050 報告会③
「はぁ~~… ほんと美味しすぎて食べすぎちゃった…」
「おい、行儀悪いぞ。
だが本当に美味かったな。 美冬はまた腕を上げたみたいだな。」
「当然。 れーじと一緒だったしやる気も100万倍。」
「お料理のご指導ありがとうございました、零司さんに喜んでもらえたのは美冬さんのおかげです!」
「そんなことない、ひなが頑張ったから。
これからも教えるからみんなでれーじの胃袋をつかも。」
「はいはーい! 私も!」
「「美夏はダメ!!」」
「解せぬ!」
「さて、まずは私からこの娘を連れ帰った一件について報告しますね。
零司さまと三上さまと3人でアジアの某国からの依頼を受け、こちらで言うところの甲種ダンジョンの踏破に行きました。
我々の行動の監視役として同行することになったのがSランクの彼女です。
戦いは基本的に零司さまと三上さまが行いましたので戦うところは見ておりませんが、ふるまいやモンスターの気配への反応を見るにAランク上位の実力はあるように見えました。
無事に踏破が済んであちらの支部に戻ると他のハンターが待ち構えており…
あとはわかりますね?」
「うわ… 零司が私たちに外国の依頼は受けるなって言ってたのはそういうことだったのね。」
「国内でも様子がわかった支部にしか行くなって言ってた。
こっちでもありそう。」
「続けますね。
そこにいたハンターは全員を始末しましたので1人だけ残すと可哀そうなことになると引き取ることを決めたそうです。」
「零司ならそうするだろうさ。
でも男だと思っていたのに引き取ることにしたのがすごいな、これだけの女たちを囲っているのにそういう目的じゃないんだよな。」
「で?
あんたはどうして零司についてくる気になったの?
もしかして惚れた?」
「は… はいぃ……
主様に
「ゆかり… そっちじゃなくて事情を聞こ?」
「そうね。 それで? どうしてなの?」
「そ、その…
ボクは氾濫孤児だったんです、両親は一般人でしたが氾濫で死んじゃって頼れるひともいなくて孤児院に入れられました。
そこではずっと管理者のいうことを聞くしかありません、15で孤児院を出てハンターになりましたが今度はえっと… こっちの言い方だと協会の職員って言うんですか? そういうひとの言うことを聞かされていました。
反抗すればひどい罰則を受けるので…
これまで自分で何かを決めるってことをしたことがありませんでした。
そんなボクに主様は選択肢をくれたんです。
初めてだったんです、自分のことを自分で決めるって…
だからついてくることにしました。
それに女だって思われていなかったのは悲しかったですけどそういう目的じゃなく、ボクを心配してくれてたってことが本当に嬉しくて…
みんな主様の女なんですよね? ボクも仲間に入れてもらえたらって思うんです。 向こうでもこうやってはーれむ?をしているひとは何人もいましたけどここほど女同士がギスギスしてないところは初めてみました。
ここならボクのことも受け入れてくれるかなって…
お願いします、みんなから主様を奪って独占しようとなんて思わないんでボクのことも入れてもらえませんか…?」
「いいんじゃない?
私は何人増えてもちゃんと零司やみんなのことを考えてくれるひとなら気にしないわ。 そこはさっきの話しで納得できたし。」
「私は零司くんを支えるつもりがあるならいいよ。」
「れーじがいいならいい。」
「だな、零司が受け入れるなら私も文句はない。」
「私は問題ありません、ダンジョンでの行動も見ていましたから、最低限の人柄は理解できたつもりですし。」
「あれ…? 陽菜ちゃん?」
「ど… どうしたんだ…?
なんだか目つきが怖いんだが…」
「1つ聞かせてください、
あなたは零司さんを邪魔する人間がいたらどうしますか?」
「ふぅん… よく聞いたわね。」
「ん、ひなはもうこっち。」
「質問の意図がわかりませんが、主様の邪魔をするなら殺しますよ。 当たり前じゃないですか?
生まれたことを後悔するくらい苦しませてからじっくりと…
みんなはしないんですか?」
「そうですね、ふふっ… そういう目ができるなら仲良くできそうです。」
「なぁ美夏… こいつはやばいんじゃないか…?」
「私も思った… 陽菜ちゃんもちょっと…
2人いたらすごいことになりそう…」
「それにさっきの美冬とゆかりの言ってた「こっち」っていうのも怖くないか…?」
「もしかしてこの2人も…?」
「あぁ… たぶんな…
小百合は… いや、下手に聞いて「あっち」だったらまずいから黙っておこうな…」
「うん… 私たちは「こっち」でいようね…」
「報告に戻しますけど、私のデートはお部屋でゆっくりしてましたよ。
その… 零司さんが疲れていそうだったので休んでもらいたくて…
実は… 膝枕… しちゃいました!
私の膝で眠る零司さんがほんとにかわいくてもう…!
それに寝ながら私の腰をぎゅって!
本当に幸せでした…」
「いいなぁ!! よかったね! 陽菜ちゃん!!」
「う、うむ… よくそれだけで済ませられたな…」
「美春さんって意外とむっつりよね… 私が言えることじゃないけど…」
「そうですね、くすっ 自分でよくわかっていますね。」
「ちょっと! あんただって似たようなもんでしょうが!」
「そのあとご飯食べて終わり?」
「はい、美冬さんと作ったドリアを2人で食べて、零司さんの作り置きっていうプリンを食べたところに美冬さんが迎えに来ましたね。」
「ちょっと早かったかも… ごめん。」
「いえ、またお料理教えてくださいね。」
「ん、任せて。
あたしは2人でずっと料理してた。
れーじが料理してるところを独占できてすっごい楽しかった。」
「あぁ… 楽しんで作ったからかいつも以上に美味かったな、とくにガーリックライスはたまらなかった。」
「私はニンニクはちょっと… でもレアのステーキは美味しかったわね。
できればもっとブルーレアくらいだと嬉しかったけど。」
「私は棒棒鶏かな、お野菜たくさんだしお肉もあっさりしてて美味しかった!」
「私はから揚げですね、こんなに美味しいから揚げは初めてでした。」
「小百合さんも? 私もから揚げでした!
全部美味しかったんですがネギがちょっと…
最近少し苦手になったみたいで…」
「ん、あたしも作ったけどネギは気になった…
なんでだろ…?」
「あんたは? うちの料理長の美冬の料理は美味しかったでしょ?」
「え? ボク…?
えっと… 白いスープと甘酸っぱいソースのかかったやつが好きでした!
なんていうか力が湧いてくる感じがして…」
「これだけいれば好みもバラバラだな。」
「そうね、でもいい感じに分散してるからケンカにならなくていいわ。」
「そうですね、あなたも遠慮なんてせずにたくさん食べるんですよ?」
「は、はいっ! しっかり食べて主様に抱いてもらえる身体になります!」
「……なんか違う。」
「……はい、零司さま? どうかなさいましたか?」
俺は引き取ったあの子について相談しようと三上に電話をかけた。
メンバーたちにも受け入れられたみたいだしいいよな。
「あぁ、あの子をどうしようかと思ってな。
三上はどうしたらいいか案はあるか?」
「すみません、勝手ながら少し動いておりました。
彼女は私が若いころに作った娘で、相手の女性は私生児として産んで育てていたが亡くなったという設定で話しを進めています。
このまま私の子として戸籍なども準備できますがこのままでよろしいでしょうか?」
「おいおい、それは助かるけどお前は大丈夫なのか?
奥さんと… その… なぁ?」
「問題ありません。 彼女は20歳と言いますし、妻と知り合う前の出来事として進められます。」
いや、お前はいいにしても奥さんはいい気はしないだろ…?
「その… 妻とは離婚の話しを進めています。」
「は!? なにがあった!?」
「実は息子の… 浩二の件でどうしても妻と折り合いがつかなかったんです。
(浩二を通してサブゼロを乗っ取るように言い出しましたしね)」
「奥さんは一般人だったな、ならハンターの感覚なんかもわからなかったのかもな。
(浩二はCランクなんだから1人で十分生きていけるから家を追い出されても問題ないだろうに)」
「ですので問題はありませんよ。
それに彼女を私の娘にして、その娘が零司さまと結ばれれば私と零司さまの縁も太くなるというものです。」
「お前… じゃあその方向で進めてくれるか?
彼女の名前は……」
「かしこまりました。
お電話をお借りして申し訳ないのですが、協会職員の平坂氏より連絡があり。明日にでも時間を取ってほしいとのことです。
いかがされますか?」
「やっと話しがついたのかもね。
俺と小百合、それとあの子の3人で向かうと返事をしておいてくれ。」
作者です。
記念すべき? 本編50話なのにこんな感じで申し訳ありません。
気付いたらこの子で7人め…
増えましたねぇ…
三上夫妻に関してはここで初めて零司に明かしています。
言う必要のないことは言わなくていいですからね。
それに知っていたとしても知らないふりをするマナーもあったりしますから…
レビュー(⭐)、応援(♥)、コメント
何か残していただけるとモチベにつながり泣いて喜びます!
近況ノートに適宜連絡や感謝を書かせていただいております。
次回は2023.11.14 00:05です。
11月は2日に1回、偶数日更新で頑張ります!
よろしくお願いします。
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