019 300でいいんだな?
はぁ… 美夏に明日は登校するように伝えたし、これでいいよな?
なんで美夏に一言伝えるだけで3人と会話しないといけなかったんだ? それにあの内容はどういうことだ? 特例? ハンター特例のことだよな?
俺はまだDかCかそのへんだぞ? 特例はBからだよ…
うだうだ考えててもしかたない。 さっさと済ませて仮眠時間でも確保するかねぇ。
怪鳥ダンジョンは狼の森と同じく森林タイプのダンジョンだな。 普段なら何種類かの鳥タイプのモンスターが出るんだが…
「またコカトリスか? 殺意高すぎだろ。」
サーチでダンジョン内のモンスターを確認してみたらまぁほとんどがコカトリス。
コカトリスは甲種のザコならわかるってくらいのモンスターなんだがここは乙のそれも二種だ。 2つ上のランク相当ってのはいきすぎじゃないかい?
「ほんと… あいつら連れて来なくて正解だったな。」
レイヴンの3人に今のここは少し荷が重いな。 こんどAランクの相性の良さそうなところを見繕っておくか。
よし! ザコ狩りはこれで完了だ。 闇の魔導でもこれだけ時間がかかったんだ、他のやつだとどれだけかかるんだ?
たしか9時くらいに入って今が5時だから8時間!? 増えすぎだろ… なぁ?
クイーンコカトリスよぉ…
ここのボスはクイーンコカトリスだ。 通常のコカトリスは卵を産んで、レッサーコカトリスを増やすんだが、クイーンが産む卵からは通常のコカトリスが出てくる。
コカトリスが1,000以上とか冗談にもほどがあるぞ… まぁ済んだことだから言えるんだけどな。 最低100万の魔石が1,000個以上ってことは10億確定か? これはいい交渉材料にしないとな。
クイーンだろうとコカトリスってのは鶏の化け物だ。 要するに頭を落とせばそれまで。 硬いわけじゃないしな。
ぶっちゃけた話し、クイーンも通常種も俺から見れば変わらんのよ。
「はぁ… ほんと時間だけかかったな。」
協会に戻れたのは6時過ぎ。 登校まで2時間しかねぇよ…
「平坂いるか?」
受け付けで声をかけるが反応はない。 氾濫直前のダンジョンの踏破を依頼し、期限まで設定している状態で窓口に待機している職員がいないなんて本来はありえない。
耳をすませてみれば案の定。 受け付けの奥でいびきをかいてやがる。 他のやつならそれなりの対応をするが平坂だからな…
俺がまともに動いて今日で3日目。 それまできっとこいつは動き回ってたはずだ。 まだAランクの妹にまで依頼するくらい切羽詰まってたんだろうな。
それでも俺を呼び出してはいない。
こいつなりに気を使ってくれてたんだろ。
「起きろ。」
軽めに殺気を当ててやると跳ね起きた。
「な!? なんだ!?」
「おはよう。 いい夢は見れたか?」
「てめっ! なんつぅ起こし方しやがる…」
「俺以外に知られたらめんどくせぇだろ? とりあえず依頼の3つは踏破したからその報告だ。 学校終わってからまた来るから魔石はその時に見せるわ。」
「あぁ… もう済んだのか… さすがだな。 いつも頼ってばっかでほんとすまん…」
「気にすんな。 買い取りはきっちりやってもらうからそれでいい。
悪いがいっぺん家に帰るわ。 学校前にシャワーくらいしときたいしな。」
俺がお前に感じてる恩に比べたらこんなのはどうってことねぇけどな。 言わねぇけど!
制服の替えを持っててよかったとしみじみ思うわ。
まる2日も着たまんまだったし洗濯してぇよな。
東城学園の男子の制服はいわゆる学ラン。
手首のところに一周と肩にラインで色が着いてて学年を表したアレンジがされてる。
1年の俺は赤、2年は青、3年は緑だ。
理事長が軍事オタクかなんかで昔の軍服のイメージを残したかったらしい。
女子の制服はブレザーにスカートっていうギャップよ… まぁ女子もリボンタイで学年の色分けは同じなんだけどな。
教室に着いたらまだ早い時間で、少しは寝れるかと思ったらお客さんだ。
「零司くん! おはよ!」
「あぁ… おはよ… 美夏は朝から元気だな…」
はぁ… なんでこいつはこのタイミングで来てるんだよ… ギリギリでいいじゃねぇか…
「そ… それは… その…」
「むりに言わなくていいよ。 でもすまん、マジで眠いんだ…」
「れーじっ!」
机に伏せてる後ろから抱き着くな… そして押し付けるな…
「あー 美冬か、おはよ。」
「私もいるわよ、おはよう。」
「ゆかりかー おはよー」
「どうしたの? もしかして長引いた…?」
「わかるかー? ザコで8時間だぞ8時間… 強くねぇけど多すぎだ…」
「クイーンコカトリス?」
「せーかい、稼ぎにはいいんだけど時間かかってしゃーないんだよ
美冬は言葉数は少ないけどよく考えてるし鋭い。
怪鳥ダンジョンで出そうなモンスターで俺が時間かかって強くなくて多いって情報だけで当ててくるくらいにはダンジョンにも詳しい。
「私たちがいなくてよかったわ… きっと足手まといになっていたわね…」
「え? 美冬姉さんとゆかりさんが足手まといって? 零司くんってそんなに…?」
「美夏、ここではこれ以上はダメ。」
「あっ… ごめん…」
「いーよー マジで頭回ってねぇや… どーすっかな、マジで…」
「美夏はれーじに付いてて。 今のれーじはやばい。」
「付いてるのはいいけど… やばいって…?」
「この子ね、この3日でたぶん3時間くらいしか寝てないの。 それにかなりきつい依頼を受けてたわ。 そんな状態で挑発されたり殴りかかられたりしたら…」
「したら…?」
「何人壊すかわかんない。」
「え…? 姉さん… ゆかりさん…? 冗談よね…?」
「休み時間は全部ここに来るから授業中はあんたがこの子の盾になりなさい。 Bランク以上のハンターはね、意識して力を抑えてないとちょっとしたことでも相手を怪我させてしまうのよ。 そんなのこの子は望んでないわ。 美春さんを通して実技は見学って言ってもらうようにしたけど実技の教師が何をしでかすか…」
「あいつら気持ち悪い。」
「わかったわ、できるだけのことはするね。」
「3人さん? なんのはなしー? よく聞こえなかったんだけど?」
なんか俺が誰かを壊すとか物騒な話しが聞こえたような…?
んー ダメだ。 これで授業聞こえるかねぇ…
人が増えてきたな… そろそろHRか? にしても2人は3年の教室に行かなくていいのか?
「おはよー あ、裏切り者じゃん。 なんで学校来てるわけ?」
「萌! いきなり止まるなよ、教室に入れないじゃん。 あん? うわ、ほんとにいたわ。」
「ちょっと井上さぁー モエたちのこと裏切ってF落ちさせてなんで普通に来てるわけ? どうしてくれんのさ?」
「うっせぇなぁ… 萌? なに騒いでんだ?」
「あ! クドちゃん! モエたちのこと切って自分だけランクアップした裏切り者がここにいるの! ねぇペナルティってどうしたらいいと思う?」
「はぁ? そういうのは許されねぇよなぁ?
兄貴らが言ってたのは、ウリでもやって金持って来させるか、自分らの期間設定の奴隷にするかのどっちかって話しだけどお前らはどうしたい?」
「えー? モエにチン〇ないし奴隷にしてもおもしろくないよー!
やっぱお金かな?? マキちんはどう?」
「私もお金かな? こいつには汚ぇオッサン相手にしっかり稼いでもらえばいいよ。」
「んじゃあ金な。 萌と真紀、話しをまとめた俺にそれぞれ100万の300万で許してやんよ。 月曜までに用意しろよ。」
「えー? 今日は金曜よ? クドちゃん鬼~ キャハッ!」
「月曜までに持ってこなかったら1日に30万ずつ上乗せね。 それくらい覚悟して裏切ったんだよな?」
うわぁ… 好き勝手だなぁ…
美夏の予想通り工藤とつながってたのかよ。
「…あんたら………」
「美冬、よせ。」
ほんと、めんどくせぇ…
「おい、300でいいんだな?」
「あん? 偽物がしゃしゃんなよ。 なんだ? お前が肩代わりでもすんのか? 出せるもんならだせよ。」
「ほら。コカトリスの魔石3個だ。 これで300な。 もう黙れ。」
昨日狩ったコカトリスは1,000超えてるから3個なんて誤差だしくれてやるよ。
「はぁ? お前みてぇな偽物がそんなもん持ってるわけねぇだろ!」
作者です
⭐、♥、コメント
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次回は2023.09.15 18時です。
よろしくお願いします。
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