◇◇◇ 【第二章】魔法使いと時間の杭 ◇◇◇
巨乳女騎士を添えて~そして魔王島脱出編へ!
◇ ◇ ◇
「「ぐわああああ!!」」
極彩色の空間を切り裂き、転げるようにジンたちは堅い岩だらけの地面に転移する。
あたりを見るとずいぶんと遠くの方に魔王城が見える、その前には森、そしてこの端っこぎりぎりの岩場に俺たちは転移し、息の切れた体を休めるように仰向けに寝転がる。
「はぁはぁ、ハハッ、ゲハハ」
「ククッ、ハハハッ」
「ゲーヘッヘッヘッヘェエエ!!!!」
「ハーハッハッハッハァアア!!!!」
「キャッキャッキャッ!!!!」
「いや、誰だ!?敵か!?」
お互いに笑いながら寝ころんでいた俺たちだったが、ルゥを見た瞬間、乳山は正気に戻ったのかさっそくツッコミを入れる。
「誰って失礼ね、すううっと一緒に居ましたあ」
「いや、いなかったが!?」
「何言ってのよ、これだから妾は嫌なのよね、しっかりしなさいなそんなんじゃジンを支えていけないわよ、ま、ルウが居ればそんなもの必要無いけどねっ!」
「は? 妾? そんなものになった覚えはない! こんなクズ野郎誰が世話するかっ!!」
「なっ、クズ野郎ですってーー!! こんなイケ男捕まえて何言ってんのよッ! このブス!!」
「何だこの失礼な球体は!! おい、ジン! 説明しろ説明!」
「……めんどい」
「おい!!」
「めんどくさいんだよね♡ 大丈夫、こんな奴ほっておいてさっさと行きましょ!」
「ああ、そうだな、ぼちぼち行くか…よっこい正一」
「腑に落ちない、ああ全く腑に落ちない」
俺は歩みを止め振り返り、グダグダと岩場に座り込み、悩むように小首を傾げていた乳山に声をかける。
「おい何やってんだ――」
「ん?」
「いくぞ」
「…………ああ」
「えー、あんな奴ほっておいて、私との二人旅を楽しみましょうよお」
後ろからトコトコと駆け足で横へと並ぶ乳山を、横目で見ながら俺は魔王との戦いでの出来事を思い出していた。「捨て置け。」まったくどういうつもりだったんだ。
「ん? なんだ? 人の顔をじろじろと見て」
「オメー…」
「?」
「いや、何でもねえ」
「ん? う、うむ」
「それで、それでえ♡ ダーリンこれからどうするつもり? ここからどうやって<地上に降りるつもり?>」
魔王城。
それは難攻不落の最強要塞、長きにわたる戦争でも決して破られることのなかった要因には、この誰もを寄せ付けない<天空の島>にあるというのが大きいだろう。
島の中心には魔王城、その周りには囲むように森があり、そして現在俺たちが歩いているこの島の端っこには岩場があり、この魔王島をぐるっと端を表すように置かれていた。
「あ、そういえば、これ返すわ」
「あ? なんだ、どういう風の吹き回しだ? そのペンダントはお前にやったんだ、今更――」
「チッ、返すって言ってんだろ、オラッここにしまっとけ!!」
「やめっ、ヤメロ! 胸に押し込もうとするな!!」
俺は黒く濁ったペンダントを乳山の胸へと押し込み返す。乳山は怪訝そうな顔でそれを見つめ、「なんだかこのペンダント黒くなってないか?」とそんなことを呟いていた。
…………。これは言うべきか言わないべきか、どう考えてもあのとき効果を使ったからだろう。俺はバツの悪い顔を隠しながら「気のせいだ」と誤魔化すことにした、……最初に言っていた、コイツにとってペンダントの値段はどうでもいいと、だったらこのまま言わねー方がいいだろう、――それにそいつを貰ったら貰い過ぎだしな。そっちも、言わねー方がいいだろう。
俺は改めて乳山の、その尋常ではない物を見る。
「はあ、またモミてえーなー」
「な、何を堂々と見ている、お前指一本でも触てみろ、本当に叩き切るからな」
俺たちは魔王島の岩場を進む、この島から、このクソったれな魔王軍を出し抜き脱出することを、心に決めて――。
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