041 みんなとデート回 1枠②
はぁ… なんでこうなるかな…
デートなのにこうなるのって幸先悪いし、時間取られすぎたし…
ゆかりには埋め合わせしないとな…
「零司さん、俺らはこのへんで失礼します、こいつらは三上専務に引き渡しますのでご安心を。」
Bランクたちはそう言って去って行ったけど… ちょっとゆかりの顔を見るのが怖い。
なんかぶつぶつ言ってるし…
「ねぇ… もう時間も押してるし早く行きましょ?」
「あ、あぁ… どこに行くんだ?」
「黙ってついて来て!」
「……はい。」
なぁ… 甲種のボスよりよっぽど怖いんだけど…
「座って?」
「あぁ… でもなんでこんなところに?」
ゆかりにつれて来られたのはとあるホテルのスイート。
「いらっしゃいませ、ご予約は「してない。 今ある1番いい部屋に案内しなさい。」…はい?」
「私はAランクハンターよ、これがハンター証。 もう1度言うわ、今ある1番いい部屋に案内しなさい。 今すぐに!」
「はっはいっ! 今ですと… ロイヤススイートが空いておりますがウェルカムサービスの準備などのお時間を「いらないから、さっさと案内しなさい!」はいっ! 担当を呼びますので少しだけお待ちください!」
ってわけでなかなかいいお部屋にいるわけだ。
どうしてこうなった?
「もう… ね! 最悪よ!! こっちはおしゃれしたり段取り考えたりとかいろいろしてたのになんでこうなるのよ!」
「それについては… ごめん…」
「あんたは悪くないわよ! 悪いのはうざったいナンパ野郎だし、段取りの悪い下っ端だし、めんどくさい警察だし。
通報がなかったらもう少しはやく終わったはずだしね、ハンターの揉め事に警察が出張っても何もできないんだからほっといてほしかったわ!」
それはわかるけど、市民の義務ってやつかな…
「あれは他の仲間がいて第三者の振りをして通報したのよ。 逮捕されても協会からの圧力ですぐ釈放されるから。
言ってなかったけどあんたと離れてる時期にこんなことは何回もあったわ。 美冬と2人で捕まえて警察に渡しても次の日には釈放よ。」
まぁそうだろうな、支部長が味方に付いてるんなら警察への圧力なんて簡単だし、Cランクでも指名依頼があるとでもすればすぐに釈放される。
本当に緊急事態ならわかるけどこういう使い方もできるからハンターの特例って微妙なんだよな。
「私ね、今決めたわ。」
「なにをだ?」
「私と結婚しなさい。」
「……………は?」
「ハンター特例を使うわ、そうすれば今すぐにでも結婚できるから。」
「それは知ってるけど俺が言いたいのはそういうのじゃなくて脈絡なんだけど!?」
「そう… 断らないのよね?」
「あ…… そう…だな… ゆかりとはそうなりたいって思ってたから断ることはないけどなんで今なんだ?」
「さっきのことで思ったのよ。 Aランクハンターの配偶者ならそれだけで1つの公式な立場になるわ、そしたら嫁がナンパされたからって理由であんなのを処分してもお咎めなしにできる。
世間的には恋人のためって理由だと弱いのよね。」
「それはわかるけど、それだけで結婚か…?」
理屈はわかってるんだ。 Aランクハンターの配偶者になればAランクハンターと同等の扱いをされるから行動がかなり自由になる。
ただ、少し時間をかければ俺は自分でAランクまでいくぞ?
なんなら1年以内にSランクまで上げるつもりでもある。
「もう! じれったいわね! はっきり言うわよ!?
私はあんたが好きなの! 初めて会ったときからずっとよ!
危ないところを助けられたことは何度もあるし、あんたのおかげでAランクまで上がれたわ、今の私はあんたのおかげでここにいるの!
私はあんたのためならなんだってできるわ!
だからね… 零司とちゃんとした繋がりがほしいの…
恩返しとかじゃないわよ? 私のわがままよ、他の子たちに悪いけど1番乗りさせてもらうから。」
そう言われたら否定できない…
恩返しとか、吊り橋効果とか、言おうとしたけど先に言われたし…
「あんたねぇ… 女慣れしてないのはわかってるけど、ちゃんと返事くらいしてよ…
私だって告白とか初めてなんだから…」
「悪い、まさかゆかりから言われるとは思ってなくてな、ほんとはBランクになってから言おうと思ってたんだけど今言わせてもらうわ。
俺と結婚してくれ、いつもみんなのことを気にかけてくれるお前が好きだ。 自分のことを後回しにしても他を優先するようなゆかりを俺の1番にしたい。
パーティーでも参謀としていつも助けてくれてありがとうな、これからもよろしく頼む。」
ダメだ… 気の利いた言い方なんてできないけど、俺はゆかりのことを大切にしたい。
その気持ちが少しでも伝わればいいんだけど…
「そう… わかってる? 今のあんたはCランクなんだからAランクの私の特例で結婚できるの。
2人め以降を迎えるにはあんたがBランクにならないとダメなのよ?」
「わかってるよ。」
「他の子たちを待たせても私でいいの…?」
「ゆかりがいい。 でもほんとに俺でいいのか?
形だけになるかもしれないけど他の子らともたぶん結婚するぞ…?」
「いいわよ。
今いる子たちはみんなあんたを愛してるのわかるから。
でも1番最初に結婚するのは私。
……んっ
ファーストキスも私だったら嬉しいんだけど?」
「あぁ… 初めて… だよ…」
「嬉しい… ねぇ… 一緒にシャワー… いきましょ…?」
「はぁ… はぁ… はぁ… もぉ… やりすぎよ…
あんたが… はぁ… 初めてなのは… わかるけど… はぁ… はぁ… 私だって… 全部初めて… なんだから… ね…?」
「悪い… ゆかりが可愛すぎて止められなかった。」
「いいわよ… もぉ…
それだけ夢中になってくれたってことだし、あの子たちに一生自慢できるわ。
でも、最初はたどたどしかったのにすぐ上手くなっちゃって… こんなことでSランクなのを実感させないでよ…」
ま、まぁ… 俺Sランクですし…? 体力あるんで、ね?
「身支度できたら次の子のところに行ってあげて?
私から遅れることとここのラウンジに待ち合わせ場所の変更は連絡してあるから…」
こいつはほんとに…
「いつも助かるよ、さすが俺の嫁さんだな。
俺は行くけど、帰りは小百合か美春さんを呼んで一緒に帰るんだぞ?
それと、役所に寄って… その… な?
婚姻届を用意しといてくれ、今夜書くから。」
「…ほんと? ほんとに私と結婚してくれるの…?」
「おいおい、ここまでしといてそれはないだろ。
約束は守るし、もうゆかりと離れるつもりはないからな?」
「……どうかしら 二度あることは三度あるっていうじゃない?」
「あのなぁ… 最初はお前がこっちに引っ越したからだし、2回目は平坂のせいで急に戻ることになって、その後立て続けに依頼が重なってな… これからは連れて行くから心配すんな。」
「うそ… 覚えてたの…?」
うん?
忘れるわけないだろ?
「俺が師匠に拾われて、平坂を通してゆかりと知り合ったのがたしか5歳だったからゆかりは7歳か?
ゼロの姿を作れるようになるまでよく遊んでくれたよな。
あれ? 初めて会った時からって…?」
「そうよ…… 小学生なのに年下のあんたのこと本気で好きだったのよ!
初恋だし、子供の頃のことだったからもう会えないと思って諦めてた… ゼロさんのことを好きになればいいと思ったし、実際好きになったのに…
昨日ね、あのバカ兄からあんたがあの子だって聞いたから…
もう止まらなかったのよ!
私が好きになったのは同じひとで… いつも優しいし、かっこいいし、かわいいし…」
そっか、俺って愛されてたのか…
「ありがとうな、小さいころは訓練がほんときつくて辛かったけど、ゆかりと遊んでた時間が唯一の癒しの時間だったよ。
そっか… あのゆかり姉が俺のことを…」
「バカなこと言ってんじゃないわよ!
次が待ってるんだから早く行きなさい!
私もちょっと休んだらどっちかを呼ぶから心配しないでね?」
作者です
街中でのデートのつもりがなんでこうなった…
レイティングどうしましょう?
これくらいならセーフかなとは思うのですが…
1人目は当たりましたか?
2人目は誰になるか!
お楽しみに!
次回は2023.10.27 12時です。
よろしくお願いします。
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