040 みんなとデート回 1枠①

誤字修正 2023.10.25



 おはようございます、今日はいい天気ですね。

 わたくし神薙零司は本日初めてのデェトというものを経験いたします。

 なんでしょう… 心臓の鼓動がいつもより2倍ほど早くなっております。

 Sランクと呼ばれるようなモンスターを前にするよりも緊張をいたしております…



 はい、そんな気分なんだけどこの口調は自分でも違和感しかないわ。


 朝食のときに美春さんから待ち合わせ場所だけ伝えられてだれが来るとかは教えてもらえなかった。

 デートってどこで何するかを男が決めるものだと思ってたけど違うんだな…




「君可愛いね、俺たちと遊ぼうよ? いいとこ知ってるんだ。」

「そうそう、絶対楽しいからさ! ほら行こ?」



 待ち合わせに使われるような場所ってナンパにも使われるんだねぇ…

 にしても古典的なセリフだな。 こんなんについて行ったら一服盛られて大変なことになるよなぁ…

 中途半端なハンターってよろしくない薬を一般人に売って小遣い稼ぎしてたりするからほんと危ない時代だよ。

 まぁあの子もかなり美人だから声をかけたくなる気持ちもわかるわ。



「おーい、彼女嫌がってるだろ? そのへんにしとけ?」


「あん? なんだこのガキ、関係ねぇやつは引っ込んでろや?」


「そうそう、俺らハンターよ? パンピーは消えてどうぞ?」


「おいおい… ハンターがその立場を脅しに使うのって良くないよ?

 ってかそういうならランクいくらよ?」


「俺らはCだぜ? もう一流間近なんよ、わかる?」


「そうそう、けっこう稼いでんぜ? なぁ、わかったら失せな?

 君もさぁ、俺らと縁作った方がいいと思わねぇ?」


「思わないわ。」


「は?」


「東城ならCランクなんていくらでもいるわよ。

 お呼びじゃないわ、消えてくれない?」


「「「え?」」」


「ちょっと! なんで零司まで驚いてるのよ!」


「ゆかり!? ごめん、気づかなかった。

 春らしいさわやかな色使いのワンピースでいいね、見違えたと言えばいいかな。」


「はぁ… あんたのボキャブラリーにはこういうのはないのね、でもいいわ。

 褒めてもらえて嬉しいから。」


 淡いラベンダー色のワンピースで、お嬢様のような雰囲気でちょっと意外だった。

 もうすこし活発な印象の服装かと思ったんだけどね。


「お前ら知り合いかよ。 でもいいや、この女借りるぜ?

 逆らうと… わかるよな?」


 あぁ… こいつらにはもう慈悲はなくていいな。


「あんたたちねぇ… 人の恋路を邪魔したんだから覚悟はできてるんでしょうね?

 ここまでの話しで正当防衛は成立してるわよ?」


「はっ 俺らのバックには支部長とも仲のいい吉田さんがついてるんだぜ?」


「そうそう、これくらいもみ消しなんて余裕余裕。 もうなんべんもしてくれてるしな。」


「もう黙れよ、“闇”。」


「なっ!? むぐっ!?」



 声を聞くのも不愉快だしさっさと拘束した。 こんなところで始末しても面倒だし、せっかくのゆかりとのデートなんだ、血なまぐさいことはやめておこう。



「あー三上? ゆかりと待ち合わせしてたら駅前で絡まれてさ、かなり余罪がありそうだから拘束した。 あとの処理を任せていいか?」


『は!? わかりましたBランクを3名送りますので10分ほどお待ちいただけますか?』


「あぁ、それとこいつらはゆかりに薬を使おうとしていた、それに支部長が背後にいてもみ消すとも言っていたからな。 協会とのいい交渉材料のために俺の責任での拷問も許す。」


『ほぅ…… お任せを。』




「もぅ… 嫌になるわ、こいつらで3組めよ!

 なんで私がついて行くと思うのかしら。」


「そりゃ、ゆかりが美人すぎるからだよ、俺だって自制心がなかったら危ないよ?」


「へぇ~? 自制心なかったらどうなっちゃうの~?」



 おい… そんないたずらをしようとする猫みたいな目はやめろ、ほんと… 危ないんだから…

 自制心… もつかな…



 三上が呼んだBランクハンターは新入りのようで俺の顔までは知らなかったようだ、それが逆によくてスムーズに引き渡しは完了。


 そう思っていたら今度は警察…


「で? 君たちは何をしているのかな? こうやって白昼堂々拉致とは困るんだが?」


「…ゆかり、ハンター証だして?」


「はぁ… これよ。」


 警察はゆかりのハンター証に目玉が飛び出るくらい驚いている。

 まぁ、こんな美人な令嬢がAランクハンターなんて信じられないわな。


「本物か確認を…」


「はぁ… いい加減にしろよ? これ以上時間を取らせるならクランサブゼロとして対応するぞ? あんたらの氏名と階級は教えてもらえるんだよな?」


「こちらは公務執行妨害で現行犯逮捕してもいいんだが、わかっているのか?」


「お前らが仕事できてねぇからこっちで動いてんだろうが。

 脅迫と暴行未遂受けててやむなく正当防衛の範囲で拘束してんだ。

 ハンターの獲物を横取りするんだ、命張る覚悟くらいできてんだろうな?」


 少し殺気を乗せてやると簡単にびびってる…

 こんなのが警察をしてていいのか…?


「まぁ、そうカッカせずに署まで同行してくれれば疑いも晴れるだろう?」


 さっきまで黙っていた2人めの警察が声をかけてくるが、こいつが応援を呼んでいるのは聞こえていたし、もういいかな?


「同行してもいいが、俺らの時間を奪うんだ、その対価は支払ってもらう。

 ハンターの収入を時給換算したらかなりの金額になるがそこはしっかり払ってくれるんだよな?

 公衆の面前で車に乗せられるんだ、名誉棄損の慰謝料ももらうぞ?」


「おいおい… こっちも仕事でやってるんだ、そう言われてもな?」


「今なら追いつけなかったことにできるぞ?

 この2人はハンターだって脅してこいつを連れて行こうとしてたんだ、こんなやつらをそちらできちんと抑えていられるのか?

 こっちはBランクやAランクが対応できる環境がある。

 なぁ? どっちが町の平和につながるか考えてみなよ、おまわりさん?」


 はい、あんまり褒められた対応じゃないのはわかってはいるんだけどどうしてもイラついてしかたない。

 邪魔が入りすぎだろ!

 せっかくゆかりがこんなおしゃれをしておれとのデートを楽しみにしてくれたのにさ!


「その… 脅しと言うのは本当なのか…?」


「そうだね、録音データは後日提出するよ。 これで引いてくれるかな?」


「だが…」


「先輩! ダメですよ! こんなガキの言うことになんで従うんですか!」



 若さからくる無鉄砲はいいけど事態をかき回すのはいただけないね。



「どうする? あんたが呼んだ応援もせいぜい10人だろ、抵抗はさせてもらうぞ?

 あんたらの流れ弾までは責任もたないから一般市民にけが人とかでるかもしれないな?」


「お前! 警察を脅すのか!」


「落ち着け、彼らは拳銃の弾くらいは回避できるってだけだ。 避けた先がどうなるかは彼らの責任じゃない。 警察としてハンター相手にことを構えるのはよろしくない。

 それに彼女はAランクなんだ、それが暴れてみろ、うちの署員全員でも止まらんぞ?」


「先輩!」


「お前が発砲して彼が避ける、そして一般人が負傷する。 こうなったときに彼を責められるか? 撃たれて当たらないお前が悪いと?

 それに彼のいうことが全部正しかったらどうする? 悪事を働くハンターを正義のハンターが確保したこところで警察が正義のハンターを逮捕、悪者側のハンターを解放したことになればどうする?

 俺らの責任じゃ済まない。 Aランクハンターの邪魔をして犯罪者ハンターの解放までしてみろ、今後ハンターが警察の支援をしてくれなくなるかもしれない。

 わかるか? そうなるとどんな凶悪な犯罪者のハンターがでても他のハンターに被害がなければ動いてもらえなくなる、一般人にとっては地獄になる。

 そうなるきっかけになりたいのか?」



 へぇ… 妄想力たくましいけどそれで正解。

 あいつらを解放させて俺らを逮捕なんてしたら俺は今後一切警察の依頼は受けない。 そしてそうなるとまた他のハンターも便乗するかもしれない。

 ハンターの横の繋がりは意外とあるんだ。 今回の協会の件で一般にも知られたと思うし、そういうことも考慮されると少しはハンターも生きやすくなるといいんだけどね。



「時間を取らせたな、行っていいぞ。」


「あぁ、あんたの名前と階級だけ控えさせてくれるか? 今後こういうことがあったらあんたを頼らせてもらうよ。」


「そうだな… これが名刺だ。 君の名前も聞かせてもらえるか?」


「ん? 名刺は持ち合わせがないから口頭で失礼する、サブゼロの神薙零司だ。 あんたなら1回くらい手助けしてやるよ。」




作者です

今回からデート回です。

いや、あの…

まともにデートしてないですが、一応デート回としておいてください。


3日間の午前・午後で6人とのデートを…

1枠、2枠として6枠までいきます。


順番などを想像しながらお待ちいただければと思います。



次回は2023.10.25 12時です。


よろしくお願いします。

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