047 正式な依頼なのですよね?

作者です

少しインターバルをいただきます…





「んで、これはどういうことだ?

 三上はこれを知っていたのか?」


「いえ、私も。 今後はもう少々厳しくふるいにかけようと思います。」


「あの… お2人はどうしてそんなに冷静なのでしょう…」





「前から言ってはいたけど今日は野暮用で空けるからその間は各自の自由にしててくれていいから。

 小百合だけはついて来てくれるか?」



 みんなとのデートを2日過ごしたゴールデンウィークの3日めは三上から頼まれた遠征の予定があったからデートはなし。

 予定では三上と2人で行くところだったんだけど昨日の戦闘服姿を見て小百合にも付き合ってもらうことにしたんだ。



 飛行機で移動した先はアジアの某国。

 パスポート? そんなもんSランクには関係ないのだよ。


 三上からの話しではその国の日本でいうところの甲種にあたるダンジョンの間引きが追いつかず氾濫の可能性があるので一度踏破をしてほしいとのことだ。

 そのダンジョンの情報はある程度流れてきているからそう難しいものではなく、1人でも可能なのはわかってはいたけど、どうせなら三上にも久しぶりに運動をしてもらおうと2人で行くことにしていたんだ。

 まぁ、小百合を付き添いに追加したのは気まぐれと言うか…

 揃いの服を着るってなんかいいよねっていう気持ちがあったから…



「まずはあちらの協会支部に行きましょうか、連絡はしていますが他のハンターがいると面倒ですから。」


「だな、こっちはわざわざ日本から出向いて来ているのにいちゃもんを付けられたら馬鹿らしいからな。」


「そんなことがあるのですか? あちらの協会からの正式な依頼なのですよね?」


「国見くんは若いな。 権力者とは自身の利益になるのなら何でもするぞ?

 日本のハンターでも我欲のためにかなりの無理を押し通す者は多いと思う。 好ましくない権力者はやつらと考え方の根本は同じだ。 権力者とハンターの違いは使う力の種類が権力なのか腕力なのかだけでやっていることは大差ないものさ。」


 そうなんだよね、日本のダンジョン協会でも上の方にはハンターではないやつらがいて、そいつらは腕力はないけど権力でかなりの無茶ぶりをしていたりする。

 あの支部長とかね。




「では、これよりダンジョンに入り、今夜中をめどに踏破しようと思います。

 支部に職員を残しておいてくださいね。」


「もちろんです。 こちらの支部は24時間受け付けておりますので問題ありません。 よろしくお願いします。」



 支部長との打ち合わせはすんなり終わって応接室からロビーに出る。

 はぁ… めんどくさ…





「んで、これはどういうことだ?

 三上はこれを知っていたのか?」


「いえ、私も。 今後はもう少々厳しくふるいにかけようと思います。」


「あの… お2人はどうしてそんなに冷静なのでしょう…」


 冷静もなにも、こういうこともあるって想定してこの国に来てるわけだからね。


「理由まではわからんが、僭越を承知で言うと日本のハンターで上位にいる俺をどうにかしたらこっちの国の立場が強くなるとか、俺を人質に日本のダンジョン協会に何かしらの要求をしたいのか、そんなところだろう。」


「私も同意見です。 ダンジョンから戻ったところを狙う時点で実力についてはお察しでしょうしね。」


 今回は俺たちがダンジョンを踏破すること、魔石は俺たちの自由に処分すること、監視のためにこの国のSランクハンターを1名同行させること、依頼料は4月1日時点のレートで5億円分の金塊で支払うことって内容の契約なんだが完了の報告に支部へ戻るとSランク、Aランクのハンター30人に囲まれているってわけだ。


 ダンジョン内で踏破が済んだ時点で同行していた監視のハンターに完了のサインを書かせておいて正解だったな。



「おいおい、この人数にビビってんじゃねぇの?」

「だな! なんか言っているが現実逃避ってやつじゃね?」

「それより見ろよ、いい女じゃねぇか!」

「だなぁ、こりゃしばらく楽しめそうだ!」



 はぁ… どこも似たようなもんだ。

 見たところSランクは5人だけで残りはAランクか、1人くらいなら小百合に任せても大丈夫そうだな。



「ひひっ どうだい日本人? うちの国のハンターたちは!

 恐ろしくて言葉もないかな?」


「あー、支部長さんさっき確認した金塊はまだあるかい?」


 こういう契約のときには支払う現金なりの対価となるものを相手に見せておくのがマナーとされているんだ。


「もちろんさ、君たちにはここで消えてもらって我々で山分けするんだからね。

 お前たち! わしは年だから最初の1発は譲れよ? その後は好きにしな!」


 はい、わかってはいたけど支部長も共犯ですか。



「小百合はSを1人、三上は4人、残りのザコは俺がやる。

 すぐには楽にするなよ?」


「もちろんです。 こういったくわだてに加担したことを後悔させてからですね。」


「はい… わかりました…」


「小百合、Sランクを目指すなら殺しの経験はしておいた方がいい。

 あの2人も経験済みだ。」


「あなたが必要と言うなら躊躇ためらう必要はありませんね。」


 あれ? 俺への信頼がおかしくないか…?



「んで、あんたはどうする?

 せっかくSランクなんだ、無駄に死ぬことはないぞ?」


 監視役のハンターにだけは声をかける、こいつは仕事として監視はしていたけどダンジョンで俺たちに殺気を向けることもなく、今も躊躇ためらっているのが見えるからな。


「ボク… ボクは… どうしたら…」


「選べ、俺と来るかここで死ぬか。

 ここに残ればあんたは国に殺される、裏切り者としてな。

 それは可哀そうだからあんただけは楽に死なせてやるよ、ついて来るんならそれなりの待遇で迎えてやる。

 …家族は?」


「いない… 氾濫孤児で施設育ちなんだ…」


「ならついて来い。 たしか20歳だったよな、その年でSランクなんだ、まだまだ伸びしろはあるぞ。」


「いいのですか…?」


「良くなかったら誘ってない。」


「はい、どこまでもお側にお仕えいたします。」



「話しは済んだかい?

 日本人の側に付くならお前もやるだけだ。」

「だな、何度か組んだ仲だがこうなっちゃしかたねぇ。」

「あれでもSランクだ、油断はすんなよ!」



「お前は動くな、三上、小百合、行動開始。」



「おるぁぁぁぁ!!!!」


 瞬間飛び出したのは三上。

 その手に持つのはうちの試作品の長剣。 甲種でのドロップアイテムには届かないものだが、俺が少し強化してある。


 三上は元々は剣鬼と呼ばれたほどのハンターで、その覇気は並ではない。


「んだぁ!? こんなもんかこのザコどもがぁ!!」


 うわ… もう3人も倒してるわ…


「私も負けていられませんね、ふっ!」


 小百合も俺を驚かせたスピードで任された1人を翻弄しつつ弄るように斬りつけていく。


「さて、お前らも楽に死ねると思うなよ? “水”」


 今回はいつもと趣向を変えて水を使う。


 Aランクたちの頭を水の球で覆う、まぁ省エネだな。


 窒息って特に苦しい死に方らしいからね、このまんま溺れて死ね。



「これが主様たちの… 日本のSランクハンター…」


「いんや、この2人はAランクだ。 それに剣士の方は何年も前に引退してるぞ。」


 三上が引退して何年だっけ? まぁでも引退済みには変わりない。

 とはいえ、今の実力は冗談抜きに現役時代より高いと思うんだよな…


「終わりました。 ご指示通り生かしてはありますのでこれより処理を始めてもよろしいでしょうか? 国見くんが見ていますが…」


「ならそっちの指導をしてもらっていいか?

 小百合には悪いが他のたちにはこういうことは向かないからな。」


「問題ありません。 あなたのお役に立つのならどのようなことでも。」



 小百合には申し訳ないことをお願いしている自覚はあるんだ、うちのメンバーだと美春と美夏は性格的に合わない、ゆかりと陽菜はやりすぎて壊しそう、美冬は手加減が下手で… 小百合にしかこういう尋問(拷問)はできないんだ…



「あの… ボクも一緒に習ってもいいでしょうか?」


「お前が? 小百合にやらせるより罪悪感があるんだが…」


 20歳とは聞いていたけど、こいつは身長が140くらいしかなくて子供にしか見えないからさ…


「大丈夫です、自衛のためでしたが何度か経験はありますので。」


 こんな子が… ね…


「三上、任せる。 俺はこの支部長とちょっとオハナシしてくるから。」


「かしこまりました。 後々絡まれてもいいことはないので依頼料の回収までにしておいてくださいね?」


 俺をなんだと思ってるんだよ。




 支部長を締め上げて金塊を回収が済んだからお手紙を残して、三上たちのところに戻ると、ちゃんと始末はついていた。



「あの、今さらですがゼロさまはいつもこのようなことを?」


「うん? 他国に呼ばれるときにはこれくらいはいつも覚悟してるかな。

 今回は外務省を通しての依頼だったからそいつらにも報いは受けてもらうよ、何度同じことをしても「自分は大丈夫」って思うバカはいなくならないんだよね。」


「そうでしたか… 三上さまの手が空いていないときには私かこの娘(こ)をお連れください。 お1人では行かせられません。」


「この子(こ)も候補か?

 まぁ、考えておくよ、2人ともしっかり習ったみたいだし色々頼むことも多くなるかもしれないからそのつもりで。」



「それで、どうやって帰りましょうか。

 この状態ですから警察が動くと少し厄介ですが。」


「あぁ、問題ない。 “転移”

 はい、サブゼロの自社ビル前に到着。

 俺がこういうのを使えるってことは最高機密扱いな?」


「は?? え…? 確かに社屋…」


「それじゃあここで解散な。 三上は明日の夜に今回の裏側について報告を頼むよ。

 2人は俺と帰るぞ。」


「ゼロさま、この娘(こ)にこちらの常識などについては私が教育をさせていただいてよろしいでしょうか?

 今後は専業ハンターとなりますが、ゆかりと美冬が学園へ行っている間は時間がありますので。」


「そうだな、この子(こ)のことは小百合に任せる。

 戦闘は問題なさそうだけどそれ以外は教える必要がありそうだしな。」




作者です。

甘い物の後は塩辛い物が欲しくなりますよね?

そんなテンションでした。

後悔はありません。


この子…

最初はモブのつもりでしたが連れて帰る流れに…

そして成人男性のつもりが成人女性に…

三上の新しい相手にするつもりが零司のところへ…

そして20歳ロリ体形に…

後悔ですか? ないとでも??



自問自答

Q:どうしてこうなったんでしょう…?

A:メンバーにロリがいないからですね。




作者です


レビュー(⭐)、応援(♥)、コメント

何か残していただけるとモチベにつながり泣いて喜びます!


近況ノートに適宜連絡や感謝を書かせていただいております。


次回は2023.11.08 00:05です。


11月は2日に1回、偶数日更新で頑張ります!


よろしくお願いします。

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