第2話 召喚の理由

天使と悪魔との共同生活が始まり早くも数日が過ぎた。なんとも言えないがそこそこまずまずの生活をしている。割と平和だ。

天使と悪魔がいるのだから当然仲が悪く最悪の日常になると思っていた。

なると思っていたが実際には違っていた。

この2人は仲が良く…というか悪魔のほうが天使に懐いているみたいで、天使の言うことなら割と何でも聞く。まるで犬みたいだ。


それはそうと、お父さんとお母さんはいつ帰って来るんだろう…

「ねぇ、お父さんとお母さんいつ帰ってくるとか言ってなかった?」

天使と悪魔に問いかける。

「それは聞いていないな」

「しばらく海外に行くから娘をよろしく〜ってさ」

「そっか〜…やっぱりお仕事なのかなぁ…。それにしても置いていかないでも良いのに〜…」

「僕は仕事ではないと思うけどなぁ」

悪魔がいう。


「だってめちゃくちゃに浮かれた格好していたし。それにやった!!これで心置きなく遊びに行けるぞ〜!!ってはしゃいでたから」

「!?」

どういうこと!?完全に海外旅行でエンジョイする気満々ってこと!?大事な一人娘を家に放置して!?こんな変な天使と悪魔に世話まで任せて!


いやいやいや、一旦落ち着こう。今のは悪魔の発言だ。悪魔の発言なのだから嘘に決まってる。

「そ、そんなこと…!そんなことないよね!天使くん!!悪魔くんの言うことなんて嘘だよね!」

天使に助けを求める。

「残念ながら彼の言っていることは本当だ。君の両親は海外旅行を満喫させるために私たちを召喚した。君の世話をさせるためだ」

「嘘…」

嘘であって欲しかった。本当に。酷すぎる。

「本当に酷いよな。自分の子どもを置いていくなんてさ」

「あまりにも、あまりにもだったから私たちも君の世話を引き受けてしまったんだよ」


あまりにも酷すぎて同情して引き受けてくれたらしい。あまりにも辛すぎる現実だが受け入れるしかない。私の両親がこんなにクソ野郎だったなんて…。


「というかさ、何で2人を召喚…?出来たんだろう」

「本当に何でだろうな?僕たちもびっくりだよ。

別に召喚師の一族とかでもないだろ?」

「ないない、そんな漫画みたいな…。いや今のこの状態も漫画みたいだけど…。うちは普通の一般家庭だよ、たぶん」

もう既に召喚とかしてるし普通の一般家庭なのかどうか分からないけど、この間までは一般家庭だったはずだ。そう、そのはず……。そうあって欲しい。

「ではもう、君の両親は特殊な趣味をもつ人間だったと言うことで良いのではないか?」

「嫌すぎるけど…。そういうことにしとこうかな」


もう考えるのがめんどくさい。いや、考えてはいけないと思う。これ以上両親にドン引きしたくないし。

天使と悪魔がいい人(?)で良かった。それだけで良しとする事にした。

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