004 (ST回)だから私はあっちには行かない。
「これ? 神薙くんのステータスよね?」
「そうだよ。」
ステータスっていうのは一般的に信頼している相手にしか見せないもので、初めて目覚めたときに親なりに見せた後は基本的に秘匿し、あとは恋人や結婚相手などに見せるくらいで他人のものを見る機会はなかなかないものとなる。
しかし、協会ではランクの認定などの関係もありレアスキルである「鑑定」持ちの職員がランクアップ希望者を鑑定し、実力を判断することもある。
「私に見せてくれたってことは… あの… その…」
「そういうのじゃなくて! 俺が悪し様に言われる理由を見せるためだ。」
「あ… そう… えっと… あの… ジョブとスキルが…?」
そう、俺のステータスを見たやつは同じ反応をする。
名前 神薙 零司
レベル 3
ジョブ -
スキル -
このように俺のステータスは操作されている。 自分でやってるんならよかったんだけど、物心がついた3歳くらいでステータスを見られるようになったときから勝手に隠蔽されている。
俺はこの学園にいるやつらが13~15歳でステータスに目覚めるところを3歳で目覚めた。 親族は喜んだが、内容はこれだ。(当時はレベル1だったけどな) 一瞬で喚起と落胆を味わったことで家に居場所を失った。
ちなみに本来のステータスはこうだ。
名前 神薙 零司
レベル 3(45 ※隠蔽中)
ジョブ -(魔導士、剣士、侍 ※ 隠蔽中)
スキル -(魔導の種子、魔導の萌芽、剣術、剣導、刀術、刀導、情報管理(上級鑑定・上級隠蔽・ステータス操作)、偽装 ※隠蔽中)
(称号 竜殺し、巨人殺し、不死者殺し、討伐者 ※隠蔽中)
これは本人と、日本に3人しかいない「超級鑑定」のスキル持ちにしか見ることができない。 それだけ俺の隠蔽は高性能らしいが少しも嬉しくないね。
「こういうステータスだから役立たず扱いでな。 お前も俺なんかに関わるよりく…く…くうどう?なんかにすり寄った方が賢いぞ?」
「ぷっ… 空洞って… あははははははは ちょっと… もうダメ! あっはははははははっ」
「………ふぅ お待たせしました、それは工藤くんのことよね?」
…こいつはたっぷり3分ほど笑い続けていきなり切り替えてきやがった。
「たぶんそれ… そいつの方が俺より取り入るメリットが多いだろ?」
「そんなことない! 神薙くんは知らないかもしれないけどあの人は評判悪いのよ。 親の地位で偉そうだし何より女性関係で… 私のこともいやらしい目で見てくるしね…
そうだ! 私だけが見るのも失礼なので私のも見て!」
そういって自分のステータスを俺に見せてくる。
名前 井上 美香
レベル 9
ジョブ 神官7、魔法士2
スキル 魔法(回復6、聖4、水3)、短剣術7、看破
称号 聖女見習い
おいおいおい… これはすごくないか…?
たしかこいつは最近Eランクになったんだよな? ランクにはだいたいのレベル帯ってのがあって、そのレベルにならないと昇格は難しいってことになってる。 これはそのランクのダンジョンでの狩りで得られる経験値と関係があって、下の狩場では経験値効率が悪くなるってことだ。 明文化されたルールじゃないけど、だいたいにはなるがFランク1~5、Eランク6~10、Dランク11~15。
Cランク以上は乙ダンジョンに入るからレベルより実績で見られるようになるんだ。 それでこいつはレベル9。 レベル的にはもうEランクの上位でDランクが見える位置まで来ている。 それにこの回復魔法のレベルだ。 6って言ったら回復役のハンターとして十分に一人前だ。 DランクやCランクにいてもいいレベル。 それが本人のレベルは9。 ってことは伸びしろがまだまだあると言うことを意味している。
それに…
「気づいた? 私は「看破」のスキルである程度はその人の狙っていることとか見えてしまうの。 だから工藤くんとか友達の2人のこともわかってるわ。 わかったうえで放っておけなくて神薙くんのところに来たの。」
「そりゃありがたいけどこの後はどうすんだ?」
「2人は私を連れて工藤くんのところに合流しようとすると思うわ。 あそこは3人だし、私たちも3人で合計6人。 パーティーとして悪くない人数になるしね。」
「だろうな。 それに回復役がいると安定感が増すし向こうは助かるだろうね。」
「だから私はあっちには行かない。」
「は? 仲間外れにされないと思うってさっき言ったばっかりで何言ってるんだ?」
「当たり前じゃない! あいつらのところに行ったらあいつらに回復魔法を使うのよ? 気持ち悪い… 絶対ムリ! それに下心しかないのが見え見えなのよ? このあとすぐにでもパーティー脱退の手続きをするわ!」
こいつが男嫌いってのはほんとなんだな。 ここまで嫌がるってのはよっぽどだ。
「んじゃ早退するか? こうなったのも俺のせいだし協会には付き添うぞ?」
火種は以前からあったのかもしれない。
井上の男嫌いは今に始まったことじゃないだろうしな。
どれでもパーティーを脱退するのは俺の件がなければもう少し先で、もう少し穏やかだったかもしれない。
俺を助けようとしたことでこんなことになってしまったんだからできる手助けはしてもおかしくはないよな?
作者です
9/1まで毎日18時に最新話を更新しますので
ご期待に沿えるよう頑張ります!
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