天使と悪魔と人間と
橘小春
第1話 天使と悪魔
放課後。帰宅部の彩は家に直行した。
「ただいま〜!!!!」
元気良く玄関のドアを開ける。
「「おかえり」」
聞こえて来る2つの声。
今日はお父さんもお母さんも、もう帰って来てるんだ!と思ったが、何かおかしい。声若くない?しかも両方男性の声じゃなかった?
「え…誰?って、は!?」
何と彩の目の前には天使と悪魔がいたのだ!!
いや、本当に天使と悪魔なのかは分からないが。
天使のように背中に白い羽根の翼をつけている金髪の少年と、悪魔のように頭にツノを生やし背中に黒いコウモリの羽根のような翼をつけている赤髪の少年。この二人が帰ってきた彩を出迎えた。
「(コスプレ…!?それにしてもクオリティ高くないっ!?いやそうじゃなくて!!)」
突然の出来事に混乱する彩。
すると赤髪の少年が、
「エンジェル〜、この人間フリーズしちゃたよ。どうする?」
と金髪の少年の方に話しかける。
「叩けば直るんじゃないか?」
と金髪の少年。
「私は昭和の家電かっ!!」
思わずツッコんでしまった。しかし二人はキョトンとしている。
「い、いやそうでなくて…!あなた達、一体誰!?」
「天使です」
「悪魔です」
「いやいやいや、おかしいでしょ!もう一度聞くからちゃんと答えてください。あなた達は一体誰ですか」
「天使です」
「悪魔です」
「えぇ〜…もしかして本物ぉ…?」
「そう言っているのだが…」
「変な人間だな〜」
どうやらこの二人は本物の天使と悪魔らしい。認めたくないが認めないといけないみたいだ。
「えっと…お二人が本物の天使と悪魔だとして、何で私の家にいるのでしょうか」
「お前の両親に召喚されたんだよ」
と悪魔の方。
召喚!?私のお父さんとお母さんが!?どういうこと!?家普通の家庭だったよね!?意味分からなすぎるんだけど!!
「そういえば、私のお父さんとお母さんは!?あなた達を召喚したならいるはずだよね!?どこにいるの!?」
「まぁ落ち着きなさい人の子よ」
「これが落ち着いていられるか〜!!全然出てこないし…もしかしてあなた達が!?」
「安心しなよ、ちゃんと無事だから」
「本当に!?じゃあ何で居ないの?」
「君のご両親は、海外に行かれた」
「僕たちにお前の世話をまかせてな」
「余計どういうこと!?」
私を置いて二人は海外に!?何で!?急に海外赴任が決まったとか!?いやありえないでしょ!!
というかこの天使と悪魔が私の世話役!?
「意味分からなすぎて頭が痛くなってきた…」
「そうだろうな、僕たちもびっくりしてるし」
「いずれ慣れるだろう、それまでの辛抱だ人の子よ」
こうして天使と悪魔に慰められながら謎の共同生活がスタートした。
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