007 平坂さんのダンジョン講座




「ほんとお前には助けられるな。」


「そうなんですか?」


「あぁ~ 美夏ちゃんはそこまで詳しくないか、んじゃ平坂さんのダンジョン講座をしとこうかね!


 日本ではダンジョンはダンジョン協会が管理して、難易度や危険度で甲乙丙丁の4つに区分してる。 それは知ってるよな?」


「はい、授業で習いました。 ハンターのランクに応じて入れるダンジョンの制限があることも習ってます。」


「よろしい。 んで、ダンジョンってのは不思議なもんで、そこでモンスターを倒すと身体は消えてドロップアイテムって呼ばれるものを残すんだ。 ここの丁種だとゴブリンしかいねぇから魔石とゴブリンナイフくらいがドロップアイテムかな。 魔石は倒せば確実に落とすけどドロップアイテムはたまーーーーにくらい。」


「そうですね、私たちは4回入りましたがゴブリンナイフは1回しかでてません。」


「確率でいうとそんなもんかな。 それとダンジョンは無限の資源って言われていてね。 モンスターもボスモンスターも時間を置けばまた湧いてくる。 魔石はいくらでも取り放題ってわけよ。 あ、でもダンジョン自体を潰したらダメになるんだけどね。」


「はい、魔石はエネルギー源として活用されて、かつて言われていたエネルギー問題は実質解消されたって習っています。 でもダンジョンを潰すって、そんなことあるんですか?」


「あるよ。 でもそれはAランクにならないとやり方とか教えられない機密事項だから教えられなくてごめんね。

 んで、ダンジョンに入場制限があるのは身の丈に合わないところに入ってハンターが減ることを避けるため。 それはわかると思うんだけど、どうやって実力を計っていると思う?」


「えっと… とってきた魔石… じゃないんですか?」


「残念、それは実績だね。 ハンターのランクは、実力、実績、鑑定結果、面談による人柄で判断されるんだ。 実力っていうのはね、模擬戦、評判、魔石から読み取る履歴なんかから判断するんだ。 「上級鑑定」を使えるやつはその魔石をだれがどうやって手に入れたかを読み取ることができる。 そうやってハンターたちの実力を把握してるんだよ。」


「すごいですね… 鑑定って上級だとそこまでわかるんですか…」


「そうだよー 上級まで使えると協会への就職にかーーーーーなり有利になるし出世できるからそこまで上げてからの就職をおすすめかな。

 実績は協会にもたらした利益。 いや、わかるよ? そんな渋い顔になるのはさ。 でも協会も資金源が必要なわけよ。そこはご理解をお願いします。

 んで、鑑定結果ね。 これは鑑定でステータスを読み取ってそのランクで十分やっていけそうかの判断材料になる。 スキルの構成とかレベルとかだね。 あと称号も確認されるよ。 悪い称号がついてたら警戒しなきゃいけないからその後必ず面談されるね。」


「気を付けろよ。 勝手に鑑定したり、昇格のための鑑定を受けてもその情報を流すやつはいくらでもいるから。」


「その節は本当に申し訳ない。」


「こっちではそういうのがないことを願うよ。」


「うん?」


「それで、だ。 実力も実績も鑑定結果も問題なければ昇格できるわけだけど、鑑定はCランクから、面談はCランクの一部とBランクからは必須になるんだよ。人格に問題があってもCランク止まりならどうにでもできるから。 問題はABランクだ。 こいつらは人数も少ないけどかなりの実績がある。 なんせ日本の魔石の半分以上はBランク以上が稼いでくれてるからね。 Bランクとして実績を積んで、実力も十分であればわりとすんなりAランクになれる。 そうするとまぁ調子に乗るわけだ。

 Aランクが起こす問題ってのはほんと始末が大変でね。 そもそも捕まえるのも大変。 強すぎるからね。 だから面談をしっかりやろうって上に言ってもハンターがゴネたり、ストライキでもしたらどうするって取り合ってくれないわけよ。

 それにAランクハンターが犯罪を犯しても逆恨みされたら怖いし、警察に逮捕できるだけの能力はないしで被害者は基本的に泣き寝入りするしかないんだ。 そんなわけで美夏ちゃんには立派なちゃんとした上級ハンターになってほしいわけよ。」


「あ… はい。 そんな悪いことしませんよ…?」


「うん、だといいんだけどね。 こいつってさ、学校ではどうか知らないけどハンターとしてはぶっちゃけかなりモテるんだわ。 んで何度も修羅場ってる。」


「おい! 言い方!!」


「こいつを確保しようとまぁ色々やってくれたわけよ。 そしたらこいつもこいつで返り討ちにするんだ。 上級ハンター同士のガチバトルって一般人からしたら怪獣大戦争みたいなもんよ?」


「神薙くんってそんなに強いんですか…?」


「あーー… そこらへんはお姉さんに聞いてみたらいいと思うな。 だからその殺気を抑えて? ね? ほんと、お願い!」


「俺のことはどうでもいい。 鑑定してもさっき見せたものしか見えねぇからな。 でもお前は違う。 お前のスキルや称号がバレると勧誘はすごいことになる。 さっきも言ったけど薬や人質なんてことも平気でやるからな? 本気で行きたいとこが見つかったなら止めないけど無理やりなら全力で守るから。」


「うん… お願いします…」


「ほーらーー! まーたそうやって落とすー! 姉妹が別の意味でも姉妹になる日も近っ!? ごめんて… 言い過ぎたわ。」


「あぁ。」


「んじゃ最後に、ダンジョンにでてくるモンスターってさ、同じ種類ってことがままあるのよ。 ぶっちゃけると甲種ダンジョンにもゴブリンの出るところはある。 同じ種類のモンスターだからって侮らないようにね? 丁種から丙種って感じで上のダンジョンに行ってすぐにそれに気づかずにやられるハンターってめっちゃ多いから。

 ほんとそれには気を付けて。 遠距離で様子見してからにしなね。」





作者です

9/1まで毎日18時に最新話を更新しますので

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