しどろもどろ

穴口はとぼとぼと事務所に戻って来た。

意外と近くのビルだったのだ。


「はぁー・・・・・」


予想外の出費に頭を抱える穴口。


「マジ如何しよう・・・」


貯えが有るが流石に30万は凹む。

30万を失って平気でいられる人間は頭が可笑しいか

金捨てたい病患者だろう。


PLLLLLL


「うん?」


聞き覚えの無い着信音が響く。

ポケットを探ると依頼人からのスマホの着信である。

着信者には15と記載されていた。

これはこのスマホに登録されている依頼人の名前である。


「はい、 もしもし」

『進捗を尋ねたい』


依頼人の様だ。


「・・・・・まず小学の高校に向かったが如何やら豚の解体をして

教室を騒がせたらしい」

『豚の解体?』

「前にも似た様な事をしたらしい、 鶏をしめたとか」

『そうか、 他には?』

「取り巻きの2人が重傷らしい、 1人はお迎えが近い」

『小学についての情報は?』


依頼人はイライラしている様だ。


「まだ調査は始まったばっかりだ」

『急げよ、 こっちは金払ってるんだから』

「・・・・・」


穴口は黙った。


「金を払っていると言うがね、 小学が通っていた高校、 タダじゃ動かなかった

お陰で既に前金は全部使って自腹を切っている」

『な、 何だと!?』


依頼人は驚いた。

口から出まかせであるが依頼人にムカついたのだ。


「悪いけどねもう少し経費を貰わないと割に合わないんだよね」

『契約と話が違う!!』

「こっちもここまで経費が掛かるとは予想外なんだよね」

『あ、 あの学校は金持ちの学校だろう!? ならば金を要求するなんて!!』

「そりゃあ何処に金を使ったかは言えないけどねぇ・・・

学校金持ちでも個人は金持ちじゃないのよ

悪いけどもっと経費貰わないと話にならない」

これ以上は出せない・・・・・・・・・悪いが』

これ以上は出せない・・・・・・・・・? それはどういう事だ?」

『如何言う事って・・・何の事だ?』

「報酬1000万だろう? そこから前借は出来ないのか?」

『で、 出来ない!!』

「何故だ? 1000万払える余裕が有るのなら」


ブチッ、 と電話が切れたのだった。


「・・・・・」


穴口は不審に思い世話になっている企業会長にメールを送った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


To:会長

From:穴口

件名:確認事項


会長、 お世話になっております穴口です。

昨日来た依頼人なのですが経費が足らずにもっと欲しいと言ったのですが

断られました、 報酬に1000万支払うと言って来たのに

経費を支払えないのは不審に思いましたので御通達しました。

御返信お待ちしております。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


「送信、 っと」

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