006 これならBランクまではすぐじゃね?
「おつかれ~」
「おう、零司! よく来てくれた! ちょっと手が足りねぇダンジョンがあんだけど行けるか? って、なんだよ! そういうことか! 俺に用事って彼女の紹介か? めっちゃかわいいじゃねぇか! ………っておい! この子あいつに似てねぇか…?」
「相変わらずテンション高ぇな… そういうんじゃねぇよ。
でもやっぱりそう思うか?」
この軽い男が平坂。 この支部の副支部長で俺の兄貴分だ。 そして日本に3人しかいない「超級鑑定」のスキルを持っている。 こいつと出会ったおかげで今の俺があるんだが、俺のおかげでこいつの今の地位があるとも言える。 西日本にいたころからの長い付き合いなんだ。
「おう。 そっくりってほどじゃねぇがよく似てる。」
「あの… なんのお話しでしょうか…?」
「あぁ、悪いな。 とあるAランクハンターに君が似てるって話しだ。」
「そうなんですか? ちなみにその人って?」
「「冬の女王」って言われてる、井上美冬ってやつだ。 かなり強ぇしいいやつなんだが、どうもクールというか愛想がねぇんだよ。 まぁそこがいいって狙ってるやつも多いけどな!」
「あぁ…… それ私の姉です……」
「はぁ!? マジかよ! ってことは「常春の賢者」の井上美春も…?」
「はい… それも姉ですね… 申し遅れました、井上美夏といいます。 美春と美冬の妹になります… 美春姉さんとは神薙くんはさっき会いましたよ?」
「あぁ! あのひとか! 似てるしお前との距離感が近いなとは思ったけど姉妹だったんだな。 納得した。」
養護教諭が有名なハンターでこいつの姉だとはね。 でもそういうことなら納得だな。
「さて、場も暖まったところで用件を聞こうか。」
「あぁ、ちょっと学校でトラブってな。 工藤ってやつがなにかやらかすかもしれねぇんだ。」
「工藤? お前が気にするようなやつで工藤って言えば… あぁ~… 炎の剣のサブリーダーが工藤だったな。」
「たぶんそいつ。 それの息子がウザ絡みしてきててな、そろそろ潰すわ。 父親が出てきたらそっちも潰すから協会での後処理よろしくな。」
「おいおい待て待て! 炎の剣はほんとめんどくせぇんだって! ご機嫌を損ねたら厄介だし、何かにつけパーティー全員でゴネて来るから始末が悪いんだ。」
「それをどうにかするのが協会の仕事だろ? 俺は自己防衛のためにちょーっとやりすぎて再起不能にするだけだって。」
「お前の自己防衛はやべぇんだって、2年前も烈風騎士団を潰したのお前だろ?」
「あれこそ仕方ねぇよ。 ゆかり姉と美冬を拉致ろうとしてたんだぞ。 根切りしなかっただけ感謝してほしいね。」
「はぁ~ ほんとにやりかねねぇから怖ぇよ…」
ゆかり姉っていうのは平坂の妹の平坂ゆかりさん。 俺がしばらくパーティーを組んでいた1人だ。
当時は美冬もゆかり姉もBランクなりたてくらいでその2人をAランクパーティーが…
容姿はものすごくいいからモテるのは仕方ないとしても拉致は…ねぇ?
Aランクで実力も実績もある烈風騎士団がそういうやつらっていう噂はあったけど実績があるから協会としても注意以上はできなかった。 それを… まぁ端的にいうと俺が1人で潰したんだ。
烈風のやつらもそうだし、今回の工藤の父親のパーティーもそうだけどAランクってちょっと頭がおかしいやつが多すぎねぇ?
「それで、昔話もいいけど今回の用事ってなによ? 俺に言うってことはよっぽどのことか?」
「そうそう、それね。 こいつと表の俺のランクをとりあえずDまで上げておいてくんね?」
「え……? 私がDランク?」
「あん? お前は抑えとくんじゃなかったん? それに美夏ちゃんだっけ? この子は実力も実績も足りてるん?」
「俺の方は実家がめんどくせぇからって理由なのわかってるだろ? 遠くの実家のことより目の前のやつらをどうにかしねぇとだ。 このままだと俺はいいにしてもこいつが何かされる。 予定よりちょっと早いけどBランク程度までは上げることにするわ。」
「Bまでか… だったらゼロはこのままでいいん?」
「そりゃそうするしかねぇよ。 いきなり消えるとかFランクの高校生が正体でしたって公開もできねぇだろ? これでもちゃーんと協会のことも考えてんだぜ?」
「それはどうも。 いつも助かってんよ。 お前のことはわかったけどこの子どうするよ? Eランクなりたてだろ?」
「そこは俺が引っ張ればどうにでもなる。 井上、悪いんだけど平坂に鑑定受けてもらえるか? これでも口は固いやつだからおもらしはしねぇはず。」
「あ… はい… 神薙くんがいいなら…」
「んじゃちょっと失礼しまーす… ん? は? おいおいおい! おいおいおいおい!! ちょっと零司くん? れーいーじーくーーーーん!?」
「な? これならBランクまではすぐじゃね?」
「あ… あぁ… そうだな… それより獲得競争がヤバそうなんだが?」
「だよな? 今すぐでもCランク、ちょっと成長すればAランクのパーティーからも声がかかるレベルだよな。 んでそういうやつらほど手段を選ばねぇ。」
「だな。 ってことは?」
「あぁ、俺とパーティー組むしかねぇよ。 ああいうやつらはすぐ薬漬けとかするからな。 井上には悪いんだけど、俺とパーティー組んでくれるか? そうすりゃ守れる可能性はぐっと上がる。」
「はい… お願いします…」
「おけ、んじゃこっちで処理しとくわ。 でも実績が足りてねぇんだよな。 そこんとこどうする?」
「井上は個人Eランクだろ? Fの俺とパーティー組んで丙種に入れる資格はあるわけよ。 んで、そこで実績出せばいいんじゃね?」
「そうだな… それしかなさそうだ。」
「んじゃ、ちょっと丙種行ってくるわ。 軽く「狼の森」でいいか?」
「ほんとお前には助けられるな。」
作者です
9/1まで毎日18時に最新話を更新しますので
ご期待に沿えるよう頑張ります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます