなの洗えば済む話しだし、親同士が仲のいい幼馴染だったんだろ? それに移動とかで手伝ってもらってたなら断れないよな。 浩二のことを不快には思うけど陽菜に悪いところはないよ。
もし陽菜が好きになった相手がそういうのを気にするんならそれは陽菜のことを本当に好きなんじゃない。 そんなやつやめて他を当たるといいよ。」
「零司さんは… 気にしないんですか…?」
「過去のことだろ? それに今後はリハビリが済めば普通に歩けるようになるからもう心配ないよ。
そりゃあ浮気とかされたらいやだけど過去のことをどうこう言ってもどうしようもないよ。 大事なのはこれからだろ?」
「はい! これからよろしくお願いします!」
あ、うん… めっちゃいい笑顔なんだけどどうした…?
「零司… ちゃんと責任は取りなさいよ?」
ゆかり… それ2回目だけど射殺すような目で睨んでどうした…?
「とりあえず、足のことはこのメンバー以外には秘密な? 親にも言わないように。 パーティーメンバー以外にも治療しろってことになると困る。」
「そうだな… 対応する人数を絞るために治療費を高額にしても活動家を元気にするだけだしな。」
「ダンジョンにまた入るようになれば零司さまの体調が心配になります。 美冬とゆかりが合流したときからの数日は本当に無理をされていましたから…
そこに不特定多数の治療まですることになれば…」
「そんなに無理を…?」
「3日の睡眠時間が3時間とかで氾濫直前のダンジョン3つを踏破。」
「え…?」
「その前には私の丙種に付き合ってくれたので4つかもだよ。」
「うそ…」
「甲種1、乙二種2、丙種1ですね、全部氾濫直前の荒れたところですが。」
「絶対秘密にします! 零司さんが死んじゃいます!」
いや… たしかにきつかったけど死ぬほどじゃないよ? 死ぬほどってのは甲種を5つマラソンするとか… だよな…
「あんたねぇ… これくらいはそんなにきつくないって思ったでしょ? でもそれは違うわよ。 あんた目線だとそうかもしれないけど普通のAランクハンターならソロで甲種に入るだけで自殺行為なのよ? あんたが入ったのは氾濫直前ってことを忘れないで。
私だって心配くらいするから…」
「そうだな… 協会からの返事があってもゴールデンウィークまでは休むことにするよ。 その後もペースは落とす。
クランの連中のテコ入れをしとかないとまずいからそっちはするけど、もうしばらくは休んだり遊んだりするか。」
「それがいい。 あたしたちとデートすべき。」
「「「デート!?」」」
「デートってことは1人ずつだよな? 5日も時間取れないから半日ずつでいいか?」
「零司くん! あなたは勘違いをしています!」
「なにがだ?」
「5人じゃなくて6人です!」
「んー? 美夏、美冬、ゆかり、美春さん、小百合の5人だろ?」
「れーじ…」
「あんたねぇ…」
「陽菜ちゃんも入れて6人だよ! ね!」
「えっ… その… 零司さんがいいのなら… お願いします…」
帰りはパーティーごとに2台のタクシーで。
さすがにこの時間帯に未成年だけってのは外聞がよくないってことで20を超えている美春さんと小百合が引率ってことにしている。
焼肉は熟成の関係もあるとかで普通の牛肉だけだったが、さすがの高級店でみんな満足してくれたみたいだ。 美冬以外は…
美冬のやついつの間に持ち帰り用の焼肉弁当を注文してたんだよ!
さすがに10個は驚いたわ!
「えっと… ここって…?」
「ん、サブゼロの社宅。」
「美冬!?」
「ひなはだいじょーぶ。」
「零司くん… 陽菜ちゃんに話そう…?」
「お茶煎れて来る。」
勝手知ったるってやつで美冬がお茶を用意してくれる。
陽菜を通したのは俺の部屋。
小百合には悪いけどベッドなんかの用意を頼んでおいた。 これからは2人部屋になるからね。
「さっきは中途半端にしか言えなかったけど、これからは全部話すよ。 親とかに言っていいのは俺のパーティーに入ったこと、パーティーの女性メンバーと同居していることまで。
それ以外は一切口外禁止でいいかな?」
「わかりました。 それくらいのお話し… なんですよね?」
「あぁ、まずここはサブゼロの社宅なのは聞いたよな?」
「はい、この3階に引っ越す予定でしたから。」
「サブゼロは俺の会社なんだよ。」
「はい?」
「俺がゼロだよ。」
「さすがにそれは… え? 美春さん? ゆかりさん…? 本当なんですか…?」
「そうよ。」
「私はゼロと面識はないが、この2人はあるからな。 信じるしかないし、零司の実力は本物だよ。 そのぶんスパルタだけどな…」
「あ… はい…」
「んで、1週間くらい前にお前の家に三上と2人で行ったんだけど覚えてるか? 山下をスカウトする話しをしたんだ。」
「はい、覚えてます。 あのあとちょっとありましたけど…」
「なにがあった?」
俺がスカウトして家庭の不和にでもなったら申し訳ないんだけど…
「その… 浩二くんが三上のおじさんと喧嘩になりまして… 零司さんがおじさんの大けがを治したんだったら私のことも治させようって…
おじさんは零司さんが大変だって、学校とダンジョンで寝る時間もないって言ってたんですけど浩二くんは寝なきゃいいって…
それで浩二くんは家を追い出されたって…」
うわ… 家庭の不和は三上のところか…
でもそれについてなら俺の関知することじゃないな。
「高2でCランクハンターならどうにでもなるだろ、お前が気にすることじゃないな。」
「そう、なんでしょうか…?」
「俺をどうこう言うなら俺と同じ扱いされても文句は言えないってことだよ。 俺は家庭の事情で5歳からハンターしてるからな。」
「おい! それは初耳だぞ!」
「そうだっけ? ゆかりたちにも言ってなかったか?」
「聞いてないわよ… あんたどんだけ大変だったのよ…」
「そう言われても今さらだしなぁ… そのおかげでお前らに会えたし、お前らを助けられたんだから後悔とかないし。 むしろよかったと思ってるよ。」
あの時にハンターになってなかったらこいつらを助けられなかったからな…
それに事後処理にSランクの看板を使えたのもでかい。
だからこれでいいんだよ。
「話しを戻すぞ。」
俺がゼロであり、クランサブゼロ、株式会社サブゼロの代表であること。 今回の騒動でダンジョンに入らないことを部下に周知して金銭的な補償をしていること。 支部長の要求とそのときの俺の状態。 俺から協会への要求。 今後の方針なんかを伝える。
「そういうわけで、俺たちは簡単にはダンジョンには入らないことにしたんだ。
夕方のあの教師は支部長の子飼いだし、本当にあいつがいることでハンターに良くない影響が多すぎる。」
「うん… 私は零司さんが間違ってるとは思えないです。 3日もほぼ寝ずにダンジョンに入って氾濫を止めてくれたのに魔石を全部出せっておかしいです!
お父さんは家でも言ってました、最近の協会がおかしいって。 ハンターのことを消耗部品みたいな扱いをしているって…」
「ってことで今後はここに住んでくれていいから。 こんな話しは外に出されたらまずいからね。 引っ越しも俺たちが手伝うから早めに済ませようか。」
「はい… でもできれば零司さんは… その…」
「もちろん俺は箱詰めなんかは控えるよ。 準備できたら俺のアイテムボックスに入れたらすぐに終わるしな。」
そんなわけで、陽菜の仲間入りと同居も決まった。
いいんだけどさ、何の問題もないんだけど…
俺ってこんなに人間に囲まれるのは初めてすぎてどうしていいのかよくわからん… 実家にいたときは厄介者扱いだし、ハンターとしては周りが引いてたしな。
引かれるだけのことをしてきたのが悪いって言われたらそれまでなんだけど、美夏や小百合と知り合ってから展開が早すぎて追いつけないかな…
それにしても俺がデートか… デートってなにしたらいいんだ…?
作者です
レビュー(⭐)、応援(♥)、コメント
何か残していただけるとモチベにつながり泣いて喜びます!
近況ノートに適宜連絡や感謝を書かせていただいております。
次回は2023.10.07 12時です。
10月は2日に1回、奇数日更新で頑張ります!
よろしくお願いします。
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