第25話 領地改革第二弾
ーー 温泉を掘ろう
今回伯爵領となった我がカスタード領、新しい街での生活にすっかり慣れた領民たち。
僕は代官のエステール男爵と情報交換を行う
「これが今年の利益です、納税を免除してこれだけの利益が出ております。」
「良いね、この調子で宜しく頼むよ。」
と言うと
「え!」
と声を漏らす男爵
「聞いてなかったのかな、僕の臣下として男爵を雇うと言う話だ。出来れば片腕として財務をこなして欲しいのだが、どうかな?」
と言えば、暫し考えていた男爵が
「この身を尽くしお仕えいたします。」
と応じてくれた、良かった。
「それではもう一つ飛地で子爵領をもらったんだ。馬車で2日の距離だ、そこの財務も合わせておながいするよ。」
と言うと
「確かに承りました、してそこの代官は?」
「カミュだよ。そこを商業都市にしたいそうだ、大変だろうが宜しくね。」
そう、カミュは法衣とはいえ子爵になっていたので子爵領を任せて貴族商人として生きるように伝えたのだった。
そのような引き継ぎを終えたのち僕は早速第二回の領地改革に臨むのだった。
まず一つ目は、旧市街地の撤去と農地化だ。
建物を砂に変えると僕は魔力を込めながら
「ガイアリターン」
と言うと土魔法を発動した、この魔法は荒地を栄養豊かな農地に変える魔法で莫大な魔力を消費する魔法だ。
しかし今の僕であれば、1日で街一つの広さを農地に変えられる。
10日もすると街や村の周辺に豊かな農地が完成した。
すると領民の4割が
「農業をさせてください。」
ともう仕込んできた、元農家の人はまた農業がしたいのだろう。
「それでは区割りをして貸し出しますので頑張ってください。」
と許可を与え農地の半分が農家の手に渡った、残った農地に他所からの移民を募ると予想以上の応募があった。
半分ほどを抽選で入植させ、足りない農地はあらためて作り上げた。
次に手を出したのが、温泉だ。
魔導王国の温泉地がとても良かったことから、掘削をすることにした。
当然土魔法の改良版の魔法だ。
「掘削」
と言う言葉と共にドンドン掘られる穴、掘りながら周囲を鉄館で補強していく。
1000mほど掘ったところで
「お湯が吹き出したぞー」
手伝っていた職人が叫んだ、かなりの温度と湯量だ。
「成功ですね。」
僕はそう言うと温泉宿の設計図を渡しながら
「あとは任せますよ。」
「もちろんでさー。任してください領主様。」
職人たちが大きく頷いた。
このあと3ヶ月で完成した時には思わず感激したよ。
ーー 観光地化を促進しよう
その後も観光地として必要と思われる
・ 道路
・ 宿
・ 料理屋
・ お土産屋
・ 温泉
・ サウナ
・ 美容師・施術師
・ 化粧品類
・ 領地内外への宣伝
を積極的に行った。
サウナは等価交換召喚で5・6人用のサウナ多数召喚し設置、化粧品類も当座は地球弾の有名どころで良いだろうそれに僕特製の魔力水を添加するのだ。
美容師・背術師は地球の有名どころの養成マニュアルを召喚してそれを元に育成をお願いした。
当然美容機械も召喚するとこちらで使える仕様に変わっていた。
完成までに8ヶ月ほどかかったが中々の出来で、先ずはここで働く人やお世話になった人をもてなすことにした。
「シャドー伯爵は経営や政の才もかなりのもののようだ。」
辺境伯が同じサウナの一室でしみじみと語る。
「うーっ、この冷水がまた気持ちが良いの。」
サウナにはまったようだ、一つ辺境伯の屋敷に届けておこう。
ー カレン side
婚約が決まった後も色んな事が有ったが充実した経験だった、しかも彼が領地持ちの伯爵になり
「一大温泉郷の観光地に変えてみせる。」
と言いながら作り上げた施設は本当に驚きだった。
どうすればあのような発想が・・・それにあのマニュアルという物。
彼のはまだまだ秘密が多そうだと思い覚悟を再度決め直したわ。
でもあの美容の数々、お母様と毎週のように通っているけど良いわー。
ーー 卒業後1年
僕も11歳になり辺境伯から
「来年は結婚の年だから近いうちに娘を君の所に向かわせるよ。」
と声をかけられた、どう意味かというと。
貴族は婚約をした後結婚までの期間に同棲するのが慣わしなのだ、そこでどうしても合わないとかなれば婚約を飽き性しても良いことになっている。
同棲といっても同じ屋根の下で暮らすというだけでただの同居人みたいなものだ。
と言うことは王女様も同じなのか?
伯爵領の観光客の入りはそれは凄いものだった、かなり多めに予想して準備していたがそれを上回る人手で、暫くは休みがなかったほどだ。
3ヶ月ほどして落ち着いたので、従業員に休みとボーナスを与えて慰労していた。
そんな時にカレンが伯爵領に荷物を持ってやって来た。
「やあカレンと疲れ、今忙しいからあまり相手してあげられないけど我慢してくれ。」
というと
「分かっているわ。お母様もついて来ているから温泉と美容三昧をするわ。」
と言いながら与えられた部屋に荷物とメイドを連れて行った。
ー さらに3ヶ月後
王家から通知が来た
「何々・・7日後視察に来るので宜しく・・・」
こりゃ大変だ、国王自ら視察に来るみたいだ。
僕は国王を宿泊させる別館を5日で完成させた、調度品は召喚を使い何とか当日の朝に完成させたのだった。
「国王陛下態々お越し頂き身に余る光栄です。」
と最高の臣下の礼をとりながらもてなし始めた。
「まあ視察というのは名目だ、ミルフィーユを連れて参った相手をしてくれればワシらは勝手に楽しむよ。」
と言われ、ミルフィーユ王女殿下をエスコーよすることに全力を挙げたのだった。
「シャドー様このような施設は魔導王国のものと違うようですがどこか手本があるのですか?」
「手本・・まあ僕の想像力と答えておきます。」
「想像力・・それにしては完成された接客や施設の感じが・・・また今度お話しくださいね。」
「・・・わかりました・・いつかきっと。」
国王陛下はお妃と共に大いに温泉を楽しんでいただき、ご機嫌なまま王都へお帰りになったが王女殿下はそのまま残られた。
「ミルフィーユ王女殿下、このまま我が屋敷にて過ごされるということでよろしいのでしょうか?」
「はいその通りです。既にカレン様は同居中と聞いております、私も宜しくお願いします。」
と頭を下げられた。
僕は11歳で既に棺桶二つに足を踏み込んでいる感じを感じた。
決してハーレムというウハウハな感じは感じなかった。
ーー 使い魔たちとの交流と棲家
僕の臣下に
・ カミュ子爵
・ チカ男爵
が加わり、元からいるブルーにアスカそれと婚約者のカレンとミルフィーユが家族となった。
そのためそれぞれが使役する使い魔たちの棲家を用意する必要ができた、カミュは新たな領主代行としてそこで使い魔たちと過ごす。
僕やチカとブルーの使い魔を人目から隠す意味合いもあって、領地内に秘密の屋敷を作ることにした。
精霊は姿を消してカレンのそばにいられるが、他の使い魔たちは人化や小型化ができれば良いのだが・・・そういえば空間魔法に特別な魔法がると書いてあったな・・読み直してみよう。
ーー 異空間と言う自分だけの空間
魔導王国で写して来た古代魔法に「自分だけの空間を作る」と言うものがあった。
読み直してみると空間魔法と次元魔法それに時空魔法を習得しているもののみが習得可能な魔法と書かれたある。
理論を頭に入れて
「異空間」
と唱えると、目の前に異次元の入り口が現れた。
慎重に手を差し入れるが変化はない、今度はアップルを一つ投げ入れる変化がないようだが見えないのでわからない。
次に生きたウサギを放り込む、変化はない。
意を決して頭を突き入れてみると
「あれ!ここは別の場所に通じてるのか?」
呟く僕は体ごと入ってみた、そこはただただ広い空間だった。
そこにアップルを齧るウサギが居た、問題ないようだな。
転移を発動しようとしたが発動しなかった、元の世界とは繋がっていないようだ。
と言うことは完全に別空間と言うことになる。
ここに使い魔たちを置いておけば良いかもしれないが、広いな。
何かここでもできないだろうかと考え始めた。
創造魔法をその中で構築し始めると・・・驚いた。
「自分で作った空間だから魔法の構築が異常にしやすく効果が大きい。」
思わずそう呟いた、何故って。
ちょっとした築山を造ろうとしたら山脈が現れたのだ、それなら大きな池を創造すれば・・・
「湖いや海ができた。嘘だろ。」
その後面白くなり山や川に森や林に草原を次々に創造していくが空間が果てしなく終わりが見えない。
「今日はこの辺でいいだろう、あれ!ウサギが居なくなった。まあいいか餌になるものでも置いておくか」
と思い果樹や葉野菜を畑を作り上低空間から外に出た。
すると時間が経過していないことに気づいた
「は?時間経過も僕が設定しなければいけないのか?今度再考察しておこう。」
と独り言を言いながら僕はその日の仕事をこなしたのだった。
ああ疲れた。
ーー 酒作りが最盛期!
僕が辺境伯の領地で始めていた酒造りは今でも稼働しているが、僕の領地にも設備を大々的に作り始めた。
その建設途中に多くの移民がというかドワーフが大挙して押し寄せて来た。
「旦那!酒造りに俺たちも参加させてくれ!」
心の悲鳴が聞こえるような申し出であった。
「ああ、管理や製造の手伝いをしてもらえればいくらでも人手は欲しいから・・・で、何人ですか?」
「我ら105人でございます。酒さえあれば給料は要らねえです。」
天晴れな酒呑たちだ、ドワーフと言えば鍛治も出来るのではないか?
「酒造り以外はないができます?」
「酒以外ですか?それなら少々鍛治を致します者と木工をするものがおります。」
「それは都合がいい、その辺りも協力をお願いしますよ、美味しい酒のために。」
「美味しいですか!分かりました全力で当たります。」
と言うことで、酒造りの規模を急遽5倍に増加して力を入れることにした。
この辺りの酒は
・ ぬるいく雑味のあるエール
・ 酒精の低いワインや蜂蜜酒
がほとんどで、40度を超えるようなアルコールは存在していなかった。
そこで僕は50度の焼酎に60度のウイスキーそれとクリアーなビールを製造することにした。
当然既存のエールやワインなども作っている。
「この樽は時空倉庫に入れてくれ!」
そう言いながら長期熟成用の倉庫に入れた樽に1日1年の時間を加速させる。
一月も保管すれば30年ものの出来上がりだ。
105人のドワーフに樽100個を給与代わりに渡したらその感謝の程はすごかったね。
ー ドワーフ ダンガン side
我らはドワーフの中でも酒造りにかけては右に出るものはないと自負している集団である。
以前辺境伯の領地で新しく美味い酒が流通し始めたと聞きつけて酒を購入して驚いた。
これ程の酒をいつから作っていたのかと、疑わずにはいられなかった。
そしての酒造機械を作った男が新たに自分の領地で酒造りをしそうだと言う情報を得たのだ。
我らこの機会に参加せずにはいられないとばかりに、世を徹して伯爵領に来たのだすると丁度酒蔵などを作っていると耳にした。
すぐさまにその現場に行きその男を見て愕然とした、子供なのだ・・確かに成人したと言えるかもしれないがまだ酒の味もわからぬお子様なのだ。
本当にこの子供があの酒を作ったのか?おかしいだろう、あの酒は長い年月をゆっくりと熟成された味がしたのだ。
あの子供の親どころか爺さんが作り出したような。
しかしそんな考えもすぐに吹き飛んでしまう事が起きた、あの子供は我ら以上に酒のことについて詳しいのだ。
大規模な酒蔵を作り上げて大きな魔道具で種類別の酒が日に数十樽もでき始めるのだ、しかもその樽を魔法で熟成するのだ。
おおよそ3ヶ月で一つの切りがついたと言うことで、我らに1人一樽の褒美が渡された。
「これが酒精60度のウイスキーしかも30年熟成したもの・・・」
一口口に含むと、尖った味ではなくまろやかでいて芳醇な香りと味わいがあった。
「美味すぎる、これ以外の酒は口にできん!」
と思わず口にしたほどだった。
流石に60度はキツかった、普段なら一晩で一樽飲み干す我らであるが誰も飲み干す事ができず潰れていた、おかげで次の日朝から残りの酒を飲む事ができたのだが。
本当にあの子共いやあの男は酒の神に愛された男である、今後もこの土地で新たな酒を作っていきたい。
しかし他の酒も今度くださらないだろうか・・・。
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