028 ねぇどんな気持ちぃ?




 作者からのご注意です。

 スポットキャラと主人公がお互い感じ悪いです。

 最後の方が若干残酷です。





 あの授業の後、生徒たちのモチベーションは上がったみたいで放課後によくダンジョンに行くようになったらしい。


 らしいっていうのは俺にはそういうことを話す相手がいないことと、やっぱり俺は協会に行ってないから。


 俺だけじゃなく、うちのメンバーは全員協会には行っていない。 個人資産もあるし、会社の方にもそれなりにお金は用意してあるから1年や2年休業になってもうちの会社所属のハンターが困ることはない。 他のところはきついかもしれないから利息なしで貸そうかと思ってる。



「今日の授業はここまで、今週もみんなお疲れさん。

 ダンジョンに行く者は気を付けてな。 今は上級ハンターが休業してるから難しい依頼を振られるかもしれんが、絶対に無理はするなよ。

 助けに行けるようなひとはみんな休業してるんだからな。」



 教師の言葉に苦笑いする一同。 それはそうだろ、これまでは何かあっても高ランクのハンターが救助に来てくれる可能性があるって思っていたものが、その可能性がほぼないと言われているんだから。

 学校での噂だと、東城学園支部所属の高ランクのハンターで休業してないのはBランクでは10パーティー程度はいるけど、Aランクで2パーティーだけらしい。

 Bランクが救助依頼なんて受けることはよほどでない限りない。 かと言ってAランクが動けるかっていうとそれも難しい。

 この支部の管轄する甲種はこの間踏破した地竜ダンジョンともう1つあるからそっちの間引きの方が優先されるからだ。

 D、Cランクのハンターよりも大多数の一般人のために氾濫を予防することの方が重要と言われたら… ね。



「零司くん、行こ?」


 帰る前に美夏と連れ立って保健室へ寄るのがもう習慣になりつつあるな。

 5人で集まるのにちょうどいいからね。




「入りますよ~ お姉ちゃん今週もお疲れ様~ って吉田先生?」


「あ? 井上と偽物か… それじゃ、美春さん、今夜はよろしくお願いしますね。」


「何度も言っていますがお断りします。 あなたと個人的にお付き合いするつもりもありませんし、食事に行くつもりもありません。」


「またまた~ いいんですか? 妹さんの評価が下がっちゃうかもしれませんよ?」


 はぁ… こういう下衆ってなんでいなくならないんだろうね。

 美夏のランクは1年で取る目標のDだし、もう少し鍛えればBまではすぐ取れる。 それに美冬はすでにAランク。 学校の成績なんてハンターには関係ないんだけどねぇ?


「よしだせんせい? それって脅迫なんじゃないですかぁ?」


 バカっぽく言ってみる。 馬鹿にされるのはいい気分じゃないけどそれでこいつらから俺にヘイトが移ればそれでいいしな。


「偽物よぉ… オトナの話しに首を突っ込むんじゃねぇよ。 俺は美春さんとオトナ同士で仲良くしたいだけなわけよ。 わかる? お前みてぇなガキに用はねぇからさっさと帰れ。 あ、妹ちゃんも俺らとオトナの関係とかどーよ?」



 うわぁ… 鳥肌立った… こいつ美春さんだけじゃなくて美夏にも手を出すつもりか? これが美冬にバレたらどうなっても知らんよ?


 バンッ


「いい加減にしろ!!」


 美春さんは机を叩き勢いよく立ち上がり普段では考えられないような大きな声で


「1回目なら言い間違いだと思って見逃した。 でも2回目は許さん! 何が偽物だ! お前は零司の何を知っている! こいつがそんな言われ方をする理由なんてどこにもない!」


 あれ……? 怒るポイントってそこ?

 俺のことより妹の心配しようよ… 嬉しいけどさ。


「おいおい、なに熱くなってんの? オトナらしくたのしくヤろうって言ってるだけじゃん? それにれいじ? だれそれ?」


 そうなるよね…

 こいつは俺のことを顔と「偽物」ってことしか知らないんだろうね。


「吉田先生、私は先生とどうこうなることはありません。 私は零司くんを支えるって決めてるんで。」


「支える? んじゃお前がお礼してくれたら俺がハンターの手ほどきしてやっから。 それが支えるってことになんじゃん?」



 うわぁ… 男の俺でも気持ち悪いんだけど…

 いるんだよねぇ… こういうやつ… 1晩相手したら彼氏をパーティーに入れてやるとか言うんだよ…

 それがAランクパーティーだったりするから協会も強く言えないし本人も合意したから警察も何もできない。 ついて行ったらおクスリなりで後は…


 上手い話しには気を付けようね。



「結構です! 自分たちで何とかします!」


「そう言うなよぉ~ 俺Aランクよ? 力づくでもいいのをこうやって交渉してるんよ? このやさしさに感謝してほしいんだけど? それにあの学生ハンターも同じだろ? 実力があるから交渉できんだよ。」



 これがハンターの現実だよ。 力づくで物事を思い通りに動かそうとする。

 それは俺も同じか、俺が支部長に言ったのとこいつが言ってることは本質的には変わらない。



「違う。 あの人はみんなのために戦ってる。 あの人があそこで受け入れたら他のハンターもみんな同じ条件を受け入れることになるから。

 自分が悪者になって日本のハンターを守ったんだよ。 あんたみたいに自分の欲望だけで動くようなひとと一緒にするな!!」


 美春さんのときでも思ったけど、俺ってこいつらに勝てないわ。




「なぁ、あんた実技担当なんだよな?」


「あぁん? ガキが! 先生には敬語くらい使えや!」


「ボロが出てんぞ? ザコがバレたからって粋がんなよ。」


 ほれほれ、煽ってやるからかかって来いよ。


「てめぇ… 表でろや!!」




「あっれれ~? どぉしたんでちゅか~? せんせーの攻撃当たんないでちゅねぇ~? こっちでちゅよ~?」


 美夏にあそこまで言われたんだ、どこまでヘイトが向いてもかまうもんか。


「てめぇ! 逃げんな!」


 遅ぇ……


「こんなもんでちゅか~? ほれほれ~ ちゃんと当ててくださいよぉ~?」


 5分は避けてるんだけどそろそろいいか?

 ギャラリーもそれなりに集まってきたしな。


「ねぇせんせ? 女子生徒を成績を盾に手ぇ出そうとして、上手くいかなかったら暴力に切り替えて、それを止めた生徒に代わりに暴力。

 でもそれが当たらないんですよねぇ~?


 ねぇどんな気持ちぃ? Aランクって自慢してた先生が生徒に攻撃が当たらないときってどんな気持ち~?」


「てめぇ! ぶっころす!!!」


「いいのかなぁ? こんなにたくさんの生徒の前でそんなこと言っちゃって?

 さっきのがほんとだって言ってるようなもんだけど?」


「うるせぇ! 俺はAランクだぞ! 協会だって俺の肩をもつに決まってんだ!

 お前のランクだって下げさせてやっからなぁ!!」


 まだ元気いいなぁ… もうちょいやるか…


「ランク下げられちゃう? あんたみたいな名前だけAランクにそんなことできるんですかぁ~?」


「あぁん!? 俺には支部長がついてんだぞ! できるに決まっ…… て……?」


 やっべ… 殺気漏れたわ…

 支部長ってほんと害悪でしかないな…


「そろそろ身体あったまってきたんで剣使いますよ?」


 俺はアイテムボックスから学園で普段使っている剣を取り出して構える。


「はっ! 剣豪のジョブを持ってる俺に剣で勝てると思うなよ!!」


「はいはい。 そういうのは当ててから言ってくださいねぇ?」



「おい、あれって偽物って言われてる1年だろ?」

「あぁ… そのはずだ。」

「それがなんで吉田先生の攻撃が当たらないんだ?」

「俺が知るかよ、そりゃあいつがそれだけすげぇってことだろ?」

「いやいや、こんだけやれんのになんで偽物なんだよ。」



「神薙くん…?」

「あ、陽菜も見に来たんだ。 神薙くんすごいよね…」

「うん… 先生を相手にこんなに…」

「あ、君ら今来たのか? あいつすごいぞ! 先生相手に5分以上避け続けてんだ!」

「これが… 神薙くん… でもなんで先生と?」

「それがな、あの先生が力づくで女子生徒に迫ったのを止めてこうなってるみたいなんだ。」

「え! うそ! あの先生最悪じゃん!」




「そろそろ実力差がわかりましたか?」


「はぁ… はぁ… はぁ… なんで… 当たんねぇ…」


 疲労から吉田は肩で息をしているし剣の切っ先もプルプルだ。

 15分も全力で振り続けたら当たり前か? いや、Aランクならもっと頑張れよ。


「んじゃ、そろそろこっちもいきますよ?」


 一瞬で首を飛ばすのも簡単なんだけど、さすがにそれは、ね。


 一気に踏み込んで右足を浅く切りつける、そのまま距離を取ってターン。 次は後ろから距離を詰めてジャンプしながら回転して左肩を浅く切る。

 うん、コンディションは悪くない。 このまんま遊ぶぞ?




「ひゃぁぁぁぁ…… もぉ… やめてくれぇ… どこにいるんだよ! どこから!

 あっつ… どこなんだよぉ!!」



「なぁ… 見えるか…?」

「見えるわけねぇだろ…」

「だよなぁ…」

「Bランクの俺らでも見えねぇって…」

「あいつこんなにすげぇのかよ…」

「これで偽物って言われるってどうなってんだよ…」



「ねぇ… 陽菜には見えてる…?」

「うぅん、神薙くんはずっと先生の後ろにいて先生が勝手に切られてるとしか…」

「そうよね… 斥候職の私でも目で追えないスピードで動いてるってことよね?」

「そう。 でもれーじは遊んでる。」

「!? 冬の女王!?」

「あの… 井上先輩には見えるんですか…?」

「少しだけ。」

「あの、遊んでるってどういうことなんですか?」

「れーじが本気ならあんなの1秒で死んでる。」



 偉そうに言っててもこんなもんかよ。 いい加減飽きたな。


「見つけたぞ!! ぶっころ…… え? うでぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 飽きたから両腕を切り落としてから正面に出て来てやったよ。


 あ、こんなやつに未来があっていいと思わないから腕は


「かっ 返せ! 今なら! まだポーションで!」


「こんな生ごみは焼いておこうね、ファイヤーボールっと。」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「これに懲りたらもう調子に乗らないようにね。」




作者です


ハンターは自分やモンスターに色々な薬を使うことがあるので

良くないオクスリも持っています。


Bランク以上になると特例が適用され所持と自分で使うことは許されますが…

悪いことをするひとはいなくならないし減りませんね…



2023.09.27 時点で

短期目標であった2つを同時に達成いたしました!!


PV数 5,000

フォロワーさま 100名 突破です!

ありがとうございました!!


レビュー(⭐)、応援(♥)、コメント

何か残していただけるとモチベにつながり泣いて喜びます!


近況ノートに適宜連絡や感謝を書かせていただいております。

そういったものもあるというご連絡でした。


次回は2023.10.01 12時です。


10月は2日に1回、奇数日更新で頑張ります!


よろしくお願いします。

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