巨乳女騎士を添えて~空飛ぶ船もあるよっ!
◇ ◇ ◇
「なあなあ、乳山! みてみて!」
「ん? なんだ? そんなに――うわああああ!!」
俺は自分の顔を、転移の指輪で手元に持ってきて小脇に挟み込み、腰に手を当てると威張ったようなポーズでそこに立っていた。
「デュラハン」
「おま、お前ェ! 大丈夫なのか!? というかどうなっているんだ!? オエッ…なんかそれ、ものすごい違和感ある…」
「キャッキャッ、そんなに驚いちゃって! 驚いちゃって! キャッキャッ」
いやここまでの反応が帰ってくるとは思ってなかった。むしろ、何を遊んでいる、と、呆れられるかと思っていたが。
「だ、大丈夫だよ…。指輪の力で遊んでみただけだ」
「あ、ああ、そうか指輪か、それにしてもこれ、首元とかはどうなっている…オエエ、駄目だ、グロイ感じを想像してしまって見れなくなった、戻せ、今すぐ」
……。
本題に戻ろう。
一番手前には見張りが二人。
奥には大勢の魔族が、乳山の乗ってきたという帆船で何かの積み荷の検査や、何らかの確認をしており、忙しそうに指示を飛ばす、その中でひと際派手な恰好をしたバビルという、ミノタウロスの顔にオーガの体をし背中に羽を生やした大男が、たまに自分の前を通る部下の尻を撫でたりしていた。
つまり、のこのことやってきた、この人間たちの船を、自分たちの物にしようという魂胆だろう。
船。
それは大型の物もあれば、小型のものもあり、とりわけ、一番大きな船には豪華な装飾と立派な帆が立てられ、軍艦と豪華客船を混ぜたような、高級感に満ちたその船は、俺を一瞬にして釘付けにした。
「よし、アレを奪おう」
「あ˝あ˝ーー! 言うと思った! 言うんじゃないかと思った!」
「なによ? アレ以外に奪う価値のある船なんてある? どうせ奪うんだったらアンタもあれがいいでしょ?」
俺たちは、手前の見張りの近く、岩場へと身を隠し、船の様子を見張っていた。
「あれは大きくて見栄えはいいが、重く、操作も難しいんだ、スピードだって出ないし、逃げるんだったらもっと小さいのを狙うべきだ」
「よお、お前あれ乗ってきたのか?」
「乗ってないが? 私みたいな騎士は大勢いたからな、あの大きな魔族が立っている辺りにある、小さいので来た、揺れるし、ボロいし、あとは基本雑魚寝だったな。あの船はもっと位の高い、今回の作戦の中心になるような人たちが乗っていた」
「なら尚更、あの船を奪おうぜ、お前も乗ってみたかったんだろ?」
「それは…。ちょっとズルいな、とも思ったりもしたが、そんなえり好みしてられる状況でもないだろう? 第一、あれじゃあ目立ってしょうがない、もっと、こそこそ逃げられる船にしよう」
乳山は指をさし、あれなんてどうだ? と端の小さいヨット程のくたびれた船を指さした。
論外だ。
俺たちは、あの魔王を出し抜いたんだぞ? あんなみすぼらしい船に乗って脱出してみろ、なんか、凄い必死感が出てカッコ悪いじゃねーか! …まあ、今まで相当カッコのつかない行動をしてきて言うのもなんだが。とにかく、あれは駄目だ、それに俺には――作戦がある。
「よし、アレを奪おう」
「あれ戻ってきた!? イエスを押さないとこの先進めないのか!?」
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