020 君らにも教育が必要?
誤字修正 2023.09.24
「はぁ? お前みてぇな偽物がそんなもん持ってるわけねぇだろ!」
「だったら教師にでも鑑定させてみろよ。 たしか実技のやつは鑑定持ちだろ?」
実技教師のあいつはたしかBかCランクの元ハンターで鑑定持ちだったはず。
コカトリス通常種の魔石の買い取り価格の相場は110~150万だから文句はないはずだ。
「何の騒ぎですか! あぁ、工藤と偽物、裏切り者ですか。 工藤に絡む前にきっちり賠償はしておきなさいよ。」
うげ… こいつもペナルティありのタイプだったか。
「なぁせんせ、これコカトリスの魔石だって言うんだけどマジか?」
「コカトリス? ちょっと借りますよ… ん? んんん???
本物ですね… これをどこで?」
「ペナルティ300万って言ったら偽物野郎がこれを3個だしたんだよ。 こんなやつがこんなすげぇ魔石持ってるなんておかしいよな!?」
「そうですね。 窃盗の疑いがありますので、拘束しましょう。」
うっわ、俺の話しは一切聞かずにいきなり拘束かよ。
って、やべぇ! ゆかりがキレそう!
「なぁせんせ? そういうことなら抵抗するけど文句はねぇよな?
お前らは手ぇ出すなよ?」
2人には釘を刺しておかないと。 こいつら手加減苦手だもんな。
「「あちゃー……」」
「いい度胸です! ファイヤーボール!」
ちょっ! 教室でファイヤーボールって頭大丈夫か!?
「“水”よ」
教師の放ったファイヤーボールはまっすぐ俺に向かってきて、「ジュワァァ」と音を立てて消えた。
美冬とゆかり以外は呆然とこちらを見ているが、これで終わりってことはねぇよな?
「さて… これで正当防衛だな? こっからは少し教育の時間だ。」
教師との距離を一瞬で詰め、腹に一撃。
「ぐぼぁ!」
おいおい、これくらい防御しろよ? 先は長いぜ?
「なぁ? 一発で済むなんて思ってねぇよな?」
ニッコリと笑ってやると、この世の終わりみたいな顔してやがる。
たしか今日の1コマめはこいつの実技だったな。
「じゃぁせんせ? このまま実技の授業しましょーね? それまで生きてたらいいよなぁ?」
それから30分、ボッコボコですよ。 ちゃんと実力の差ってものを理解してもらうには一度型に嵌めないといけないからね。
「も… やめ… ゆるひ…」
「さて、みんな。 先生が身をもって教えてくれているけど、今なにをやっているかわかるひとはいるか?」
教室を見渡すと1/3が吐いてて、1/3が呆然で、怒ってるのと、怯えてるのと、呆れているのが残りかな。
呆れているのは美冬とゆかり、美夏だ。 お前ら自分の教室に行けよ。
「みんなわかっていないようなので宿題にしよう。 ところで先生はさっきの魔石の鑑定はできたのかな?」
「へぁ? れきまひゅた…」
「あー 顎も歯も折れてないから普通にしゃべっていいよ?」
「ふぁ…? ほ… ほんとだ… なんともない!?」
当たり前だろ。 回復魔術かけながらぶん殴ってたんだから。
「で? あれは本物だったのかな?」
「あ… あぁ… 本物だ。 あれ1個で120万くらいにはなる…」
「だ、そうだ。 これでペナルティは終了な? 今回はこれで終わりにしてやるけど今後同じようなペナルティを課すのを見たら先生よりひどい目に遭ってもらうから、みんな気を付けてね?
ハンターは自由であるべきだろ?」
「…………」
「返事もできないのかな? 君らにも教育が必要?」
「「「はいっ! もうしません!!」」」
よしよし。 この学園からペナルティがなくなっていくといいね。
いいことしたねぇ。
「俺は寝るから、各自片付けよろしく~」
「よろしくじゃないわ!」
スカーンと俺の後頭部をぶん殴ってくれたのは我らがゆかり嬢。
「いってぇな… なんだよ?」
「なんだよじゃないわよ! な-にが各自片付けよろしくよ! あんたはいっつもやりすぎなのよ!」
やりすぎか?
「そうか? 怪我の1つもしてねぇしいいだろ。 それに自分の出したもんだし自分で片付けるべきじゃね?」
「それはそうだけど、ここまでやることないじゃない!」
「ゆかり、やりすぎじゃない。」
「は!? 美冬までなんでよ!」
「れーじがしなかったらあたしがしてる。 あたしなら何人も死んでる。」
「このくそ教師のせいで工藤は調子に乗ってこんなこと言い出したし、さっきもそれを助長してたよな? ここの実技教師って大半がこんなんだぞ? だれかが止めないとこういう価値観持ったハンターが量産されちまうよ。」
これでもぼくゆうしゅうなはんたーですし? ほかのくらすのじゅぎょうもきいてたりしますし? とおくのおとをあつめたりたくさんのおとをぜんぶききとったりできますし? そうやってこのがくえんのわるいとこいっぱいしってますし?
「今、ヘンなこと考えてないでしょうね?」
「い、いやなにも?」
こわっ! こいつエスパーかよ…
「れーじをいじめちゃダメ。 ゆかりはもっと素直になるべき。」
「ちょっ なによ! 私が素直じゃないっていうの!?」
「なに喧嘩してんだ? そうそう、昼過ぎに協会に行くんだよな? そのときに話したいことあるから時間作ってくれ。」
「はぁ… わかったわ。 一緒に行きましょう、私たちの話しはあなたに聞かせて問題ある話しじゃないし。」
チャイムが鳴り、授業の時間が終わると実技教師は逃げるように去って行った。
彼が今後どう動くかで俺の対応も変わるのを理解してくれてるといいなぁ…
「さて、授業を始めようと思うんだが、君たちは? たしかこのクラスの生徒じゃないよな?」
はい、次の授業はモンスター学。 ハンターになるには必須の学問だね。
担当教師はマトモなひと。 実技以外は割りとまともな人間性の教師がいるんだよ。 中にはとんでもないのもいるけど…
「私たちは3年のAランクハンターです、後輩の中で私たちと組めそうな人がいるか見て回っています。」
あぁ… そういう言い訳ね。 たしかに上位のハンターがスカウト目的で見に来てるってことなら断りにくいか。
「そうですか、たしかにこの学校ならではですね。 わかりました、見学であれば認めましょう。 ただし、授業の妨げになったら退室してもらいます。」
「もちろんです。」
それからの授業自体は問題なく終わった。
2人はおとなしくしていたし、クラスのやつらも美夏が俺と関係があると理解したのか美夏に絡むこともなかった。
絡んで来たらきっちり教育するところだったよ。
さて、昼休み。 4人で学食にでも行こうかと思っていたら、
「れーじ、保健室行くよ。」
と言われ、なぜか4人で保健室へ。
いや、わかるよ? 美春さんとこに行くのは。 でもなんでお昼に?
そんなことを考えていたらいつの間にかテーブルを囲んでいた。
「お? やっと現実逃避から戻ってきたな。 こう見えて美冬は料理上手でな。 今日の弁当はかなり気合入ってたぞ?」
「そうそう、私が手伝おうとしても手を出させてくれなかったもんね!」
「2人ともうっさい。 れーじに食べてほしくてがんばっただけ。 うっさい2人は食べなくていい。」
「おい! それはないぞ! 今日はずっとこれを楽しみにしてたんだぞ!」
「そうよ! 横暴よ!」
「美冬、さすがに俺だけでこんな重箱3段もあるお弁当は多いからみんなで食べないか? でも、その前に2人は美冬に言うことがあるんじゃないかな。」
「「ごめんなさい。」」
「素直でよろしい。 ちゃんと謝ったんだから許してやってくれないか?」
「しかたない、れーじに免じて許す。 ありがたく食べるよーに。」
俺が2人と組んでいたころには料理なんてほとんどできなかった美冬がここまでになるなんてね。
感慨深いものがあるねぇ… なんて年下の俺が思ってるのはヘンな話しだね。
みんなで「いただきます」をしてからどれを食べようか迷っていると美冬が取り分けてくれた。
「卵焼き… 食べて?」
勧められるままに卵焼きを食べてみるとこれがうまい!
「めっちゃうまいよ! ほんと俺の好みだわ。 控え目な甘さとほのかに出汁の香りがしていくらでも食べられそう!」
「よかった。 前にれーじが言ってたのを頑張って再現してみた。」
あぁ… たしかに料理の好みについて話したことあったな。 でも1年以上前だよな?
「覚えててくれたんだ?」
「当然。 あの日あたしはれーじのために生きるって決めたから。」
作者です
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次回は2023.09.17 18時です。
よろしくお願いします。
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