世界
この国は、大地の果てを迎えずどこまでも広がっている。その広大さ故、隣国という概念を意識することは希薄だ。
帝国の面積は、地球の表面積十個分に当たり、世界最大の面積を持つロシア連邦約三十個分に相当する。
多種多様な魔法、超能力のような天賦の才『天覚』、卓越し洗練された戦闘術、失われたオーバーテクノロジー、地球の生態系を上回る遥かに緻密な生態系、人間以外の多数の知的生命体……。
人間でさえ、髪の色だけでおよそ千種類近い区分が可能なのだ。この世界は、人間の創造力によって編み出された天元の事象が全て存在する世界。
それこそがこの、想像上の
実際には格差も大きく、魔獣に襲われ死ぬ危険性もある。間違いなく、日本で暮らす我々の方が明らかに豊かな暮らしを享受しているだろう。
それでも、自分の望むように生きて、自分の夢が叶えられる。時に、私たちの人生よりも充実した人もいると思われる。
しかし統治をする貴族は大変だ。なんせこれだけ広い国土だから、貴族ごとに割り当てられる土地も多い。また爵位による階級差が激しいからこそ、魔法を駆使し工夫して治めなければならないのである。
国の重役を務める高位の貴族ともなれば、国の各地から情報を集めることは必須となる。当然だが、自分たちの力だけで集めるのは限度がある。
そこで高位の貴族を中心に、自分の家臣や自らの私生児で構成された特殊な私兵集団を運用するようになった。
彼らは諜報活動を中心に、重要人物の護衛、防諜、その他様々な雑務を行う組織として編成され、時代が下ってもなおその役目は引き継がれる。
存在が公的に認められはしない。国家の記録上は存在しない。あくまで、各貴族の有する手駒として認識され、一生その貴族に仕えることを要求される。
それが、彼ら。
貴族の有した数多の『天覚』を薄く引き継ぎ、ただ主の命のみを叶えるために命を投げる存在が、
たしかに、この国に存在したのだ。
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