048 みんなとデート回 5枠
「おはよう、零司。
それで? この娘(こ)はなにかな?
どこで拾ってきたんだろうね?」
「あの… 美春さん…?
目が怖いんだけど…」
「はぁ… あんたねぇ、さすがに幼女誘拐はよくないわよ…」
「ゆかりまで…
え? よう…じょ…? じょ… おんな!?」
「は、はい… ボクは女です… よ…?」
うそだろ… 男だと思ったから遠慮なく拾ってきたけど女…
いいのか…? いや、でも本人がついてくるって言ったし、20歳って言っていたし大丈夫だよな…? なにかあってもSランクの地位でゴリ押しはできるけどそれ以前に戸籍か? それはなんとでもできるからいいとして、経歴か? それもなんとかでっち上げるか… どっかの組織が隠してた孤児ってことにするか、年齢はそのままにしとかないとまずいな。 さすがに見たまんまの年齢にしたら保護の名目でまたひどいことになるのが目に見えるしな。 とりあえず名前は変えていい感じの経歴を添えて戸籍をつくる、その後ハンターに登録してうちでやってもらうか? 配下のどこかに入れてもいいけどそれだと実力差があるけどうちならすぐ追いつくだろ。 そうだそうしよう。 まずは三上に連絡して各所への調整を頼んで…
「おーい… 零司くーん? 現実逃避もいいけどちゃんとこの娘(こ)を見てあげなきゃダメだと思うよ?」
「れーじ… 男だと思ってたの?」
「うん。」
「そ… そうなんですね…
なら本当にボクのことを考えて引き取ってくれたんだ…
はぁ…… 嬉しい……」
「ちょっとあんた! なんでそこで喜ぶのよ!?」
「ふぇ? だってこんなに美人をたくさん囲ってるんですから主様は同性愛じゃないですよね? それなのにおとこだと思っていたボクを拾ってくれたってことはえっちなことが目的じゃないってことになりますよね?」
「たしかにそうなる… か?」
実際そうなんだからなんとも言えない…
女性メンバーを増やしたかったんじゃないんだよ…
「あの時は引き取るか死んでもらうかしかありませんでしたからね、置いて行けば残酷に殺されるのが目に見えていました。
なので引き取るのは零司さまのやさしさですよ。」
「それより今日は最後のデートの日なんだからちゃんと2人の相手をしてあげて?
この娘のことは小百合さんに詳しく聞くから、ね? 陽菜ちゃん!」
今日は陽菜からなのか?
俺は車出せないしどうするかな…
「あの… 私の番は零司さんのお部屋でゆっくりしたいなって思うんですけど…
ダメですか…?」
「部屋でまったり過ごすって感じでいいのか?」
「はい! ずっとバタバタとしていたのでゆっくり休んでほしいって思ったんです。
零司さんにも休息って必要ですよ?」
「次のニュースです………」
「ふふっ どうですか?」
「あぁ、落ち着く…」
初めてされたけどいいもんだな… 膝枕って。
陽菜の足は俺の回復魔術と美春のリハビリ、疲れたら美夏の回復魔法をかけることで家の中なら少し手を貸せば歩けるくらいになっている。 それもあって遠慮なく頭を置かせてもらったんだけどすごくいい…
「先日よりハンターに発症していた謎の病気は亜人症候群(あじんしょうこうぐん)と名付けられ……」
「零司さん可愛い… こういうことはいつでもしますから、だから私のこともちゃんと女の子として見てくださいね?
私の心と身体は零司さんに救ってもらいました、だから私のすべてはもう零司さんのものなんですよ?
責任をとってほしいなんて言いません、ただお側にいさせてくださいね。」
陽菜が何か言っていたけどダメだ、眠い……
「んっ… ふふっ…… 眠ってしまいましたね。
私の腰に抱き着いてくださるなんて…
これって無意識に私を独占したいと思ってくれているんでしょうか…?
いいんですよ… 私は独占されたいんですから…
こうして零司さんの重みと体温を感じられるだけで私は幸せです、今はまだ力不足ですが私があなたの邪魔をするすべてを排除しますからね?
そうしたらあなたの行く道は楽になりますか?」
「ん… んーー…… 悪ぃ、めっちゃ寝ちゃってたぁ…
……は!? ごめん! すぐどくから!」
寝ぼけてたのか陽菜の膝枕でお腹に顔をうずめて寝てた…
とんでもなく恥ずかしいんだけど!!
「ふふっ… いいんですよぉ… 零司さんが気持ちよさそうに眠っているのを見てるだけで私は幸せでしたから。」
「これうまいな。 美冬が作るのと似てるけどちょっと違うような?」
昼ごはんは陽菜が準備してくれていたドリアを食べてるんだけど、うちの料理番の美冬の味付けとは少し違う。 なんていうか作りなれていないような?
「はい、実はこれは私が美冬さんに教わりながら作ったんです。
少しでも喜んでもらえましたか…?」
「何言ってんだよ、めっちゃ美味いし嬉しいよ。
まだ歩くのにも慣れていないのに料理なんてほんとに大変だったろ?
ありがとうな。」
寝入る前に少し気になることが聞こえたような気がしたけど…
まぁ、重要なことならまた知る機会もあるだろ。
「すみません、デザートまでは手が回らなくて…」
「いいよ、俺が前に作っておいたものを出すから。
プリンは大丈夫だよな?」
陽菜は申し訳なさそうにしているんだけど、これくらいは俺にさせてくれよ。
プリンは作るのは簡単だし量産してアイテムボックスに入れてあるんだ。
「コーヒーか紅茶はどっちにする?」
「ではコーヒーをお願いします。 ミルクはほしいですけど…」
「はいよ、ちょっと待ってな。」
こだわりってほどじゃないけどコーヒーを挽いてドリップできる程度には道具は揃えてある。 でもサイフォンとかネルとかまではちょっとね。
「いい香り…」
「そう言ってもらえると嬉しいよ、ミルクはこれを使って。」
「……あの、これって? もしかして…?」
「うん? ドロップアイテムだよ。 牛系のモンスターがたまに落とすんだよ、肉と比べると4回に1回くらいかな。」
おそらく牛系モンスターのうち半分がオスで半分がメス。 オスは肉しかドロップせず、メスは半分の確率で肉とミルクをドロップするんじゃないかな。
そう考えると4分の1って悪くない確率だと思うけど、そもそもアイテムをドロップする確率自体がそんなに高くないから希少といえば希少かな。
「あの… そんな希少なものをコーヒーに入れるなんて…」
「気にしないでいいよ。 かなり在庫はあるし普通に料理にも使ってるから。
さっきのドリアに使ったミルクも同じものだと思うよ?」
料理番の美冬には各種食材になるドロップアイテムを希望するだけ渡しているから遠慮なく使ってもらっている。
普通に考えると希少な高級食材になるんだけど俺にとってはダンジョンで採れるから自給自足みたいなものなんだよ。
「はぁ…… 感覚が狂ってしまいそうです…」
「大丈夫、俺といればずっとこの水準だからね。」
「それって…?」
「ずっと一緒にいてくれるだろ?
なんとなくって言ったら悪いんだけど、陽菜は俺から離れないと思うんだ。」
「いいんですか…? 私はまだ少しもお役に…」
「はぁ… お前もそういうことを考えてるのか…
役に立つとかどうでもいいんだよ。
そばにいてほしいひとにいてほしいし、実力が足りないなら足りるようになるまで鍛えるから問題ないよ。」
小百合にも言ったけど鍛えたらいいだけなんだよね、こいつらならSランクまでは確実に上がれる、俺が上げる。
だから気にしないでいいんだよ。
「わかりました。 絶対に強くなるので鍛えてくださいね!
……零司さんを邪魔するものはみんなみんな消してやりますから…」
作者です
レビュー(⭐)、応援(♥)、コメント
何か残していただけるとモチベにつながり泣いて喜びます!
近況ノートに適宜連絡や感謝を書かせていただいております。
次回は2023.11.10 00:05です。
11月は2日に1回、偶数日更新で頑張ります!
よろしくお願いします。
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